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あれがこっちでそれはあっち?

 

【飛龍帝の爪】は明後日の方へ飛んで行きダンジョンの壁を軽く抉る。


 双頭の犬が嗤った気がした。


 くっ! 【エアキューブ】!!


「は!?」


 自らを中心に展開したはずの【エアキューブ】は浮遊する俺の真下に展開された。


 目前まで二つの顎が迫っている。


 間に合え!! 【瞬身】!!


 ガキーンっ!!


 すぐ()()で牙がぶつかり合う音が響く。


 ()()だ、俺はすぐ攻撃に移れるように【瞬身】で後ろへ下がるはずだった…… にも拘らず実際には前に移動している。


 二つの頭での噛みつきに失敗した双頭の犬は俺が展開した【エアキューブ】の側面を足場に続けざまにルケへと飛びかかる。


「ルケ!!」


 ザシュッ……


「大丈夫じゃ主よ。」


 今度こそルケは双頭の犬を縦に両断した。


 〈よかった…… ルケ、今のわかった?〉


 俺もおおよそ検討がついてはいるが実際に魔物を倒したルケの意見が聞きたい。


「うむ、これは妾達の感覚が反転されておるの。」


 やっぱり。


「右を攻撃しようとしたら左に攻撃がずれ、上を攻撃しようとすると下へ反転されておるようじゃの。」


 〈更に前後も反転させられる場合があるみたいだね、さっき後ろに移動しようとしたら前に移動したから間違い無いと思う。〉


「え? でも私たち普通に前に歩けてるよね?」


 そう、ミュスカの言うとおりだ。


 〈多分だけどスキル、魔法を使った移動だけは前後の反転に含まれるんじゃないかな。〉


「それは厄介じゃの……」


 〈ルケはズレを踏まえて攻撃したの?〉


「ん? いや、違うのじゃ。 妾は今()()から来た犬っころを()から切り上げるつもりで攻撃したのじゃ。」


 なるほど、その結果が薙刀の振り下ろしによる真っ二つって事か。


 〈うーん、ユメ、ユリ、何か魔法とかスキルとかかけられてる感覚ある?〉


「ないよー!!」


「私もですね、恐らくこれはこの階層の()()では無いかと推測致します。」


 仕様……ね まぁ、ダンジョンの中ではここまでそうだったように水の壁とか雨みたいな雷とか地上の常識が通じない所があるしそう考えるのが妥当なのかな。


 〈なら【絶界】でも防げない感じなのかな…… ルケ、試してみてくれる?〉


「うむ。 【絶界】! ……………ふむ、無理じゃの。」


 ルケは何度か薙刀を振り抜きそう結論付けた。


 〈これは慣れるまで時間がかかりそうだね…… 皆も一回反転の感覚を確かめておいて! 攻撃するっていう意思をもって素振りとかすればたぶん分かるから。 後は移動系スキル、魔法を使うときは気を付けて〉


「あれ? でもそら、そらはスキルか魔法で宙に浮いてるよね? それって変じゃない?」


 〈……たしかに。 もしかしたらそれも戦闘の意識とかで発動したりしなかったりするのかも……〉


 面倒くさい階層だなこりゃ。


 〈ルケがさっき言った通り、この階層では相手の正面に入れるようにしよう、もしかしたら戦闘中は通常の移動すらも反転されるかも…… いや、それなら攻撃は後ろに飛んでくか…… 今のうちに色々想定して確かめようか。〉


 ……………

 ………

 …


 全員で検証した結果、攻撃時のみ上下左右が反転し、戦闘中のみ移動系スキルと魔法に前後反転の効果がつく。

 しかし飛行系のスキル、魔法は効果を受けない。

 更に防御系のスキル、魔法は前後の制約を受けず、通常の防御行動は反転が一切無いと結論付けた。


 しかしこれが分かったからといって完璧に行動をアジャストするのは至難の技だ。

 小さなミスから様々な歯車が一気に狂うだろう。


 〈やっぱり皆でカバーしあってくしか無いかな。 今回は出来るだけ単独行動しないで動こう、複数敵が現れたらペアを組んで戦おうか。〉


「妾たちは五人パーティーじゃ、それでは一人あぶれるの。」


 〈それは【幻想鏡】で補うよ。〉


【幻想鏡】が浮かび上がり中から俺がもう一人出て来る。


「わかったー!!」

「私も大丈夫だよ!」

「問題ありません。」

「ペア……」


 〈ペアは戦闘時一番近い人と組んでね! 事前に決めると何らかの理由で離れたときに初動が遅れかねないからね。〉


 それぞれが頷くのを確認して移動を開始する。


 ん? なんかルケが近い気がするけどまぁいいか。


「ユメ、敵は? 」


「んとねー、後五回曲がったらいるー!! その先はどんどん増えてくよー!!」


 **************************


 この階層に入ってから既に一日半が過ぎた。


 徐々にではあるが反転にも馴れてきて角を曲がる度に複数エンカウントする魔物への対応もある程度安定してきた。


「ユリ! 【ライトスポット】を!」


「はい。 【ライトスポット】」


 この魔法は文字通り光をスポット的に投光するだけの魔法だが意外と使い勝手がいい魔法でもある。

 光の強弱、向き、光源数もコントロール出来る為、影を壁に落としたり、目眩ましなどにも使えるだろう。


【付与術神】!! ユメに【影翳り】を付与!!


「ユメ! 蜂の巣だ!!」


「やったーー!! 蜂の巣ーー♪」


 ドドドドドドドドドドドっ!!


「ユメ、格好良かったですよ。」


「えへへー! ありがとーおねーちゃん!! 初めて一緒に敵をぶっ殺したね!!」


「そうね、ふふ。」


 やはりユメとユメは順応が早い、今のユリの魔法もユメの銃撃もほぼほぼ全弾が命中している。


 ……保険でユリに頼んだ【ライトスポット】と【影翳り】が無くても行けたかもしれない。


 今倒したのは蛇型の魔物で協力な毒を使う敵だった。


 まぁ、今は穴だらけで何が何だかわからないけど。


「そら様、間も無くボスが眠る巨大空洞に到達致します、ご準備を。」


 〈わかったよ、皆、この階層のボスは一筋縄じゃいかないかもしれない、でも皆で挑めば問題ないと俺は思う、力を合わせて頑張ろう!〉


「はっちの巣はっちの巣たのしいな♪」

「頑張ろうね!」

「補佐はお任せください。」

「あぁ、ペアが終わるのじゃ……」


 ルケは連携が気に入ったのかな……。

こんにちは\(^o^)/

いつも輪廻の渦をお読み頂きましてありがとうございます!!


・・・以上です笑

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