ギガントリッチ
こんにちは、瓦落落ルマです(^∧^)
いつもお読み頂きありがとうございます!
今回はグルメ回でございます。
次の話からダンジョン編でございます!!
「失礼致します、ご無沙汰しております、お料理の準備が調いましたので別室へご案内致します。」
あっ! 出来るメイドさんだ! 相変わらず立ち居振舞いが完璧だな。
〈ありがとう!〉
突然の【念話】にも拘わらず、驚きを表情に出さず完璧なお辞儀を返してきた。
本当に凄いなこのメイドさん。
「どうぞこちらへ。」
俺達は案内されるままなんとなく見覚えのある扉をくぐり、王のいる部屋へとたどり着いた。
「あっ!! トカイもいるーー!! ヤッホー♪」
「ユメ、ヤッホ。」
王さまだけかと思ったらトカイもいてユメのテンションが一気に上がったな!
「ルケとそらもヤッホ、二人とも変わった。」
「久しいのトカイ、元気じゃったかの?」
「うん、元気。」
「トカイ、屋敷の皆は元気かな?」
「うん、またここにしばらくいるなら家に泊まればいい。」
「じゃあ今晩だけお世話になろっかな、明日にはダンジョンに挑むから。」
「わかった、皆喜ぶ。」
結局お金問題解決してないから助かるな。
「さぁ喋ってばかりいないで好きなところに座ってくれ! 今回も最高の料理をボスコに作らせた! 楽しんでくれ!」
そう言うとアースポエティカ王は手を二回叩く。
「失礼致します。」
出たっ!! コック帽が物凄く長い料理長!! しかも前回よりちょっと長い気がする!!
「お久しぶりでございます、料理長のボスコでございます、この度は皆様のご帰還、とても嬉しく思います、さてお腹もすいておいでかと思いますので早速コースのご紹介をさせて頂きます。」
よっ! 待ってました!! どんな感じにしてくれたのかな、あー、楽しみだ!!
「今回の食材のギガントリッチは私自身初めて触れる食材でございます、まずは貴重な食材をご提供頂きまして感謝を申し上げます。 では最初に突き出しでございますが、ダンジョン産の色とりどりのお野菜にそれぞれ最適な火入れを施しまして賽の目に小さくカット致しまして綺麗なガラスの器に盛り付けてございます、そこへ丁寧に仕上げたギガントリッチのムース仕立てをお乗せして仕上げました。」
へー、あの魔物ギガントリッチって言うんだ…… いや、そんなことよりしょっぱなから手が込んでる、これは楽しみだな!
「続いて前菜でございますが、前回ご提供頂きました黒龍の股肉を膀胱に詰め、塩漬けにした後定期的に国王の秘蔵の黒葡萄酒で表面を洗い仕上げた生ハムとダンジョンガーリックの香りを合わせ、更に生ギガントリッチを合わせた冷たい前菜」
「まて! ボスコ!!貴様またやりおったなっ!!」
生ハムーー!! すきすき!! 最高だよねっ!! 王さまはいい加減諦めてもらって。
「もう一品前菜でございますが、温かい品で御座います。
軽く炙ったギガントリッチに軽くソテーした砂海老の姿焼きを合わせましてダンジョントマトのソースを合わせた一品」
砂海老…… 知らないけど美味しそうっ!!
「続いてスープ料理でございますが、砂漠鴨から取りました優しいスープに、泡状に仕上げたギガントリッチをお乗せし、更に砂漠芋のピューレを底に忍ばせたお料理を。」
ここまで来るともう味の予想がつかない!
ボスコの料理は洗練されてて外れがない、もうヨダレがナイアガラだよ!
「次は魚料理を、まず砂漠飛び魚のグリルをダンジョンレモンと香りと共にご用意致しましてさらにダンジョンパセリと合わせたギガントリッチのソースと合わせ、さらに上から火炎魔法で力強く炙ってグラタン仕立てに。
旨い! 取り敢えず旨いっ!!
「そしてメイン料理はギガントリッチのオーブン焼きでございます、シンプルに仕上げ外は香ばしく中はレアに仕上げて参りますのでお楽しみになさってください。」
雲丹は雲丹でも規模が違うから物凄い厚みがあるんだろうなぁ。
シンプルだと逆にその違いがわかって面白そうだな。
あっ、今回のデザートどうするんだろ……。
「デザートにはギガントリッチの刺を使用致します。」
え? 刺なんて食べられるの?
「ギガントリッチの刺には豊富な鉄分と微量の毒がございます。」
毒っ!?
「この毒は熱に弱く炭化するまで加熱することによって毒性を取り除く事ができます、さらにその副産物として芳醇なバニラのような香りが生まれます、それを利用し砂漠エミュの卵と合わカスタードを炊きダンジョンプルーンのコンポスタと合わせ更に………」
……………
………
…
結果を言えば全部とんでもなく美味かった、ギガントリッチは俺の中の雲丹の概念を完全にぶち壊した。
「雲丹なんて久しぶりに食べたよ! 私が知ってる雲丹とは全然違くて、なんて言うのかな…… 新鮮な甘エビみたいな甘さと香りが別格だったよ。 そら、ありがとうね! とっても美味しかったよ! アースポエティカ王とボスコさんもありがとうございます! 故郷を思いだしました。」
ミュスカも気に入ったみたいだ、よかった。
「そうか! それは良かった! ボスコよ、また腕をあげたか?」
「お褒め頂きまして光栄でございます。 今後も研鑽に励みます。 ユメ様方もカディフラティへお立ち寄りの際は是非私に料理をさせて下さい。 料理人の誇りにかけて美味しいお料理をお作り致します。」
〈ありがとう。〉
俺の突然の念話に驚きながらも深々と頭を下げ部屋を後にしていった。
「それで今後の予定はどうするのだ? 地龍ダンジョンを攻略するのであれば我が国に暫く滞在するんだろう?」
「ユメ、いい感じに説明してあげてくれる?」
「おっけー♪ えっとねー、明日からダンジョンに行くよー! 皆一緒だから二週間くらいで制覇して帰ってくるー♪」
へぇ、ユメの見立てだと約半月で制覇、少なくても最下層までたどり着ける計算なんだな。
「ほぉ、そうか。 攻略が成されれば勇者達に続いて史上二組目だな! その際には国をあげて祝おう!! それで頼みが有るんだが、出来れば各階層のマップを作って欲しい、それがあれば我が国に冒険者が集まり、より一層国が潤う! どうだ?」
「ユメ、出来る?」
「できるよー! その時マスターに【万物の創造神】貸してもらうー!」
なるほど、その手があるか。
「そうか! では頼む!!」
その後王やトカイを含めたみんなで雑談している内にどっぷりと日が沈み窓から見える街並みに火が灯る。
「さぁ、そろそろお暇しようか、ユメ、王さまに帰るって言ってくれる? 皆も聞いて欲しいんだけど俺は必要以上に【念話】使わないようにするからそのつもりでよろしくね! 万が一ミュスカの前でボロでも出したら大変な事になるからね。」
ミュスカと王さまを除いた皆が小さく頷く。
「ユメたち夜だからかえるねー! また遊びにくるね! トカイ! 行こっ♪」
「うん。 行く。」
「そうか、無事に戻ってこい!! メイド長! ここへ!」
完璧な所作で現れたいつものメイドさんに案内され城を後にし俺達はトカイの家に向かうのだった。
メイド長だったんだな……。




