表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/185

焦げと焦り

 

 いや、あれは焦げた部分が正常な状態にもどっていってるのか?


 点在する焼死体から焦げた部分が不自然に引き、やがて地面を這う焦げだけがモゾモゾと動き一ヶ所に集まっていきゆっくりと不安定ながら人の形を思わせる姿へと変化していく。


 中々状況が把握出来ずにいると後ろから声がかかった。


『主、なんじゃあのウネウネしてるものは、敵かの?』


「ルケか、いや俺も今来たところで何がなんだか……」


「おーい、マスター! サンタ達は避難する人達と一緒に行ったよー! ……あっ! スミレだっ!!」


 スミレ!? あの焦げの塊がか? な、何が起こったんだ?


「ユメ【女神の瞳】で何かわかるかな?」


「えっとねー、あれはスミレの魔法なの! 周りの人のダメージを全部代わりに自分に移すやつ!!」


「そ、そうか! さっきの爆発から日ノ本の人達を守る為に…… でも良かった!! スミレはああいう攻撃効かないもんね!」


「ううん、スミレは爆発じゃなくてダメージを代わりに受けたの! だから全員分熱いし痛いの!」


『な、なんじゃと!? 体を黒炭にするほどの熱をこの人数分じゃと!? それでは……』


 いや、まだ生きてる!! 魔法が継続してるのがその証拠だっ!! まだ間に合うはずだっ!! いや、間に合わせるっ!!


「【【【ウォーターライフ】】】!!」


 重ねがけしたこれならっ……!!



 黒く焼け焦げた地面を空に浮かぶ魔方陣が優しく照らし、柔らかく暖かな光が弾け水滴を象りゆっくりと優しく降り注いでいく…… それは弱々しく蠢く焦げの塊にも同様に降り注いでいく。


「っな!? 触れた瞬間に蒸発させられてる!?」


 くそっ!!


 その間にも弱々しく蠢いていた焦げの塊はさらに動きを弱めていく。


「おいおいっ!! あんまり無視すんなよぉ!! 寂しいじゃねぇかぁ!!」


 魔族の男が喚きながらこちらへと攻撃体制を取る。


「邪魔だっ!! ユメっ!! ルケっ!! あいつを近寄らせないでっ!!」


「うんっ!!」

『うむっ!! ゆくぞユメっ!! 乗れ!!』


「わかったー!!」


 あっちは任せるっ!! 今は…… 時間がないっ!!


「【エアキューブ】!【【【【【【【ウォーターライフ】】】】】】】!!」


 スミレであろう焦げの塊を【エアキューブ】で囲み【ウォーターライフ】をこの中で七重にして発動させる。


 広範囲に分散されてしまっていた【ウォーターライフ】の水滴を全て【エアキューブ】内に閉じ込めるっ!!


【エアキューブ】の中が【ウォーターライフ】で満たされ、焦げの塊からコポコポと水泡が立ち上る。



 やがて水泡が落ち着き焦げも完全に動きを止めてしまった。


【エアキューブ】を解除するとバシャッという音を立て熱くなった湯が地面に染み込んでいき湯気を立ち上らせる。



「間に…… 合わなかった……?」


 あの時俺がスミレに任せないで自分で魔族と戦ってたら……。


「くそ……。」


 ヴァンパイアクイーンの力を過信した俺の責任だ。


「スミレ…… ごめんっ…… ごめんなさいっ……。」


 ……………

 ………

 …


 どれだけそうしていただろうか、僅か数秒か… 数十分か……。


 聞こえてくるユメ達の戦闘音からすると僅かな時間だったのだろう、だが俺にはその短い時間がやけに長く感じたのだ。


 時たまこういう瞬間が有る、キレているのにその自分を静かに冷静に俯瞰で見るような感覚……。


 いま【不屈の精神力】のスキルは仕事をしていない、何故か…… もちろん俺が意図的にそれを止めたからだ。


 上空では爆発音が断続的に鳴り響き戦いは激しさを増しているようだ。


「そろそろ行かなきゃ。 ……【瞬身】。」


 気付いたら魔族を後ろから見下ろしていた。


「あっ! マスター!!」

『これっ!ユメ!こういう時は呼ぶでないっ!!』


「あ゛っ!? いつの間に後ろを取りやがったっ!!」


「いや、いいよルケ…… ちょっとムカついてるから後悔させてから潰すからさ。」


『……では妾達は下がっておくのじゃ。』


「マスター! 【百鬼の希望】使えるよ! 下で待ってるね!!」


「あぁ、わかったよ。 【百鬼の希望】」


 どす黒い感情が体から染みだし宙に水溜まりを作るが如く滲み出ていく、そしてそこから這い出て来たのは百鬼達妖であった。


 俺が百鬼の王であるかのように後ろに控え頭を垂れると突如として遥か上空から一筋の光の梯子が降り、百鬼達を優しく照していく。


 百鬼達は導かれるように梯子を登り消えて行く…… 純白の輝きのみを残して…… その輝きはゆっくりと俺を包み込み負の感情を全て穏やかに洗い流してくれた。


「あぁ、暖かい……。」


「そうかよっ!! ならそのままじっとしてなっ!! もっと熱くしてやるよぉ!! 【爆留斯(バルス)】ぅ!!」


 魔族の放った攻撃は所謂砲撃に近いだろうか、筒の中を瓦斯(がす)で満たし、片方へ指向性を持たせ放ったかのような印象だ。


 少なくても俺にはそういうふうに()()()


「んだとっ!? 効いてねぇだっ!?」


 俺を包み込んでいる純白の輝きが全てを受け流していた。


「さて、スミレを苦しめて殺したんだ、報いは受けて貰うよ…… 【女神の瞳】【碧雷渡】【減重力】」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ