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美術館

「キュキュッキュ!」


「なーに? 少し待つの?」


 そうそう、少しまってね。

 ミュスカが斬り倒した分も食べちゃわないとステータスがもったいないからね。


 何か纏めて【悪食】で食べられたらいいんだけどな…

 うーむ。


【転がる】で【悪食】使ったらどうなるんだろ…

 試してみるか。


「【転がる】! 【悪食】!!」


 よしいくぞ!

 おー、前より速度が増してる! やっぱりスキルのレベルが上がると、どんどん強化されるみたいだな。


 ぶつかるっ!! どうだ!?


 ぱくんっ!


 よし! 食えた!


「うわっ、まっずい。 ジャリジャリするぅ。」


 泥団子たべてるみたいだ… でもステータスのためだ、我慢するしかないか、 よし。

 次々いくぞっ!


 ぱくっぱく、ばくんっ!!

 ズシャーっ! バクバクっ!!



「うぇー… 無機物っぽいやつはやっぱりなりの味だなぁ。 ステータスは美味しかったのに…」


 〈すきるはおなじのしかなかったけどれべるはあがったよ♪〉


「おっ? そうなの? ありがとうユメ。」


 〈ほーい♪〉


「すごーい!そら! お掃除してくれたの? 偉いね。 よしよし。」


 んー、心地いい。頭を撫でられるならまた食べてやってもいいかも、でも…


「じゃあ、いこっか!」


「キュッキュー!」


 返事しながらまた肩に飛び乗る。


 移動しながら肩で考える。


 なんでレベルが上がったんだ?

 倒した事で上がるレベルはミュスカに入ったはずだ。


 …あー、もしかしてこう言うことか?

 レベルは倒したことによる経験値じゃない。

 世界に取って有益だから、ってことだったよね。

 それは前から分かっていたもんね。

 ならミュスカの言葉を借りるなら、お掃除。

 これが以外と的を射てるんじゃないか?

 あくまで仮定にしか過ぎないけど、ミュスカはこう言った。

 "小型の魔物しかいなかった"と。

 じゃあその倒した小型の魔物の死体はどこにいったのか。


 この遺跡は敵を倒したら倒しただけ強くなるって仮定をたてたけど。

 ならばその強くなって復活する時のエネルギーは何処から供給されるのか。


 それは倒された魔物だろう。

 遺跡がその魔物の死体を吸収なりして強化して復活させる。


 一応筋は通るか。


 さらに言えばミュスカを助けた時に纏めて恋矢で消し飛ばした魔物の数に対してさっきの大きい個体の数は明らかに少なかったな。


 ということは、遺跡内の魔物をエネルギーとして換算した場合その和は一定ってことになるのか。


 あー、もしこの仮定が合ってるなら無限レベレングは無理かー。

 しかも【悪食】で食べたら食べただけ遺跡のエネルギー総量は減ってっちゃうってことだから新しく魔物を産み出す事は出来なくなるってことだよねー。


 うん。 たぶん合ってるな。

 だって世界はこの遺跡の攻略を望んでいたはずだ。

 ユメがそう言ってたしね。

 で、お掃除したらレベルが上がった。

 つまり【悪食】でエネルギーを奪う事が世界にとって有益だったって事だろう。


 はぁ、辻褄があっちゃったなぁ。

 レベルを上げるのとステータス奪うのどっちが上昇率高いんだろ。


 どっちにしろ遺跡攻略したら技術を知った事になって魔物を倒してもレベル上がんなくなったりする可能性もあるよね。


 じゃあいっか、 行きはレベル上げして帰りは全部食べちゃえば、うん。 そうしよ。



 俺が物思いに耽っている間にもミュスカはバンバン敵を斬り倒してるし、今後の事も考えるとミュスカのレベルも高い方が安心だしね。

 行きは倒せる範囲でミュスカにまかせて、危なそうなのは俺が倒そうかな。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 中層に入っても殆ど代わり映えしない敵ばかりで殆どをミュスカに任せてしまった。


 かなりレベルも上がってきたんじゃないかな、動きのキレが増してるし。


「さぁ、そら! そろそろ上層に入るよ! 気を引き締めて行こうね!!」


「キュッキュー!」



 そして俺たちは上層へと足を踏み入れた。


 上層はここまでとまた造りが異なり、フロアに障害物となる壁等が疎らにしかなく開けた空間となっていた。

 そして何より少し明るい。

 所々にスポットライトのような光が注しており全体的にそれなりの明るさが保たれている。

 例えるなら、そう、美術館のような様相を呈していた。


「なんか美術館みたい…」


 やはりミュスカも同じ印象を受けたようだ。


 敵の姿は見えない、このフロアはそういう所なのだろうか。


 一つのスポットライトで照らされ展示されるように置いてある絵画の前に立つ。


 何かにタッチが似ているような…


「なんか変な絵だね。 ピカソっぽいけどなんか… へた? あ、そらに言ってもわからないよね。」


 そうそう。ピカソっぽい!

 けど何だろう、落書き感が否めないというかなんというか… へた?


 ただ、着目する点はそこではないだろう。

 それは紙だ、それも前世に引けをとらないほどのクオリティである。


 まさかこの遺跡は……


 ザシュっ


「え……」


 絵画に血が飛び散る。

 唐突に視線が下がる。



 そして…

 ミュスカが血を流し倒れていた。



「ミュスカっ!!!」


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