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まともな戦いの末に

「くらえっ!【ウィンドカッター】!!」


 魔法発動に合わせて不可視の刃が着地直前のリボッラライガーを襲うが、突如として鬣が燃え上がり勢いよく噴き出す。

 それによって得た推進力で俺の予想よりも僅かに着地が早く、攻撃はリボッラライガーの頬と左肩を浅く切り裂くだけに留まった。


「格好いいな! はは! でも燃えたまんまでいいのか? 【エアキューブ】!!」


 傷つけられたことにより、やや慎重な動きを見せ、こちらを観察していたリボッラライガーをほぼ不可視の箱が閉じ込める。

 それを見て戦闘体勢を崩す。


「終わりだな。」


【エアキューブ】は不可視に近い箱を任意の場所に作り出す魔法のようだ。

 予想通りではあるがこれは使い勝手が良さそうだ、注ぎ込んだ魔力の量で大きさや強度が変わる。

 小さめなのを足元に配置して体勢を崩させたり、まさに今やっているが閉じ込めたり、防御結界としても使えそうだな。


「……始まったな。」


 突然リボッラライガーが苦しみ、もがき始めたのだ。

 何故か? 答えは簡単だろう。

 それは酸素だ、鬣が燃焼する事で箱の中の酸素はかなりのスピードで消費されていく、それに合わせるように炎もどんどん小さくなり、しまいにはビクビクと痙攣を始め、正に虫の息といったところ。

【エアキューブ】を維持する為に使っていた魔力供給を止めると、先程までかなりの堅固さを持っていたはずだが簡単に消失した。


「もう、可哀想だな。 炎を使うならやっぱり弱点は水だよね、介錯してやろう。【ウォーターライフ】!」


 〈あ、ますたぁ! それだめ!!〉


「へっ?」


 ユメの呼び掛け虚しく、既に発動した【ウォーターライフ】だが、リボッラライガーの上に滲み出るようにして複数の水球が現れ優しい光を帯びているように見える。

 少しして水球が弾け小さな雨粒となりリボッラライガーに降り注ぐ。

 するとリボッラライガーは暖かい光に包まれ、そして頬と左肩の傷がみるみると治り、ほぼ失われていた意識もはっきりとしてきたようだ。


「あぁ、これって回復魔法なんだ……」


 〈あちゃー、ふっかつしちゃったねー〉


「あんまり何度も苦しめるのも悪いしもう終わりにしようか。魔法はあらかたわかったしね。」


 俺は魔力を大量に注ぎ込み、まだ使ってない残りの魔法を発動する。

 これが予想通りの効果を発揮するなら直ぐに終わるだろう。


「【板挟み】!!」


 魔法の発動と同時に岩盤がリボッラライガーの両サイドからせり上がり全てを挟み込み圧殺せんと閉じていくが、大人しく座して死を受け入れるような存在ではないだろう。


 逃げ出そうとする事は分かっていた。

 もちろん手はうってある。


 事前に【武具創造】で鋼の糸を作り出してあったのだ。

 それをこっそりと【我操糸】のスキルで自在に操りリボッラライガーの足を地面にがんじからめに縫い留めてある。


「さよならだ、ありがとう。 苦しめてわるかったね。」


 そして断末魔が響きわたる。


 ーーーーーーーーー………。


 ブチッ。



 〈やったー!すごーい!ますたぁのかちー!!〉


「いや、まだまだだなって感じたよ、 ユメもサポートありがとな!」


 今回の戦闘で分かった重要なことがいくつかある、魔法はイメージで威力も形状も大きく変わる応用のきく物で、使い方次第で物凄い力を発揮するだろう。

 後はスキルも魔法も名前を態々言わなくても頭で考えるだけで使えるという事。

 これはかなりのアドバンテージだ、今後言語を理解するような存在と戦わなければならない時が必ず来る、その時に態々使うスキル、魔法を宣言するなど愚の骨頂以外の何物でもない。

 どうぞ対策してくださいといってる様なものだ。

 同格以下であれば鑑定をもっているこちらに大きく有利に働くだろう。

 そしてもうひとつ、スキル、魔法で作り出した物は消せる。

 こだぬきとの戦いの時、鎗を消すことが出来なかったが、恐らくは魔法に不馴れだったこと、とっさの事であの時の俺にはしてはMPを注ぎ込みすぎていたせいかもしれない。

 記憶が戻っておらず、存在が脆弱だったことも一つの要因かもしれない。


 〈ますたぁ! れべるあがったよ! あとこのぺちゃんこおせんべーたべよー!!〉


「お、やったな! そうだな。 美味しく頂こう。」


 岩盤を消すと血液がほぼ抜けてしまったお煎餅のような剥製のようなリボッラライガーの姿があらわになる。

 感覚が少し変わっているのか少し美味しそうに見える。


 では。


 いただきまーす! 【悪食】


「あーむっ、もきゅもきゅ。 あーむあむっ。 ん!?」


 旨い!? なにこれ!

 適度に血液が抜けているからなのか、肉自体の旨味が雑味なくダイレクトに伝わってくる!


 これはまるで熟成をかけたの生ハムを思わせるニュアンスだ、ややナッティながらも脂の甘味も感じるな。

 恐らくは魔物は通常の動物よりも長命な為に熟成香が生まれるのだろう。


 前世での高校の時のイタリアンレストランのアルバイト経験から適切な表現が浮かび上がってくる。


 こだぬきはなんか美味しいくらいにしか感じなかったのに、記憶が戻ったからなのか物凄く鮮烈に美味しさを感じる。


 そんな事を考えていると、あっという間に食べきってしまったようだ。


 〈ますたぁ! まほーもげっとだぜ! 燃えるやつ♪〉


「おおっ! 色んな意味で美味しかったな!! 感謝感謝!! ご馳走様でしたっと。 」


 〈うん!おいしーおいしー♪〉


「よし! 遺跡も夜になる前に着きたいからそろそろいこっか!」


 〈はーい! れっつらごー!!〉

検索タグにグルメをいれておりましたが、ようやく若干では有りますがその要素を入れることができました。

今後【悪食】で何かを食べたらグルメ要素が出てきますのでこうごきたいです笑

今回手にいれた "もえるやつ" 食べ物は生だけじゃないんだぜ笑


お読みいただいてありがとうございます!

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