水中地図
〈さっき、俺は君達の攻略を手伝うと言ったよね? だけど今聞いた情報からあの水の中の迷路の形さえしっかりと把握出来れば君達の功績は確かな物になると思ったんだよね、今必要なのは君達の情報の正否、ここまではいいかな?〉
「あぁ、いいぜ。」
〈うん、それで俺が今からあの水の中に遠隔操作出来る物を飛ばすからジャンは俺の後ろでどう動かすか指示をして欲しい、これであの滝の入口までどう動くか分かるよね。〉
「そんな事が…… リスクを回避して確認が出来る素晴らしい手だ。」
〈ティーレかプル、どちらかで絵が得意なのは?〉
「俺だな、これでもここまでトラップやらを解除してきたんだ、手先が器用だからよ!」
〈よし、それならプルには紙と書くものを渡すから水中迷路の道順を絵と文字で書き留めてくれるかな。〉
「おう! まかせろ!!」
〈それでティーレ、君はプルが書いている内容を見ながら客観的にその書き方で初めて見る人に伝わるかを確認しながら疑問や補足があればそれを随時プルとジャンへ投げてくれ、出来る?〉
「なんて賢い…… はぁはぁ…… んっ 欲しい…… あっ、出来ます!」
やっぱり怖い……。
〈皆は各々警戒と三人の警護をお願い。〉
「はーい♪」
「わかったよ!」
「かしこまりました。」
「任せるのじゃ!」
よし、これで上を除く四面がカバー出来る、俺は見上げてる範囲を警戒すれば全面磐石だ。
「ここまでしてもらって… 本当にこれ以上感謝しかできないのが心苦しい限りだ、本当にありがとう…… それで道順を確かめてそこを通ってあの滝を目指すんだね?」
〈いや、試したい事があるからそれはまた後でね。 今はしっかりと水中地図を書き上げよう! じゃあ皆配置について! 始めるよ!〉
俺の指示で各々が配置に付く。
まずはプルからだな【万物の創造神】!!
生み出すのは大きめの画用紙と…… ミュスカ目もあるし筆にしとくか…… あとそれをのせる机、あと椅子もだな!
小さな魔方陣が展開され各々を作り出す。
「んぉ!? おいおい、本当にヤベーな、なんでもありじゃねーか!! ガッハハハ!!」
次は水中を探る物…… 通った道が分かった方がいいよね、それじゃあこれだな。
再び小さな魔方陣から造られたのは五十センチほどの鉄球に百メートル程の鎖がついた物だ。
「これは凄い、とても分かりやすいよ。」
「よっし! 俺は準備万端だぜ!!」
あっ、椅子少し小さかったかな…… 子供の椅子に大人が座わってるみたいになってる…… ま、まぁいいかな? 我慢してもらおう。
「私はいつでも大丈夫です!」
〈よし、始めよう、ジャン指示を!〉
【超念動力】!!
「あぁ、任せてくれ! まずはあの浮遊してる魔物の右側へ飛ばしてくれ。 次はそのまま上へ。 あぁ、そこだ! そこから真っ直ぐ動かして、次は左だ!」
……………
………
…
途中でウツボのような魔物が何匹か襲いかかって来たが都度撃退、鉄球の方に攻撃してきた奴にはその鼻柱に強烈な鉄球パンチをお見舞いして撃退し遂に地図の完成にこぎ着けた。
「おっし!! 出来たぜ!! 見てくれ!!」
プルが書いた水中迷路の地図は圧巻の一言だった、文字は読めないからわからないけど空間の把握能力が異常に高いのが分かる、地面の形状から把握出来るように工夫された立ち位置、角度と思わしき記号、ウツボの魔物まで緻密に描かれている。
本当に筆で書いたのこれ…… 巧すぎなんだけど……。
トレ・ソーリ・トレのメンバーが全員でそれを除き込み、満足そうに頷き合っている。
〈みんなお疲れ様! とってもいいものが出来たみたいだね!〉
「あぁ、ありがとう! それでこの後はどうするんだい? さっき言ってた考えを教えて欲しい。」
あぁ、それね。
〈取り敢えずみんな横に並んでみてくれる?〉
ここまでの俺の行動でみんな素直に並んでくれた。
〈手を繋いで〉
横一列で皆が手を繋ぎ、俺はルケの頭に乗る形になる。
「主っ!! ぐ、妾は今泣きそうじゃ……」
「あ、ごめん嫌だった?」
「そのような事があるわけが無いのじゃっ!! いつでもいつまでもそこにいて欲しいくらいじゃっ!!」
まぁ、今の俺はフワフワで軽いし案外心地いいのかもね。
「ならこのまま進めるね。」
「うむっ!!」
「これでどうすんだぁ?」
それはね…… こうするんだよ!
〈はいみんな息を吸って! ……はい止めて!!〉
みんなが息を止めた事を確認して次の行動を取る。
【瞬身】!!
一瞬で視点が切り替わり俺達は全員で滝の落下点の手前に移動する。
いきなり水中に移動し驚く者もいたようだが、見ないしっかりと息を止めている。
そのまま水流に飲まれ滝に吸い込まれ落下運動が始まる、それに合わせ【超念動力】で水中から脱し続けて飛行へ移行する。
「ぷぁっ!! あー、ビックリしたわ!! 何今のは!! テレポートかしら!! 凄い、これがAAランクの魔物のちからなの!?」
ティーレを半ば無視しながらそのままゆっくりと下っていくと途中で水の壁から見慣れた岩の壁に切り替わり、やがて滝壺と地面の、川へと変化した。
そして横には洞穴の用な穴が空いており、どうやらそれが下の階層へと続く階段になっているようだった。
「やった…… やったぞ!! なぁ! 見てみろプルっ!! ティーレっ!!」
三人は達成感からか、はたまた帰還できる安堵からかまた涙を流していた。
手を離し駆けて行く三人を見てユメが嬉しそうに笑っている。
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瓦落落 ルマ




