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鳥居とサンタとその先と

 

 俺達は今空を飛んでいる。

 今までの透明な道や【念動力】、今は【超念動力】だがそれらを使っているわけでは無い。

 文字通り飛んでいるのだ。

【飛空】によって。

 またそれを【付与術神】によってユメとルケに付与する事で皆で地形に囚われず高速移動を可能としている。


 既にカディフラティを出て十日ほどが経過している。

 ここまで鳥型の魔物やいきなりの雷雨意外には特に問題なく次なる地へと進んでいる。


 因みにではあるが、あの宴の翌日、厳密には朝方まで皆で騒いでいた事もあり当日とも言えるのだが、見送りに来れたのはトカイのみであった。


 ***********************


「じゃあトカイ、元気でね。 皆を任せたよ!」


「うん、そら達も。 また来たときは家に泊まりに来て。」


『頑張るのじゃぞ。』


「うん。」


「トカイ…… つぎ来るときにはユメ達もすごーく強くなってるからね! トカイもつよーくなってまっててね!!」


「うん。」



 その時俺達は息を飲んだ……。


 トカイの頬に流れる朝日を閉じ込めたような煌めく美しい涙にではない。


 その笑顔に……。


「いってらっしゃい。」


 ***********************


 ■


 お母様との修行にも大分慣れてきた。


「はぁ、はぁ、はぁ……」


 嘘だ。

 まだまだ【精霊纏い】の域を出ていない。


 そら達が先に旅立ってから暫くして私はお母様の元で【精霊纏い】の習得を目指していた。

 そして修行を初めて二週間が過ぎた頃には【精霊纏い】は習得したのだ。


 そこで精霊王、お母様から言われたのは "これで次に進めるわね" であった。


 今私が目指しているのは【真・精霊纏い】の習得。


 しかしその先に本当に習得すべき物が有るらしい。


「はぁ、はぁ…… 半年で、はぁ、そこまでいけるの?」


 ついつい弱音が口から出てしまった。


 そこでユリちゃんから声がかかった。


「ミュスカ様、ユメから連絡が来ましたよ!」


「え!? 本当に!! 皆元気かな!!」


 既に別れてから二ヶ月近くが経過している。

 初めての連絡になぜかとてもドキドキする。


「えぇ、元気みたいですよ。 何でもテイマーのふりをして伝説の勇者と同じAAランクを貰ったり、お友達が出来たり、魔王軍を倒したり、黒い大きな龍をそら様がお一人で討伐されたとか……。」


 やっぱりそらは凄いっ!! 追い付くためにここに残って修行してるのに弱音なんて吐いてる私とは大違いだな……。


「こんなんじゃダメだよね!! ユリちゃん!! 私達も負けてられないね!! 一休みしたし私は修行に戻るね!! ユリちゃんも修行、行くんでしょ? 私の事は大丈夫だから行ってきていいよ!!」


「えぇ、直ぐに追い付いて見せましょう!!」


 ふふ、ユリちゃんもやる気出たみたい。


 頑張ろう!! 次にあったらびっくりさせてやるんだから!!


 まっててね皆!!



 ■


「あっ!! マスター見えた!! あそこだよ!!」


「おー!! なんだありゃ!! すごっ……」


 見えてきたのは富士山を思わせる巨大な山だ。

 まだ何十キロも先にうっすら霞んで見える程度なのにその大きさが分かる。


 だが驚いたのはその山の大きさなどではない。


 鳥居だ。


 もう一度言おう、何十キロも先に霞んで見えるのだ。

 鳥居が。


「なぁ、ユメ…… あの鳥居ってさ大きさどれくらいか分かる?」


「んー? 分かるよー、えとね高さが三百二十一メートルだって!! 大きいねぇ♪」


 いやいやっ!! 東京タワーと同じ位あるじゃんっ!!

 形的に東京タワーが縦横二本ずつ組合わさってるようなもんじゃんっ!!


「何で出来てんのさ……」


『勇者が造ったのじゃ…… たしか【森羅万象】とかいう魔法で生み出した世界樹で出来ているはずじゃ。』


 はい確定っ!! 勇者転生者じゃん!! しかもわりかし最近の日本人の可能性大じゃん!! ずいぶん昔に転生させられたんだなぁ……。


 そうこうしていると前方から何かが近づいて来るのが見えてくる。


「あれは…… 鳥? 【女神の瞳】! ……なんだ、天狗か。」


 ん?


「天狗っ!?」


 徐々に距離が縮まり【女神の瞳】を解除してもはっきりとその特徴的な鼻が目視出来た。


 敵意は…… 感じないか?


 ん? 錫杖みたいなの振ってるな、なんだろ。


「おーい!! 止まってくださーい!!」


 止まれか。


「ユメ、取り敢えず敵意は感じないし言うとおりにしてみよっか。」


「ほーい♪」


 現れたのは正に天狗であった。

 赤い肌に長い鼻、つり上がった鋭い目と鳥のような嘴に黒い羽をはためかせ、白い胴着のような服とお約束の黒い帽子に下駄を履いている。


 鴉天狗っていうのかなこういうのって。


「ようこそ日ノ本へ……」


 天狗はそう言うと此方をじーっと見つめてくる。


「赤くてサンタさんみたいだね♪ ねぇ、サンタさん、ユメ達に何かご用?」


「はっ、失礼致しました! 私、日ノ本の巫女、イブキ様の使いで参りましたミタと申します。 以後お見知りおきを。」


 ミタ…… ミタ? 三田? ……サンタ!! ユメ正解!!


 いや、違うか。


 で、イブキ様か日本名だよね、この国はかなり勇者と関係が強かったみたいだな。


「しかしイブキ様の言った通り…… なんと縁起の良い……」


 ん? 縁起が良い?


「サンタさん!! 何の縁起がいいのー?」


「はっ、度々申し訳ありません。 イブキ様が先日、間もなく神の使いが来るとの神託を賜ったそうで、その内容が"超絶可愛い我が娘と亀と狛犬が日ノ本に光をもたらす"という物だったのです。」


 ヴィオニエか……。


『妾…… 猫。』


「ママだぁ!! サンタさんママと喋れる人の所に連れてって♪」


「はい、では付いて来て下さい! あとミタです。」


 おっそっ。

 名前正すのおっそ。


 ミタに続き暫く飛ぶと鳥居の目の前で止まる。

 鳥居と合わせて見る富士山のような巨大な山は心を揺さぶられるように美しく、雄大な眺めだった。


「凄い……。」


 そこでミタは一度降り立ち深く一礼し中へと足を踏み入れる。

 俺達もそれに習い深く一礼し鳥居を潜る。


 その瞬間何か薄い膜を通り抜けたような感覚を覚えた。


 そして目線を上げるとそこには江戸時代を思わせる町並みが広がっていた。


「あれ? 山は!?」

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