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己が力

 

「あっ! そら! お疲れ様!! リーデルは倒した?」


 やっぱりそのつもりだったか。


 〈あぁ、倒してきたよ! 【非実体化】と【身代わり】も奪って来た。〉


「地龍戦で役に立ちそうだね!」


 〈身代わりは中々使いにくいけどね、その時点でのMPを半分消費だってさ。〉


「……でも残りMPが少なくてもその半分なんだよね? なら使い所はありそうだね!」


 たしかに、例えば残りMPが2なら1しかMPを消費しないって事になる。

 起死回生の一手に成りうる有能な魔法だ。


 〈出来ればそんなにMP消費したくは無いけどね…… さて、ちょっと休憩しようか。 次の階層はよりいっそう厳しくなるだろうし休める時に休んでおこう!〉


「はーい♪」

「うん! そうだね!」

「妾は小腹がすいたのじゃ!」

「はい。」


 なら夜ご飯を食べて睡眠を取ってから出発するか。


 ***********************



 俺達しっかり休息を取り四十九階層へと足を踏み入れた。


 そこで俺の意識は一度途絶えた……。


 …………

 ……

 …


「ここは……」


 っ!! 皆は!?


 周りを見渡すが誰の姿もない。


「分断されたのか……?」


 そこにあるのはただただ真っ直ぐ続くガラスのような道、後ろには道はない。

 周りは真っ暗で果てが有るのかさえわからないが、宙に浮くように存在するガラスのような道だけが光を放っている。


 これは進むしかないな……。


 暫くガラスの道に沿って進んでいくと、約五十メートル四方の道と同じ素材で出来た床の有る場所へ出た。


 さらにその床の奥の方に一体の魔物らしき姿が見えた。


「黒い影?」


 その姿は人型ではあるものの、人とは似て非なる姿だった。

 ただただ黒い影が地面から起き上がったような姿だ。


 そしてその影のような魔物はぐにゃぐにゃと形を変えはじめ徐々に色が付き、終いには全く違う姿へと変貌を遂げた。


「俺じゃん……。」


まるで鏡に写したように全く同じ姿をしている。


『そりゃそうだ、そのまんまコピーしたんだから。』


 喋ったっ!? しかも少しくぐもってるけど俺と同じ声で! 気持ち悪っ!!


『いま気持ち悪いとか考えてるでしょ? わかるよ、俺はお前なんだから。』


「ドッペルゲンガーってやつか……?」


『正解! その通りだよ、俺はドッペルゲンガー、姿はもちろん、声帯、魔法、スキル、称号スキル、ステータス、その全てが全く同じだよ。』


「……自分に勝てって? ありきたり過ぎやしないかね?」


『俺に言われてもなぁ…… あっ、因みに仲間も全員同じ体験をしてるはずだよ。』


 分断されてそれぞれが自分とまったく同じ力を持つ敵に勝たなくちゃならない…… この上なく厄介だな…… 長期戦になるなこりゃ。


 より上手くスキル、魔法を使った方が勝つ。

 問題はある程度俺の考えが分かるってことか…… おそらく()()()での記憶も覗かれたな。


 既存の戦い方じゃ勝てない。


 戦いのなかで成長しなくちゃ…… って事だな。


「よし、理解した。 とっとと始めよう。」


『潔いね、まぁ俺ならそうするか。 始めよっか。』


 お見合いしてても拉致があかない! 攻める!! 【瞬身】!【飛龍帝の爪】!!


 ■


 くっ!! 凄い強いっ!! 自分がこんなに手強いとは思わなかったよ。


 出し惜しみしてたら時間ばっかりかかっちゃう。


 本気で行こう、【精霊王纏い―真―】!!


 圧倒的なオーラが嵐のように舞い上がり全能感が体を満たすのを感じる。


『それはずるいんじゃないかな? 精霊王は一人だから私はそれ使えないよ。 だから私の担当嫌だったんだよ。 ……仕方ないか、せめて最後まで足掻く事にするよ! 【精霊纏い】―闇―!!』


 黒いオーラがドッペルゲンガーを包み、感じる圧が跳ね上がる。


「そもそも武器も紫陽花とかダイアモンドダストを模しただけでしょ? 装備品の格が違うんだよ。 あなた達に苦戦を強いられるのはそらと…… ルーちゃんだけなんじゃないかな?」


『……それもそうだね。 でも私は諦めない! 負けないよ!』


 ■


「あははは♪ おもしろーい!! 凄いね!! マスターが創った双銃のデュアルブレードにそっくりー!!」


『そうだよー♪ でもねでもね! 弾がでないんだよ!! これじゃ勝てないね!!』


「ねぇねぇ! なんでバラバラにしたのー? 全員一緒ならユメたちマスターにやっつけられちゃったかも知れないのに!!」


『んー、ユメ知らないよー! 昔からこうなんだよー? めったにお客さんもこないしユメつまらないのー!!』


「そうなんだー! でもねでもね! ユメたちいま地図作ってるからお客さん増えるかも!!」


『うん!! とっても楽しみ♪』


「だからごめんね? ユメがユメをやっつけちゃうね!」


『ユメもがんばるっ!!』


 ■


「貴女に勝機はありませんよ? 何故だかわかりますか?」


『そうですね、一番はそのリングの効果でしょうか。 正直勝てる気がしませんね。』


「えぇ、その通りです。 そら様に下賜されたこのリングがある限り私が貴女に負ける事はあり得ません。」


『えぇ、そのようです、羨ましい限りですね。 しかし私とてここを任されたからには全霊を持って挑まねばなりません、もう暫くお付き合いいただきましょう。』


「構いませんよ、高々数分といったところでしょうし。」


ミュスカ様は恐らく問題ないでしょう、問題があるとするならやはり……


 ■


「はぁ、はぁ、流石妾なのじゃ!」


『はぁ、はぁ、そちらこそなのじゃ!』


「ふぅ…… どれ、一段階上げるかの!! 【精霊化】―光―!!」


『望むところじゃの!! 【精霊化】―闇―!!』


 互いに精霊のそれへと身体を変化させ、薙刀での攻防が激しさを増していく。


「やるのっ!! 【焔獄咆哮】!!」


『お主ものっ!! 【焔獄咆哮】!!』


 光の精霊の力が込められた【焔獄咆哮】と闇の精霊の力が込められた【焔獄咆哮】がぶつかり合い辺りを凶悪な熱が吹き荒れる。


 攻防は止まらず【精霊化】である程度無効化されているとは言え、決して無傷とはいかない熱波の中で激しく両者はぶつかり合い更に戦いは激しさを増していく。


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