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報酬は最強の盾?

 

 何も無い空間、どこでも真っ黒な空間……。


 ヴィオニエのいる真っ白な空間とは正に正反対の空間に俺達は漂っている。


 安全を確認し【絶界】は既に解除し、いつもの姿に戻っている。


 そして目の前の…… いや、辺り全体の問題に目を向ける。


 〈これ…… どうしよっか…? ちょっとやり過ぎた感が否めないんだけど……。〉


「マスター超かっこよかったぁ♪」


「それには激しく同意するがの、にしてもこの状況をどうしたものかの……。」


 《何もしなくていいよ。》


 ふっと闇の中から黒髪を短く切り揃えた少女が現れた、小さな体躯をふんわりと淡いパープルの貫頭衣に包んでいる。


「っ!! アスティ……だよね?」


 何故かそうだと思った。


 《そう。》


 アスティは控えめに頷く。


「わー! 初めましてだー!! ユメはユメだよ♪」


「妾は一度会っておるのじゃ、今思い出したのじゃ!」


「お声は度々お聞きしましたが、お会いするのは初めてですね、ユリ・フルミントと申します、お見知りおきを。」


「初めまして、ミュスカです。 あなたが世界の意思なんだね!」


 《そう、世界の意思って呼ばれてる。 名前はアスティ。》


 〈それで…… アスティ、えーと、フィールドぶっ壊しちゃったんだけど罰則とかは……〉


 そう、最後の攻撃【流星招来】で文字通り全てを破壊してしまったのだ。


 《ない。 別にいい。》


 よかったぁ…… これでレベル下げますとか言われたらどうしようかと思った……。


 その時、唐突に背後から声をかけられる。


『……嘘つき! 殺さないって言った!!』


 っ!! 地龍っ!?


 そこには【龍人化】した姿の地龍が涙を浮かべながら佇ずみ、こちらを睨んでいる。


 突然現れた地龍にアスティを除く全員が臨戦態勢に入る。


『ひっ!! も、もういじめないで下さい……!!』


「「「「……………。」」」」


 あー、そういう感じのやつ?


 〈い、いじめないけど、ひとつだけいい……かな?〉


『うぅ…… なに?』


 〈約束通り消滅させるやつは使わなかったんだけど……。〉


『だって戻る場所無いもん……』


 あ……。


 確かに言われてみれば、本来時間の経過で元の場所に復活するという流れだ、しかしその戻る場所が消滅してしまっている場合どうなるのだろうか。


 まさかこのまま消滅とか……。


 〈あ、アスティさん……? この場合どのような形になりますでしょうか……?〉


 《アスティはここを直すつもりはない。 だからこのままここを漂う。》


 あちゃー。


 〈そ、それはどうにかなりませんかね?〉


 《……連れてっていい。》


 はい? ん? え?


 〈と、いいますと……?〉


 《だからそらがつれてけばいい。 ()()()をそらに設定する。 そうすればそらが生きてる限り死んでも勝手にそのうち復活する。 とっても便利な肉壁。 そらはお友だちだからとくべつ。》


 肉壁って言い切ったよこの子っ!?

 特別っていったって、かわいそうだしどうにかしたいけどさすがに肉壁と聞いてどうこうするのも……。


『だっ、旦那様っ!! どうぞお連れください!! 何でもします! 壁? 肉の? 喜んでやりますっ!!』


 《じゃあやっとく》


 〈えっ!? アスティさんっ!? ちょっ……〉


 《できた。》


 〈はやっ!?〉


 えぇぇ……。


『旦那様! いく久しくテロワール…… テロワを肉壁としてお使い下さい。』


 〈い、いや、肉壁にはしないけど……〉

 テロワール…テロワか……。

 あぁ、もう仕方ない…か。


 〈わかったよ! テロワ、ついておいで! でも肉壁じゃなくて仲間としてね!〉


『……ありがとうございます!! このテロワ誠心誠意お仕えします! (出来ればやさしめに)


 成り行きとはいえ、戦力としては申し分ない、むしろ現時点では俺達のなかで一番の戦闘力だろう。


 取り敢えずトカイ達も心配してるだろうし地上に戻るか…… どうやって戻ればいいんだろ……。


 《本当はダンジョン攻略の報酬があった、でもいっしょに吹き飛んだ、だから肉壁が報酬。 出口は無いからアスティが送ってあげる。》


 ナチュラルに心読んでない? 気のせい?


 《……気のせい。》


 読んでんじゃん! ……まぁいいけど。


 《あ、そのうち世界の危機がくる。 助けてね。 以上。 みんなまたね。》


 〈世界の危機? え? どゆこと!?〉


 アスティの振り上げた腕から光が舞い、俺達の身体を淡く染める。


 〈ちょっ!? まって……!!〉


 ■


 いいの、そのうちわかるから。


 アスティを助けてね、そら。


 ■


「はぁ…… 邪魔くさいわね。 ……ここどこよ?」


 いや、私も下に降りるとは言ったわよ? でもなんで降りてすぐ魔物の大群に囲まれてるのよ! さてはプーちゃん降ろす場所間違えたわね?


 そらのところにってお願いしたのに……。


「鬱陶しいっ!! 私を誰だと思ってるのよ!超絶美少女神ヴィオニエちゃんだぞっ!!」


 ■


「へ? え!? なんでそらさん消えたの!? さっきまで魔物の大群に囲まれてたのに!?」


 あ、私、分身体と本体間違えた……?


「わわ、どうしようっ、ご、ごめんなさーいっ!!」


 ■


「さぁ、やっと俺の物語が始まるな! あいつの話しだと基本ここの強いやつは全部ぶっ飛ばしていいんだったな。」


 やっぱ、お約束の魔王は後のお楽しみとして…… 適当に歩いて出会ったやつが強かったらぶっ殺せばいいかー。


「そうと決まれば…… 取り敢えず真っ直ぐいこう!」


 ……………

 ………

 …

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