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白パンは回し蹴りと共に、卒業は未だ遠く

 

 大壺さんが引きずり出したのは同じく青黒い手…… などでは無く、毒々しい大ムカデだった。


 それを汚いものでも持つかのように人差し指と親指で摘まみ上げている大壺さんがとても印象的である。


「『どゆこと?』」


 俺とドッペルゲンガーが綺麗にハモる。


 本当にどういう事だこれ…… 間違いなくあっちの【蟲毒】は発動しているはずだ、そう、それは間違いない事実だ。


 ならば何故中身が違う? 考えてもわからない。


 今唯一分かっていること、それは絶好の好機だという事。


「ドッペルさん!! 悪い! 休憩は中止ね!! 大壺さん!! 腕、増やせるよねっ?」


 持っていた大ムカデをポイっとゴミ箱にでも捨てるように壺に戻し、壺の中からもう一本腕が出て来てこちらにダブルピースで答える。


 よし! これで決めるしかないっ!!


「大壺さん!! 強化するよ!!【付与術神】で大壺さんに【超念動力】【万物の創造神】【飛龍帝の爪】【瞬身】【非実体化】【全視界】【投擲全】【自動回避】【飛空】【全無効】【減重力】そして【念話】を付与っ!!」


 〈おっしゃっ!! じゃあ一丁暴れっかね!! なっ!! そらちーん!! あっ、荒巻ちんのがいい?〉


 ……………はっ?


 へ?


 ん?


 ど、どゆことっ!?


「ド、ドッペルさんっ!! ごめん!! やっぱりタイムね!! あっ、タイム分かる? 攻撃不可ね!! ね!?」


『……まぁ、こっちはいいけど。 対策練れるし。』


 うん、対策とか今どうでもいい!!


「で!? なんなの大壺さんっ!?」


 〈なんなのって…… そりゃ大壺パイセンだろーよ。〉


「いや、そうじゃなくてなんでスキルの大壺さんが俺の前世の名前しってるのって事!!」


 〈……あぁ、なるほどね。 ふーん、へー…… いやぁ、ショックだわ。〉


 いやいや意味わかんないって!


「ショックはこっちだよっ!! 説明っ!! プリーズっ!! オーケーっ!?」


 〈はぁ…… なぁ、荒巻ちゃんよぉ、大壺で本当にわかんないの? 俺だよ俺! ハゲ課長からなんどかばってやったことか…… そんな大恩ある俺を忘れるかね普通。 せめて聞き覚えくらいあんだろうが?〉


「聞き覚え? 大壺? 大壺…… おおつぼ、オオツボ…… 大坪!? えっ!? はっ!? なんでっ!? ちゃら先輩…… ですか……?」


 まさかそんなはずが無いと恐る恐る尋ねてみる。


 〈ピンポーン!! そうです! 私がちゃら先輩です!! ってか? ……ってかお前マジで俺の名字殆ど覚えてないのな? ショックでか過ぎ杉山くんだわ。 ……いや、笑えよ。 いたろ? 同じ部署に杉山ってやつ。〉


「いや、今は杉山さんはどうでもいいんですって!! なんで俺のスキルになってんですかっ!?」


 〈……お前そりゃ、なぁ? 色々あんのよ俺だって。 察しろ?〉


「無理ですってっ!! ざっとでいいんで説明して下さい!!」


 〈えー…… まぁ、いいけど。 とりま死んだのよ、俺。 理由はまぁ、きくな。 で女神っちゅうんが転生させてやるって言うからさ、おっ!! 異世界転生マジで存在する系!? って思った訳よ。 でよくわかんねぇ結果発表聞かされたらよ、選択肢一個よ。 それも(スキル)って…… そりゃねぇよなぁ、んで自我が途中で目覚て気付いて見れば使い手は亀ときたもんだ。 ふざけてるよなぁ、あの女神…… 普通さぁ、あんだろうがチート能力とか伝説の武器とかさぁ、しかもちょっと尻触っただけで回し蹴りだぜ? で気付いたらって所に戻るんだけどよ…… あっ、因みにあいつのパンツ白な! レース付きのやつな!!〉


 なにやってんのこの人…… ヴィオニエのパンツの色とか需要あるの? それ。


 っ!! あれ? ドングリ来るかと思って身構えちゃったけど来ないな…… 見てないのか?


 進化前にはもう記憶戻ってたのか…… にしてもユメがなにも反応しなかったのは【鑑定】をちゃら先輩が付けられる前に回し蹴りでこっちに飛ばされたからか。


「自業自得だわ。」


 〈えー、マジで? 俺が悪い感じなのー? まぁ、過ぎた事はいいんだよ、いや! 良くねぇだろうがっ!!〉


 「いやどっちだよっ!!」


あ、ついツッコんじゃった……


 〈過ぎた事は大事だよな!! 卒業とか!! で? きもちかった? なぁ、きもちかった?〉


「卒業? 気持ちいい? 何がですか?」


 〈何っておまえ、ナニだよ! 部長とのあれだよ! 両方くたばるくらいだからそりゃあえげつないプレイだったんだろ? このむっつりスケベさんがよぉ!!〉


 ベシベシその青黒い手で叩くの止めて? 軽くホラーなのよ。


 というか、やっぱりミュスカ、いや紫羅も俺と同じ理由で死んだのか…… しかもそれをこの人に知られてるとか…… 恥ずかしい。


「まぁ、それは置いといて…… 何でその亀が俺だと思ったんですか?」


 〈置いとくなよ!! ……いや、まぁいいか。 とりあえずおめでとうが言いたかっただけだからな。〉


 あっ、はい、留年しました…… 基本は魔法で戦うスタイルです。


 って誰が魔法使いやねん。


 〈んで何で亀が荒巻ちんか分かったか…… だよな。 うまく言えないんだけどよ、なんてゆーか夢を見るんだよな、こうやって表に出てる時が起きてる状態だとするじゃんよ、ほんで裏にいる時は寝てるみたいな感じなんだよな、でそん時に夢を見るわけよ。 これまでのお前の冒険をさ…… いや、お前よくやってるよ、いやマジで…… 俺はよくラノベとか漫画とか読んでたけどさ、お前は俺が貸した分くらいしか読んでねーじゃん? しかも始まりカタツムリって…… 流石に俺もおいっ! ってツッコんじったわ。 よくわかんねぇ異世界でよくもまぁ生きてきたよ。 やっぱすげーよお前。 だから俺はお前に結構詳しいわけ。 あんだーすたん? ……あれ? ってかさ、なんでお前カタツムリスタートなの? 結果そんなに悪かったんか?〉


 うぐ…… 話が戻ってきた……


 仕方ない…… 話すか……。


 ……………

 ………

 …


 〈ギャハハハハハハハっ!! マジかよっ!? なになにーっ!? そらちんお前っ、まだ在学中? 何年留年すれば気がすむんだよっ!! ってか減点でかくね? そりゃお前カタツムリも納得だわっ!! ブフォッ!! っくくく……〉


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