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番外編~ギャル先輩~

いやいや、更新が滞ってしまい申し訳ない。

寝る時間の確保で精一杯なもので…。


取り敢えずの番外編です。


次話は地龍編の締めくくりですな。


今後も時間頑張ってどうにかちんたら進めて行きますのでよろしくお願いします(つд⊂)

 

「黒井先輩! ここが分からないんですけどー、教えていただけますかぁ? 今日デートなんでぇ早く帰りたいんですよねぇ。」


 空至先輩と部長が一緒に亡くなってから早いもので八年の歳月が流れていた。


 当時先輩先輩とすぐに泣き言を溢していた私は、今や課長クラスにまでなっている。


 そして今、当時の私のように上司を頼りに来ているのは最近入社してきた新入社員の女の子だ。


 今になって思うとこの子といい私といい、この会社の採用基準はどうなっているのだろうか、甚だ疑問である。


「んー? あー、オッケー! ちょっと待って、これだけやらせてね!」


 でもなんか懐かしいな、この感じ、この子に昔の自分が重なるわ。


「で? 何がわかんないの?」


「いや、ここなんですけどぉー。」


「……はぁ、いいよもうけっこう遅い時間だし、デートなんでしょ? 明日やり方教えてあげるから今日はかえんな。 今回は私がやっとくから。」


「え? まじですかぁ? いやでも、さすがに悪いんで教えてくれればやりますよー?」


 そう、悪い子では無いんだよなぁ。

 先輩もこういう気持ちだったのかなぁ…… 私も成長したもんだ。


「いいから! バッチリ化粧して行ってこい!」


「うわぁ、まじ先輩女神! じゃあお言葉に甘えて、お願いしまーす! あっ! 明日ちゃんと覚えるんで!」


「はいはい、いってらっしゃい。」


 パタパタと小走りでデートへ向かう彼女を見送り早速仕事に取りかかろうとする。


「あっ!! 先輩が男だったらワンチャン彼氏候補です!! じゃ!!」


 帰ったと思った彼女がひょこっと扉から顔を覗かせニカっと笑顔を見せるのを、早く行けと手でヒラヒラと追いやる。


「さぁ、今度こそやるかー!!」


 …………

 ………

 …


「よし、終わったぁ。」


 凝り固まった体をグッと伸ばし時計を見やると既に終電の時間は過ぎてしまっていた。


「うわぁ、やらかしたなぁ……。」


 仕方ない、満喫に泊まるかー。


 丁度続きが気になっていた漫画の新巻が出ていたことや、会社からかなり近い事もあり、ホテルでは無く、個室型の漫画喫茶で夜を明かす事にした私は、足早に目的地へ向かう。


 あ、有った! これこれ!


 私が手に取ったのは、カタツムリが主人公の所謂異世界転生物。


 以前チャラ先輩が、ソラ先輩がカタツムリになって活躍する夢を見たと言っていたが、恐らくこの漫画をコンビニでのバイト中にでも立ち読みして、無意識のうちに夢に見たのではないだろうか。

 私はそう考えている。


 因みにこの漫画は内容的に正直私にとって退屈なものであったが、今やいなくなってしまったソラ先輩や部長を登場キャラクターに重ねて、ただただもしそうであったらと妄想に耽る為の時間となっている。


 そして前巻で新しく登場した首のないキャラクターがどこかチャラ先輩に重なり、退屈ながらも新巻を楽しみにしてしまっていた。


 ……………

 ………

 …


「なんで皆勝手に死んでんだよ、仲間はずれかバカ……。」


 漫画を読み終え、気付くと私の口からは恨み言が漏れ、目からは涙が溢れていた。


 もちろん本の内容に対しての言葉ではない……。



 幾ばくかの時間が過ぎ、腫れぼったくなった瞼はいつの間にか重くなり、私はそのまま夢へと誘われていった。


 **************************


 翌朝、見事に一時間ほど寝坊した私は、乱れた髪もそのままに会社へと向かった。


 寝坊したといっても最近は始業時間の二時間前にはデスクに向かい仕事をしていた為、それを基準にみたときの寝坊である。


 いつもより一時間遅い出社だが、今日はいつものこの時間では絶対に見られない人物の姿があった。


「あっ!! 黒井先輩、おはようございます!!」


そう、昨日助けを求めてきた後輩である。


「え? どうしたの? 早くない? もしかしてフラれた?」


「へ? ……あははははは! フラれてないしどうもしてないですよぉ!! ただいつも迷惑かけてるんでもう少し頑張ってみようと思っただけですよぉ! 昨日の仕事も教えて頂きたいし、さぁ!先輩! 今日も頑張っていきましょー!!」


 どうしよ! ヤバい、なんか泣きそう。


「……グスっ ……そうだね! 頑張ろうぅ!」


「え? え!? なんで泣いてるんですか!?」


「な、なんでもない…… 私…… 死なないからね!!」


「ん? へ? え、あ、はい。 死なないでください? え? これであってますか?」


「うん。 あってるんじゃないかな? 私もわかんない! とにかく! 私は厳しいぞ!! ついてこい後輩!!」


「はーい!! お手柔らかにお願いしまーす!!」


 私、先輩達の分までがんばるからね!!

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