生きる意味
ぷくぅっーーーくくくっ……
真っ白な空間に
誰かの笑い声が木霊する……。
何故だろう、何か大切な事を忘れているような妙な感覚だ。
頭に靄がかかって思い出す事が出来ない。
何か…何か…ナニか…
ふと、視線を下げると我が息子が激しく猛り狂っている。
「どうしたんだ? 我が息子よ。 そんなに青筋立てて。 何がそんなに不満なんだい? ほら、落ち着きなさい。」
俺の言葉に段々とおさまってきたようだ。
「我が息子よ。 そこまでシュンとしなくてもよいのだぞ? まぁ、よいか… 時に息子よなぜ我らは全裸なのだ?」
「ぷふぅっ!! もう無理、我慢出来ない!! くくっ。 ひーっひひ、ふーふー、ぷくぅっーーー、はぁ、はぁ、助けてっひひっ息がふっふっ…ぎゃはははは……」
……………
………
…
1分待った。3分待った。10分待った…
「めっちゃわらうやん…。」
取り敢えず今更感が拭えないが息子を手で隠した。
何となく上も隠した。
それを見てまた笑われた。
「なんなの? この状況……。 新手のプレイ?」
……………
………
…
「さて、まずはお帰りなさい、落ち着いた所で自己紹介からしましょうか。 あぁ、貴方の拙い語彙力と表現力じゃ私の美しさは表現出来ないと思うの。 だから私に任せて大人しく聞いててね。勝手に頭のなかで文字に起こしてあげるから。 じゃ、いくわよ。 あっ、因みに私、女神だから一応そこのところ念頭に置いといてね!」
「…は?」
「こほん。」
「その様々な白に彩られた空間には何もなかった、ただ一つ天上の美しさを除いては……。」
「このように既存の言語、言葉を用いて彼女を表現しなくてはならない事事態がそもそも愚かしく、高慢とも言えるが、畏れ多くもそうせざるを得ない自らに憤りすら感じながらも、逆にそれを諦めてしまえばそれは訓蒙在りしと豪語する我等の存在意義すら消失しかねない事である。 であれば、自らの全てにかけて形容せしめて見せようではないか。」
「それは玲瓏たる黎明の夜明けである。」
「それは流麗にして綺羅星の輝きである。」
「それは甘美にして芳醇である。」
「それは…
「ごめん。 ちょっといろいろわかんないから普通にやってもらっていい?」
「……はぁ、もういいわ。 女神で、髪とか睫毛とか服とかめっちゃ白くて瞳なんてちょっと青いのよ。 腰とか細いしお尻もプリっとしてて胸も控えめだけどいい形してるのよ? どう? 」
「どうって言われてもなぁ、 綺麗だと思うけど?」
「…なんかつまらない反応ね。 まぁいいわ、 まだ記憶も戻ってなさそうだしね。 あなた、ここに頭もってきて、 ここ。」
そう言って自分のへその前辺りをさす。
訝しく思いつつも股関を隠したまま言われるがまま頭を下げそこにもってい……
パァーン!!
「ってぇ!! 何でいきなり張り手なんだよっ!?」
「何でって手っ取り早いからに決まってるじゃない。 どう? 記憶。 もどってるでしょ?」
「決まってないわっ…て……」
「紫羅は!? あの後… 俺は……。」
「死んだわよ?」
「え!? なんで……」
「なんでって… あなた、ぷふぅっ!! そりゃあなたっひゅーっぷっくくく! あなた童貞のくせに、ひっひっふー……ぷっ。 ちょ、ちょっとまってね……。」
五分後
「あなた童貞のくせに腹上死したのよ…ぷっ…」
死んだ…しんだ…シンダ?
「たまたま下界覗いてたらまさかこんなに面白… 痛ましい所に出くわすなんてね…。 相手も可哀想よね、処女だったんでしょ? そんな事になったら一生トラウマよね… ぷっ」
「紫羅ぁ! 紫羅!! うぅ…シラ……ごめん……」
「まぁ、過ぎた事はしょうがないでしょ? シャキッとしなさいよ。 はぁ… 面白そ… 可愛そうだしあなたには二つの選択肢をあげるわ。 あ、因みにここ天国みたいなもんだから。 って聞いてる?」
「もう。 しょうがない子ね…。」
そして女神は俺を抱きしめる
「よしよし。 辛かったわね…」
胸があたっている
「どう? 落ち着いた……って、どこシャキッとさせてるのよ! もう! 優しくした私が馬鹿だったわ。」
「ご、ごめん。」
「はぁ、 もう面倒ね、サクサク行くわよ」
曰く、二つの選択肢の一つはこのまま消滅すること。
二つ目は生前の人としての点数によって何者になれるか選べる異世界への転生だそうだ。
こんなもの正直迷うべくも無いだろう。
「俺は消滅を選ぶよ。」
紫羅のいない世界に俺の生きる意味は無い……。
「へぇ、あんたやっぱり面白いわね。 今まで私が見てきた中でそんなに簡単に消滅を選んだやつはいなかったわ。 でも本当にいいの? 消滅を選んだら本当に全ての可能性を捨てる事になるわよ? 例えば…… 愛する人との再会。 とかね?」
そう言って彼女は笑った。
ここまで見てきた品の無い笑い等ではなく、それこそそれは慈悲と慈愛に満ちた女神の微笑みであった。
ここ数話、気付けば下ネタが過多ですね(^_^;)
暫く封印する予定なので苦手な方ももう少しお付き合い頂けると幸いです。




