何が為の歓待
ようやく定職につけました…。
コロナでなかなか話が進まず再就職までに時間がかかってしまい筆を取る余裕がありませんでした(-_-;)
間が空いてしまったことを心よりお詫び申し上げます((T_T))
まだ1日1話という訳にはいきませんが、週に2話程度は更新出来るようにと考えておりますので見捨てないでいただけると嬉しいです(>_<)
よろしくお願いいたします!
瓦落落 ルマ
大気が震えていた。
静かに滞空するルケから発せられる凄まじい熱量と魔力の迸りに大気が呼応するかのように。
目を閉じ、ただ深く、深く、深く…… 集中が高まっていくのが見てとれる。
そして不意にルケが目を開く。
その瞳は静かで、柔らかく、慈悲深さすら感じるものだった。
〈ここまでとは…… 早まったかな……〉
『【絶界】……』
ダイちゃんを大きな【絶界】が覆う。
〈これは僕を閉じ込めているのかな? そんな事しなくても避けたりしないのに…… さぁ、見せてみてよ。〉
ダイちゃんから漆黒のオーラのような物が溢れ揺らめいている。
ルケは天を仰ぎ、大きくその顎を開く。
辺りに溢れていた熱量と魔力が集まりルケの眼前でとてつもなく大きな球状に纏めあげられて行く。
さながらそれは太陽のようであった。
更にそれを圧縮しているのであろう、徐々に輝きを増しながら小さく、小さく変化していく。
やがて先程までの太陽は一センチ程度まで圧縮されてしまった。
震えていた大気が静けさを取り戻し、時間すら止まってしまったかのような静寂が暫く続いた。
『では…… 終わらせるとするかの…… 龍の鏡……』
放たれた小さな光は線となり【絶界】をすり抜けダイチャンへと直撃する…… かに思われたが僅かに外れ地面を反射した。
〈ん?〉
『その【絶界】は中で魔法を反射し、そして増幅、加速するのじゃ。』
乱反射を続け威力とスピードを増しながら幾度となくダイチャンを貫く光は更に加速しその空間を光で満たす。
〈ぐぅっ……がぁっ!! 吸収が間に合わっ……〉
……………
………
…
あれは【絶界】から離脱する術がないと俺でもただじゃすまないな……。
『……もう、いいかの。』
ルケはそう呟くと魔法を解除した。
後に残る物は何もなかった。
「わーい! ルケの勝ちー♪ ……んー?」
「ルケ、お疲れ様! 凄かったよ!」
『主の【絶界】の使い方から考えた攻撃なのじゃ! いわば二人の共同作業じゃの! じゃがすまぬ、ダイチャンを消滅させてしまっては情報とプレゼントとやらは得られぬの…… ユメよ何か気になるこ……』
〈ほんとだよ、危うく嘘つきになるところだった。〉
「っ!?」
近くの地面からダイチャンがひょっこり顔を出してくる。
『ダイちゃん…… 何故無傷なのじゃっ……!?』
〈無傷だなんてとんでもないよ、間違いなくさっきの攻撃で消滅したよ。 細胞一つ残らずね。 吸収も出来なかったし完全に負かされたといってもいいね。〉
「あー! わかったー! 核を隠しといたんでしょー!!」
なるほどな、確かにスライムは核が無事なら時間がかかるけど復活するって前に聞いたな。
にしても早すぎるけど。
〈ご名答。 念のため君たちが来る前に地面に隠しといたんだ。 再生速度もかなり早いのが僕の密かな自慢だったりもするよ。 それはさておき、約束通り情報とちょっとしたプレゼントを進呈しようか。〉
『ずるいのじゃ……』
〈まぁまぁ、いいじゃないか、君たちの勝利に違いはないんだから。〉
確かに少しずるい気がしなくもないけど俺たちにとっては幸運ともいえるな。
〈まず情報だね。 君たちを試したその理由を話そうか、僕はこの後君たちが対峙する存在に使役されている…… 囚われていると言ってもいいかもしれないね。〉
「ごめん、口を挟んで悪いけど、ダイちゃん程の強さがあって、こうして目の前で出歩いているのを見て囚われているっていう言葉の真意がわからないんだけど……」
〈そう、それだ。 正に君たちにとってとても有益な情報足り得るものだ。 僕は言葉通り囚われているんだ…… 魂をね。〉
魂……。
〈そう、あれは魂を縛る。 方法は簡単゛一番大切な物はなんだ゛という質問に答える事。 答えたらその大切なものを文字通り取られる、そしてその大切なものを失くすか、大切なものに手を出さない代わりに魂を差し出し使役されるかの選択を迫られる。 契約みたいなものだと考えていい。 そして回避方法はただ一つ答えない事。〉
『ならばその質問を無視すれば終わりじゃの。』
〈いや、それがそうじゃない。 思い浮かべたが最後…… 口が勝手に動き言葉を紡ぐ…… それがあれの力だよ。〉
『……それはまた厄介な力じゃの……。』
……本当に厄介だ。
だがここまで教えてもらえば対策の立てようは有る。
教えてもらわなかったら大変な事になってたな……。
〈……その落ち着いた反応を見る限り何か対策が浮かんだようだね。 話した意味があったようで良かったよ。 でも気を付けて挑むといい、それが無くてもあれは強大な力を持っているからね。〉
「あぁ、お陰さまでね。 それで気になってたんだけど、ダイちゃんはそいつに従って俺たちを試したんだよね? その狙いはなんなの?」
〈簡単に言えば手駒足り得るか…… だね。 あれは自らを魔の王と言って憚らない。 つまり狙いは現魔王だよ。〉
魔王……。
「マオー♪」
「それじゃあさらに従う訳にはいかないな……。」
友達……だもんな。
〈それがいいね。 是非ともそうしてよ。 あれからの【念話】、聞いたよね? 最初は紳士面して油断を誘って来るから気を付けてね、歓待とは名ばかりで君たちを家畜のように肥えさせる事しか考えていないよ、後でスキルで縛るつもりだからね。 あぁ、因みにこの会話は僕の方で伝わらないようにしてあるから安心していいよ。 さて…… 次はプレゼントだね。〉
そう言って漆黒の体からある物を取り出し俺たちに差し出した。
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瓦落落 ルマ




