君の名は?
「皆ー、 返事は小さめで短くしてみてね! びっくりするから! じゃ後よろしくね!」
『承った。 皆の者っ! もはや異論の余地すら無いことだろう! そして聞いたであろうが、主はいずれ世界の頂点に君臨するお方だ! そして今はその為に旅をされている! 我はそれに随伴する許しを頂いた! よってこの群れの統率を一時的に序列三位の者に預ける!! これは主の意向である! よって異論は認めぬ!! そして我からお前らに下す命令は一つ! この地を守り抜き、主が戻られた時にこの地を献上せよっ!!』
『『『『『『オンっ!!』』』』』』
おおっ! いいね! 統率が取れた兵士みたいで格好いいし、なにより静か!!
あっ、そうだ! 良いこと思い付いた!
「皆ちょっと聞いてー! ここから南に少し行ったところに遺跡があるの知ってるかな? 今日からそこを皆の根城にしていいよ! そしてそこの遺跡を中心に勢力図を拡げて行こうか! その遺跡は俺の知り合いのお墓みたいなものなんだけどついでに守ってくれると助かるんだけどどうかな? 出来る? 」
『『『『『『オンっ!!』』』』』』
「よし。 皆いい子だね! じゃあまかせたよ!! 一度皆で遺跡に行って状況を確認しておいて! 以上、解散!!」
俺の号令と共にリボッラライガー達は一斉に南に走り出した。
「こんなもんかな、さてまずは君に名前をつけないとね、 呼びにくいし。 あ、元から有ったりする?」
『いえ主、我の事はお好きにお呼び下さい。』
考えてみれば前世を含めて名前を誰かにつけるのって初めてだな、格好いいのがいいかな? 可愛いのにしようかな。
「因みに君、性別はオ…」
『メスですっ……』
あっ、そうなんだ、オスだと思ってた……。
ごめんて、そんなジト目で見ないで!
どうしようかな、リボッラライガーだもんね、リボ? いや安直すぎるな、なんか分割払いっぽいし、じゃあリボル? 拳銃みたいだな。 悪くはない… けどなんかぱっとしないな。
特徴で言えばやっぱり蒼炎だよね、でもさっき俺が出したの深紫色してたな、多分蒼炎より強力だと思う。
いずれ更に強くなったときの事も考えて紫っぽいイメージも入れたいな。
それに女の子なら可愛らしさもほしいし…。
あー、昔のバイト先で使ってたワインの葡萄品質に可愛い名前の黒葡萄が有ったような… あ、思い出した!
「ルケ! これにする!! 色々意味が有って考えたんだけどどうかな?」
『ルケ… 可愛い妾にぴったり… はっ!』
なんかくねくねしてるぞ。
『ルケか、うむ、流石は主、良いと思うぞ。 これからはルケと名乗る事とする。』
これは地味に喜んでるな、尻尾フリフリしてるし。
指摘しないであげよう。
「よし! じゃあルケ!! これからよろしくね!!」
『我が命尽きようとも共に歩んで参ります!』
「いや、危なくなったら逃げていいからね。 はは。 死なれても嫌だしね。」
『我の事をそこまで!! この出会いを天に感謝を。』
大げさだなぁ。
さてとミュスカにどうやって説明したもんかな、暫く放置しちゃったけどなんか呆然と立ってるし思考停止しちゃってる? 怖かったのかな?
「きゅっきゅん?」
「大人しいモフモフが沢山、モフモフしたかった、モフモフ……」
ぬいぐるみ扱いだなこれは、前から好きだったもんなぁ。
怖がってた訳じゃなくて良かった、これならルケとも仲良くなれそうだな。
取り敢えず絵でも描いてみるか、簡単に描けばどうにかなるだろ。
草がないところはっと、 あった。
ここで描いてみるか。
【念動力】で小枝を動かしてっと、よし描ける!
まずは三角形を描いて、次に横に線を二本引いて三分割してっと。
「キュキュー!」
「え? ああ、そらどうしたの? なにか描いてるの?」
よしよし、興味をもってもらえたな、現状の説明からだな。
えーと、小枝を動かして自分を指す。
「そらがどうかしたの?」
続いてピラミッドの三分割の頂点を指す。
「そらがそのてっぺん?」
そうそう! 次にルケを小枝で指して、その後真ん中を指す。
「真ん中がこの子なのね?」
おー!伝わってる!
最後に小枝で群れが走り去った方向を指す、その後ピラミッドの下を指せば……
「さっきの子達がそこなのかな?」
「キュ!!」
「ルケ! 鬣燃やすのやめて乗っけて貰ってもいい?」
『ご随意のままに』
ルケが炎を消して頭を下げた所に飛び乗る。
「!! そらはその子達を子分にしたんだね!!」
「キュ!!」
ミュスカ凄い!! 賢い!! 流石の洞察力です部長!!
「そうなんだ!! そしたらその子ちょっと触っても大丈夫かな?」
「ルケ、触らせてあげてくれる?」
『この者は主の番であろ? ならば好きにしてもらって構いませぬ。』
「つがいっ!? ま、まぁいずれはそうなる予定だし? そう言うことにしとこう!!」
「キュ!!」
「いいの!? じゃあ失礼します… わぁ。 ふわふわぁ……」
おぉ、自分の世界に入っちゃったな。
今のうちにルケと話すか。
「ねぇ、ルケ? ルケってさその話し方苦手でしょ? さっきから結構言葉使い乱れてるしさ」
『はっ、申し訳ない… いやありませぬ! 今まで他者へへりくだった事がほぼ無いため気づかぬうちに失礼な物言いをしてたかも知れませぬ。 平にご容赦を…』
「あぁ、そうじゃなくてね、ルケも女の子なんだし好きに話していいんだよ? 今までは長としてみたいな考えも有ったのかなって。 さっき一人称ちがったし。だから俺には好きな感じで話していいんだよ? 仲間なんだしね!」
『仲間… なかま… か。 そう…じゃな、今さら隠しておくのも不義理と言うものじゃな… 妾はもとよりこの種族を古来より率いてきたライガーの王の血族の血筋の者故あのような話し方になったのじゃが、 妾の代だけ雄が産まれなくてのぉ、 歴代初の雌の長になったのじゃ、 しかしそれではいくら強かろうと見下す愚か者がおってのぉ、 いつしか先代に倣った話し方で群れを率いるようになったのじゃ、本当は花を愛でるのも好きじゃし、守るよりも守られたいという願望すら有ったのじゃ…… 故に主に出逢った時には見つけたとつい口走ってしまったのじゃ。 この方ならば妾を雌にしてくれるのでは… との。 気恥ずかしい限りじゃが末永く側に置いてくれると嬉しいのじゃ。』
「そっちのがなんか色っぽくてとってもいいよ! こちらこそ末永くよろしくね!!」
あー、なんか蟻さん思い出すなぁ… 今度はうっかり傷つけ無いようにしなきゃ!!
蟻さん、君の事は忘れない、ほんとーにごめん!!
『言質、もらったぞ? 妾も主と添い遂げるからそのつもりでの。』
おやぁ? なんかへんなフラグがたったぞ?
まぁ、気にしてもしょうがないよね!ははは…は?
『ところで主は普通のカタツムリではあるまい? ちと強すぎるのじゃ。 それに妾の種族の固有魔法も使っていたようじゃしの? 他にも似た物も無いではないがあれはまさしく【鬣炎】であった。』
あー、ルケ達のなかでは鬣炎って言うんだな。
そりゃ、同じだよ序列二位食べちゃったしね。
「どこから話せばいいかなー、 えとね俺は転生者で…」
……………
………
…
『なるほどのぉ、ミュスカ嬢とこの世界で再開してここまで来たわけじゃな。 更に主は取り入れた者の力の一部を我が物とすると。 そしてミュスカ嬢はまだそれら色々を知らぬと。 また中々に難儀な道じゃのう…。』
そうなんです難儀なんです。
『むっ、さっきの小枝で前の世界の字を書けば良いのでは無いか?』
!!
「ルケ頭いいっ!! やってみよう!!」
【念動力】! えーと、あれ?
書けないや、 なんで!?
〈ますたぁ、そうぞーしゅさまがぜんぜんろまんちっくじゃないからだめーっていってるけどなんのことかな?〉
おのれぇ!! また楽しんでるな!!
はぁ、しょうがないか、 正攻法で頂点に近付いていくか。
「大丈夫。 なんでもないよユメ。 でもヴィオニエにいじめられてるからユメからもあんまりいじめないように言ってくれると助かるかな。」
〈わかったー!! めっ!! しとくね♪〉
『今一人でぶつぶつ言っておったのが例の【鑑定】のユメとやらじゃな?』
「そうだよ。 いつも助けてくれるとってもいい子なんだよ。 そのうち話せるといいね。」
〈ますたぁ!! そうぞーしゅさまがごめんねっていってすきるくれたよ♪ ひょうじするね! あとがんばりなさいっていってる!!〉
えっ? ほんと!? ユメさん最強!!
称号スキル:
【女神の祝福】
経験値取得量が15%アップする。
悪かったわ、これで許しなさいな。
うぉ!! ありがとうヴィオニエ!! 最高の美少女はやることが粋だねっ!!
〈ちょうしにのらないようにねだって!! なにがかな?〉
「なんか最近心が読まれてる気がするけど俺、そんなに分かりやすいかな? まぁ、いいや。 ユメとってもとっても助かったよ!! ありがとう!!」
〈ますたぁにこにこ! ユメもにこにこ♪〉
『どうしたのじゃ? やらないのかの?』
「出来なかったんだけどその代わりスキル貰ったからラッキーって感じ!」
『よくわからぬが主が嬉しいならそれでいいのじゃ。 それよりそろそろミュスカ嬢を現実に引き戻した方が良いのではないか? 』
「そうだね! 日も傾いてきたし出発は明日にして今日は落ち着ける場所を探そうか。」
「キュッキュー!! キュッキュー!!」
おや? もふもふランドから帰ってこないぞ?
ミュスカー? ミュスカさーん? ぶちょー?
それから2時間後ようやくミュスカはもふもふランドから帰って来た……。
少し長くなってしまいました笑




