吸血鬼
後味の悪いはなしです。
処女作ゆえ何言ってるか読みにくいのは勘弁してください。
ある吸血鬼の兄妹がいました。
ふたりは吸血鬼狩りと戦うことを嫌がり、大きなカバンを背負い旅に出ました。
しかし、当時吸血鬼狩りが流行っていましたのですぐに吸血鬼狩りに見つかってしまいました。
兄が囮となり妹を逃がしました。しばらくして兄を探した妹ですが兄を見つけることは出来ませんでした。
妹は仕方なく一人で旅を続けました。傍らに一人の子供を連れて。
まだ未開の時代。飢饉や醜い事情で捨てられた子はたくさんいました。そのうちの一人を拾ったのです。
妹は旅をしながらその子を育てました。吸血鬼の怪力と魔法の図鑑があれば容易なことでした。
そして満月の夜に血をもらうのです。
長い長い旅の末、吸血鬼狩りがない人知れない山奥にちいさな家を建て二人は平和に暮らしました。
いつまでも続くかと思いました平和も終わりがあります。拾った子(もう老いていましたが)に寿命が近づいたのです。子は吸血鬼に自分を食べるように願い吸血鬼は聞き入れました。
その肉は甘い鉄の味とこれ以上はないほど塩の味が混ざりあって食べきるまで長い時間が必要でした。
吸血鬼はその子の肉体を、魂を、完全に取り込みました。
吸血鬼は気づきます。子と一体化したことを。常に心の中にあの子がいることを。
吸血鬼は人を取り込み半分人になりました。おかげでものをたべ体内で血を作り生きることができるようになりました。
昔吸血鬼だった少女は二人で、一人で暮らしました。
兄は妹を逃がして吸血鬼狩りと戦いました。何とか勝てましたが自分も浅くない怪我を負いました。
その傷を癒すため吸血鬼狩りの血を飲みました。それでも足らずに肉を食みました。
吸血鬼は後悔します。吸血鬼狩りの怨嗟の声が聞こえてくるのです。
野蛮な畜生がよくも。正義は俺にあるのに。
どうして。どうして。どうして。俺はこんなざまになっているのだろう。
常に聞こえる声に吸血鬼はやんでいきます。
そしていく先々で襲われました。
吸血鬼狩りの記憶に引きずられたのです。無意識のうちに吸血鬼狩りが訪れた地へ行くので吸血鬼狩りの仲間に会うのです。
吸血鬼は襲われる度に肉を食みます。傷を癒すため。ただ魂はどうしようもなく濁るのでした。
精神も魂も病んでいった吸血鬼は気づきます。一つ一つの声が聞こえにくくなっていることを。
街中で一人一人の声を聴き分けられないように、怨嗟の声も混ざりあって一つ一つは聞き分けられなくなっったのです。
吸血鬼は病みに病んでいました。
吸血鬼は声を増やせばいつしか何を言っているか分からなくなると考えました。
吸血鬼は村を襲い人をたべました。村がなくなったら街を、街がなくなったら国をたべました。
そして吸血鬼は鬼となりました。
鬼は多くひとを食べました。声は増えどんどんなにを言っているかわからなくなりました。
ただ鬼に救いはありません。声は聞き分けられなくなっても声量は増えるばかりです。
いつでも魂の絶叫が精神を蝕むのです。
肉がなくなったので鬼は森にいきます。もう肉ならなんでもよくなっていました。
そして鬼はちいさな家を見つけます。
頭がおかしくなって、気分がわるくて書きました。