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白き龍

 

 互いしか認識出来ない空間の中で、突きが主体の地龍の剣術をどうにか【女神の瞳】により強化された動体視力で捌き、ミュスカの剣術の見よう見真似で反撃にでる、そのような状態が二十分程続いている。


 見よう見まねと言っても馬鹿に出来たものではない、【女神の瞳】は目を使った行動に特化したスキルだ、つまり真似とはいえ、その精度は恐ろしい程に高い、【全視界】によりほぼ死角が無くなっている今、自分が振り抜く刀がどのような軌道、角度、速さで構成されているのかを正確に見定め、脳内の手本と照らし合わせる。


 もはやそれは真似ではなくほぼオリジナルと同じ動きを可能とさせる。


 つまりこのような事も可能となる。


『ふっ!!』


 再び地龍の突きが繰り出される、予備動作、筋肉の動き、殺気、それらから既に読めていた。


 そして今度はその地龍の動きを真似る。


 しなやかに筋肉が滑らかな動きで伸縮し、一切のブレすら無く切っ先が滑り、地龍のレイピアの先と俺の刀の切っ先が寸分たがわず中間でかち合う。


『っ!!』


 そのまま僅かに剣先をずらしながら巻き上げるようにレイピアを弾きあげ、地龍の腕をあげ、隙を作り出す。


 ここだっ!!


 ぐっと膝を落とし、更に最速で刀を鞘に戻す、そしてミュスカの技を地龍のがら空きの腹部目掛けて繰り出す。


 疑似抜刀術―桜染―!!


 ギンッ!!!


『惜しかった、そのまま切れば間にあ…… えっ? なに、これ…… ぐぁっ!!』


 地龍の胸から紫の焔を纏った鎗が突き出ていた。


「俺の本当の狙いはこっちだったんだよ。」


 そう、【五秒の悪夢を体現せし者】の効果が切れるギリギリで【夜の帳】と合わせて【幻想鏡】で分身を【隠密】で潜伏させていたのだ。


 俺の狙いは地龍が完全に防御に徹する瞬間、互いしか認識出来ない空間で更に正面の俺に最も集中する瞬間を狙った背後からの紫焔鎗(しえんそう)だ。


 突き抜けた鎗が纏う紫焔が地龍を焼き焦がす。


『うぁっ……!! あ…【諦めぬ者】!! 私はっ!! まだやれるっ!!』


 地龍は手が焼けるのも気にせず突き刺さった鎗を押し返す。


「っ!! 削りきれないかっ!!」


 〈俺っ!! 追撃だっ!! 合わせろっ!!〉


 《おーらいっ!!》


 俺と分身がそれぞれ【精霊魔法全】で炎属性と風属性の魔法を発動する。


『はぁ、はぁ……【囚われし物】解除……』


 地龍を中心に炎と風が混じり火柱が巻き上がりその姿を隠す。


 やったか?


 《今さ、頭の中でやったか? って思っちゃったんだけどこれフラグだよね?》


「あー、俺も考えちゃったんだよね……。」


 《だよねー……。》


 次の瞬間、激しい爆発と共に俺達の魔法が吹き飛ばされ、俺と俺の危惧していた事が現実となる。


 爆炎と爆煙の中に巨大な姿が浮かぶ。


 《もう…… 止まらない……》


 《あちゃー、【囚われし者】ってそっちだっ……


 一瞬にして俺の分身が消滅した。


 っ!? 何が起こったっ? なんで分身が消されたんだ?


 煙を切り裂くように複数の何かが地龍の周りを飛び回っている。


 これか? 煙のせいではっきりと見えないっ……。


 徐々にその姿を露にする地龍の頭部付近がカッと光りブレスが真上に吐き出される。


 っ!! あのブレスには【龍の理】が乗ってるはず、くそっ、【夜の帳】が破られるっ!!


 ■


「これで最後だよっ!! 【残光】!!」


 ふぅ、やっと全部倒し終わった…… そらは大丈夫かな……。


「ミュスカ様、こちらは終わりました。 ユメ達も終わったようですね。」


「皆のHPとMPはどうかな? 【鑑定】で見てあげてくれる?」


「はい、お任せください…… HPは皆ある程度ダメージはありますがそこまで問題にはなりません、が、ユメのMPがかなり目減りしていますね…… 常時魔法を使っていたようなのでそれが原因でしょう。」


「了解! ありがとうユリちゃん。」


 この後ユメちゃんの魔法が絶対必要になる、少し温存した方がいいかな。


「おーい!! ミュスカーっ! おねーちゃーーんっ!!」


「ユメ! MPがかなり減っているのでしょう? 一度【流蒔剣】を解除しなさい、それはMPの消費が激しいのでしょう?」


「忘れてたー!! えへへー!」


「二人ともお疲れ様! 時々目に入ったけど二人ともやっぱり凄く強いね!!」


「えっへん!!」


「今のでレベルも少しあがったのじゃ! ……にしてもあれは何かの? 黒い半球の…… む!?」


 あれは恐らくそらの魔法だよね…… 何か創るって言ってたし…… でも何だろうあのてっぺんの光は、だんだん光が強くなってるみたいだけど。


「皆様! あれは地龍のブレスです!!」


 その言葉に合わせるようにそらの黒い魔法を突き破るように天を衝き、やがて見えなくなる。


 ぽっかりとあいた穴から全体にヒビが入りポロポロとそらの魔法が崩れていき中にいた二つの存在が姿を現す。


「わーっ!! すごーいっ!! 龍が二体ーー!!」


「えっ!? なんで龍が増えてるのっ? そ、そらは!?」


「ミュスカ様、あの白い龍はそら様です。」


 へ? あれがそら……?


「かっこいいのじゃ……」


 ユリちゃんがそう言うんだからきっと間違いないよね……。


 それは神々しいの一言に尽きる姿であった、純白の身体から伸びた四本の脚がしっかりと地面を噛み、長い尾からは規則的にトゲのような突起物が並ぶ、そして広げられた大きな翼は光を透かし光を放っているかのようだ、やや長い首をもたげ、額に宝石のような一本の角が生えている頭部は凛々しく自分が知っている可愛さは鳴りを潜めている。


「綺麗……。」


 そしてあっちが地龍…… 最初とは姿が違う……

現在仕事で遠出する事が多く更新が遅めです( ;∀;)

来週頃までは週3~4話程度の更新となります。

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