弱点フルコース
やっぱり【万物の創造神】で料理も出せた!! この発見は大きい!! 何ならお金だって出せるんじゃ!? ……いや、流石にお金は良心が痛むな。
「た、たこ焼きやんっ!!!」
そうですたこ焼きです、でも普通のたこ焼きじゃぁ無いんだなぁこれが。
「良かったらどうぞ、全部食べていいよ!」
「ほんま!? いやぁ、なんか悪いなぁ、じゃっ遠慮なくいただきます…… あーーん……っ!?」
さぁ、どうでしょう?
「う…… んまぁっ!! めちゃめちゃ美味いやん!! ほんまありがとぉな!! 亀さん!!」
ハズレか……。
「さぁさぁ、冷める前にどんどんいっちゃって!」
「はいはい! あーーんっ んまぁ!! あーーんっ!! はぁ、幸せやぁ…… あーーんっ…… っ!?」
おっ? 来たか!?
「あ゛ぁぁぁああぁぁぁ!!」
突然ヴァンパイアクイーンは天を仰ぎ大口を開け、そこから光が吹き出した。
よし! 当たり!!
今食べたのはロシアンルーレットたこ焼きの大当たり! タコの代わりに大粒の生ニンニクを入れた一品!!
「ニンニクは効果有りっと…… じゃあ次ね。」
未だに口から光を吹き続けるヴァンパイアクイーンを無視して次の検証を始める。
「そんなに喉を酷使したらお水、欲しいよね? まっててね!【万物の創造神】―純水―!!」
ヴァンパイアクイーンの直上に水球が生み出され、ふわふわと浮遊していたかと思えば、次の瞬間には重力に捕らわれ自由落下を始める。
大口目掛けて……。
バシャンっ!!
「ゴボボボボボボっ… あ゛ぁぁぁあ゛あ゛ぁぁぁ!!」
今度は口からだけに留まらず目や鼻からも光が吹き出している。
「ふむふむ、純水も効果有りっと。 あー、あー、そんなに体を仰け反らせたら背中痛めちゃうよ! はい!【万物の創造神】―十字架と鎖―」
現れた身の丈ほどの十字架はヴァンパイアクイーンの背後に突き刺さり【超念動力】によって蠢く鎖で雁字搦めに拘束される。
「ギャあ゛ぁぁぁああぁぁぁぐぎぃぃ!! あづい!! あづいっ!!」
「うんうん、十字架も効くんだ。 以外と弱点多いよねヴァンパイアってさ。 さて、次で最後だよー【万物の創造神】―純銀小夢鎗―」
三十センチ程の杭のような純銀の夢鎗を【超念動力】で浮かべながらゆっくりとにじり寄りながら話しかける。
「ねぇ、これは効くの?」
「あ゛ぁ、もう、やめでぐだざいぃ……」
「うん、止めるのはいいけどね、そのあとちゃんと大人しく良い子にできる?」
「出来まずぅ! でぎるがらぁ!」
「隠し事も無しでちゃんとお話しもする事!! いい?」
「なんでもはなずがらぁ……」
うん、これだけお仕置きすれば素直になるだろ、それにルケの溜飲も下げておきたいしね。
「約束ね、全部解除っと。 あと【ウォーターライフ】!!」
ヴァンパイアクイーンは地面にへばり着くようにして咽び泣いている、些かやり過ぎたようだ。
「あー、ごめんね?」
「い、いえ…… ずびっ、うちが調子に乗りすぎました…… 申し訳ありまぜん… ずびっ……」
「それで、色々聞きたいことが有るんだけどいいよね? あ、ハンカチ欲しい?」
「何でも答えますぅ、下さい……」
【万物の創造神】でハンカチを出してやると、グショグショの顔を拭いそのあと鼻に押し当てた。
「ずびっ、チーーーンっ!! ぷぁっ。 ありがとぉ……」
当たり前のように鼻をかんで当たり前のように返そうとしてくるので前ヒレを突き出し、受け取りを断る。
「それじゃあ質問するね、まずは名前から……」
……………
………
…
俺のいくつかの質問に対する答えるはこうだ。
彼女の名前はスミレというらしい。
百鬼夜行を操っていたのもスミレであり、もちろん先程の地下洞窟にいた子供達が拐って来た日ノ本の子供で間違いないらしい。
獣人の子供のみを拐った理由について質問すると"だってモフモフでかわええやん?"と答えが帰って来た。
百鬼夜行を操る力はヴァンパイアクイーンのスキルや魔法ではなく第三者を眷属化しその者の【死霊回帰】という魔法で百鬼夜行を作り出していたようだ。
因みにその第三者とはビディスの司祭、つまりデラカーテとインテンソ達の上司であり日ノ本への支援を誰より早く実行に移した人物である。
正直これにはずっと疑問を持っていた、何故ならば日ノ本とビディスの距離を考えると対アンデット組織を派遣するまでの時間が早すぎるのだ。
更に言うのであれば恐らくインテンソはある程度この出来事に対して情報を持っている、いや、協力者とも言えるが、そうである可能性が高いと見ている、内通者がいなければ獣人の家だけを狙うのは難しい事であるし、会議中の緊張した様子から見てもかなり真実味があるのではないだろうか、しかしながらそれに関しては証拠は無く事の推移を見守る事となるだろう。
地下洞窟での子供の反応やスミレの態度から見て無理矢理あそこに閉じ込めているような感じではないとは思っていたが、話しを聞いてみると子供達にスミレは勉強を教え、共に食事を取り、一緒に眠るといったかなりまともな接し方をしていた事もありかなり懐かれていたようである。
子供達の今後だが、スミレを伴い日ノ本へと送り届け誠心誠意謝罪をさせる事で同意を得た。
他にも問題は山積みではあるが最も気になっている事柄に触れようと思う。
「まぁ、おおよそはわかったよ。 それで君は…… 日本人…… だよね?」




