龍虎拮抗す
こんにちは(*^^*)
未だに引っ越しと転職でてんやわんやの右往左往のてんてこ舞いでございまして中々執筆が進みません(^_^;)
申し訳ない( ;∀;)
光さえも吸収してしまいそうな程に黒かったその体が徐々に透き通っていき、青みを帯びる。
ルケの発する熱波に呼応するかのように豪雪と暴風を伴う寒波が吹きすさび熱波とぶつかりせめぎ合う。
豪雪の嵐の中心で降り積もる雪が如くその大きさを増して行き、やがてドラゴンと化したルケに匹敵するまでになった。
その姿は見るものに凍てつくかのような恐怖をもたらしながらゆっくりと露になっていく。
触れた物の全てを凍らせ削り取るかのような鋭く太い爪、透き通り青く冷たい光を内包する発達した脚としなやかな尾、青白い逞しい胴から全体にうっすら現れた縞模様、氷柱のような牙が生えた顎から漏れでた冷気から凍てつく眼光を覗かせる。
「あー! 虎さんになったー♪」
そう、その姿は虎を模してした。
しかしここでふと俺の頭に疑問が浮かぶ。
「ねぇ、ダイちゃん?」
〈…ふぅ、何かな?〉
「なんで一回スライムに戻ったのかな? さっきの獣王のフォルムからのが早かったんじゃない?」
〈…………。〉
「…………。」
〈この姿は雪虎、氷雪を操る古代の魔獣を元にしているんだ、これで相手をしてあげるよ。〉
「いや、だからなんで…」
〈さぁ、そろそろ始めようか。〉
「ねぇ……」
〈来ないならこちらから行くよ?〉
うん、恥ずかしいんだな…… そっとしておこう。
『主よ、あまり苛めたらかわいそうじゃよ。』
若干の残念さを醸し出しながらも雪虎が先手を打つべく動きを見せる。
大きく開かれた顎に強烈な冷気とエネルギーが集中していく。
それに合わせるかのようにルケも大きく息を吸い込みながら同時にエネルギーと熱量が迸るのが見てとれる。
〈まず小手調べだ…… 【氷雪世界】!〉
吐き出されたそれは地面や空気を凍らせながらルケへと突き進む。
『龍のため息!!』
凄まじい熱量を伴う深紫の火炎が吐き出され、全てを焼きながら【氷雪世界】とぶつかり合う。
激しいせめぎ合いを見せながら、互いが互いをのみ込まんとしているのが見て取れる。
次の瞬間、轟音と共に辺りは水蒸気に飲み込まれ視界が通らなくなる。
「すごーーい!! もくもくー♪」
ルケも凄いけど、ダイちゃんもとんでもない力だ・・・。
ゆっくりと水蒸気が風に流され徐々に視界がクリアになる。
そして露になったその光景に俺は息をのんだ。
そこにあったのは凍った炎とも言えるし、燃える氷ともいえる物だった。
透き通った氷の中で豪々と燃えながら所々から吹き出す炎、その凄まじい熱を受けながらも尚固体を保ち続ける氷、なんとも、不思議な光景であった。
〈あはは、いいね、実にいいよ。〉
『次は妾の番じゃの。』
〈ああ、どんどん来るといいよ。〉
……………
………
…
ルケとダイちゃんが戦い初めてから既に小一時間が経過していた。
互いに一歩も引かず、互いに決め手に欠ける、そんな攻防が続きそれぞれが大分消耗しているようだ。
『ふぅ、ふぅ…… ダイちゃんよ、次が最後じゃ…… ふぅ……』
〈……一つ謝らないといけないようだね、君一人にここまで消耗させられるとは考えて無かったよ。 まとめて相手取っていたら恐らく僕は封殺されていただろうね…… 正直これ以上相手をする必要も無いんだけど…… それじゃあ君の気がすまないだろうね。 そこで一つ提案が有るんだけどいいかな?〉
『提案…… 内容次第じゃな。』
〈それはそうだよね、ちょっと待ってね〉
ダイちゃんはそう言うと体をぐにゃぐにゃと変形させ、元の真っ黒なスライムの姿に戻した。
〈ふぅ、それで提案の内容なんだけどね、僕の真骨頂ってさ、攻撃じゃないんだ、真に強力なのは吸収率なんだよね。 魔法にせよ物理攻撃にせよその威力を殺して更にそれを模倣する能力なんだ。 だから最後に君の全力を僕にぶつけてよ。〉
『つまり提案というのは妾の攻撃をダイちゃんが吸収しその威力を殺しきれるか…… という事でいいのかの?』
〈うん、そうなるね。 さっきもかるく触れたけどもう君たちの試しは終わってるんだ、結果はもちろん文句無しの合格! だからここからはボーナスステージって事で結果次第で君たちにとって有益な情報とちょっとしたプレゼントを用意するよ、内容はその時のお楽しみだけどね、どうかな?〉
『……手加減は要らぬのじゃの? それで消し飛んでも恨んでくれるなよ?』
〈もちろん。〉
『ならば妾はかまわぬのじゃ、主はそれでよいかの?』
俺としては特に異存は無い、有益な情報とやらも気になるしね。
「ああ、ルケにまかせるよ!」
ダイちゃんの狙いはルケの全力の攻撃の模倣だろうけどここまでの戦いを見て敵意はやはり感じない、ならば今後それが脅威になる事は恐らくないだろう。
『決まりじゃの、どれダイちゃんよ、準備はいいかの?』
〈いつでもどうぞ。〉
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