それぞれが纏うもの
こんにちは(*^^*)
私事ですが、ただいま転職と転居でバタバタしており中々投稿する事が出来ておりません(*T^T)
もう少ししたら生活が落ち着いてくるかと思いますので、今しばらく鈍亀ペースの更新にお付き合い頂ければと思います・・・。
瓦落落 ルマ _@っ"
さすが歓待と言うだけの事はある、ゼタマンティスを倒した後から数時間おきに強い魔物が自分の順番を待っていたかのように現れる。
そしてまた、少し先に小さな黒い塊のようなものが地面を這ってくる見て取れた。
「はぁ、またか。 次は誰がいこっか?」
『妾が行くのじゃ、中々最後の一レベルが上がらぬようじゃしの。 せっかく糧を用意してくれたのじゃ、食い散らかしてやるのじゃ。 どれ、相手は・・・スライム系かの?』
「アキュミュレイトスライムだって! さっきまでのよりずっと強いよ!」
スライムって聞くとマスターテイマーズ杯のすぐ死んじゃうスライムを思い出すな。
全く強いイメージがわかないんだけど……
『……ユメの言うことじゃ、信じよう…… 同じ過ちは繰り返さぬのじゃ』
〈うん、それがいいと思うよ。〉
『ほう……』
ルケは警戒を一段階上げたかのように目を細める。
また【念話】か? ってことはかなり知性が高い魔物だ。
本当に油断は出来ないな。
「ルケー! そのぷよぷよね! おじいちゃんだよ! とっても長生きで進化もたくさんしてる!!」
ユメもかなり警戒してるみたいだな。
『……名を聞いておこうかの?』
〈名前かい? あえて名乗っては来なかったけど、そうだね…… 君の先祖は僕を大賢者って呼んだよ。 長いからダイちゃんとでも呼んでよ。〉
ルケの先祖!? それって勇者か獣王ってことか!?
『はて、妾の先祖とは誰の事じゃ?』
〈誰って…… 見て貰った方が早いか。〉
全てを飲み込む深い穴のように真っ黒なスライムの体がみるみると形を変えながらその体積を増やしていき、やがて姿を現したのはルケに似た魔物だった。
『……なるほどの。 一族に伝わる話に一匹のスライムの話があったのを思い出したのじゃ。 強さの絶頂期を迎えていた獣王と戦い引き分けたスライムがいたとかいう内容での、誰も信じてはいなかったのじゃが、……どうやら真実であったようじゃの。』
〈僕の話が残ってるのか…… 感慨深いな。〉
『それでダイちゃんよ、戦いに来たのかの?』
〈そうであるとも言えるし、違うとも言えるかな。 厳密には試しに来たが正しいかな。〉
「試すって具体的には何をするの?」
〈……君、中々面白い存在だね。 転生者か、久しぶりに見るよ。〉
っ!? なぜっ!!
〈あー、何故って思ったかな? まぁ、見れば分かるんだよ、そんなに警戒しなくても取って食ったりしないから安心してよ。 あくまで僕は試しに来ただけなんだから。 それでどうやって試すかだったよね? そうだね、この先に進む権利が有るかを試すんだけど、一番手っ取り早いのはやっぱり戦って力を示して貰うことだね。 全員でかかってきてもいいし順番でもいい、なんなら一番強い子か逆に一番弱い子が代表で戦ってもいい。 どうするかは君たちが決めていいよ。〉
こいつは得体知れない、ここは俺が戦うべきか?
『主よ、やはり妾にやらせておくれ、全盛期の獣王と引き分けた者と戦って観たいのじゃ。』
「だけど…… あの、ダイちゃん? さっき取って食ったりしないって言ったよね? それって殺し合いをするわけじゃないって事でいいのかな?」
〈そうだね、僕は殺さないよ。 だけどそっちは殺す気でやってくれて構わないよ。〉
『元より妾はそのつもりじゃ、じゃがの、あまり舐めてかかると痛い目をみるのじゃ。』
完全にこのスライムを信じる事は出来ないけど、ルケの気持ちも尊重してあげたい。
ここは少し牽制だけしてルケに任せる事にしよう。
「わかった、ユメもルケに任せる、それでいいかな?」
「うん! ユメはマスターとルケがそれでいいならばんじおっけー♪」
「よし、決まりだね。 ダイちゃん、一応言っておくけど…… もしさっきの言葉を違えたら…… 殺すから。」
〈……へえ、中々どうして…… 大丈夫、心配は要らないよ。 治る程度で留めると約束しよう。〉
『主よ、心配は要らぬよ、負ける気もないしの。』
ふぅ、こんなもんだな。
後は成り行きを見守ろう。
〈じゃあそろそろ始めようか。〉
そう言うとダイちゃんは元の姿へと戻り、準備運動とでも言うかのように上や左右に体をぐにゃぐにゃと伸ばしルケへと向かい合った。
『では、存分に試して貰うとするかのっ!!【鬣炎】―紫炎―!!【精霊化】!!【形態変化】……』
仄暗く燃え盛る鬣が体全体へ燃え広がっていき炎の化身へと姿を変えた。
そして更に姿が変化していく、後ろ足が更に発達し尾が太く長く伸びて行く、さらに背中からは炎の翼が広がる。
天を衝くような咆哮と共に伸びる首、それに引かれるように前足が地を離れる。
鋭い爪と牙、そして角が伸び全身から燃え盛る紫炎と共に恐怖の象徴がそこに現れた。
『―ドラゴン―』
「あの姿は……!!」
飛竜帝…… この世界で俺を最も追い詰めた存在。
大きさこそそれに及ばない物の、間違いなくあの姿のモデルになっているのはヴィオニエの助力でどうにか倒す事の出来たあのドラゴンだろう。
〈へぇ、そう来るか…… ならこっちは【雪纏い】【精霊化】【形態変化】……〉
「なっ!?」




