さいりしゅう いっしゅうめ
西先生は優しそうな人である。最初は小柄で若すぎる見た目に面食らったが、中身は実に温厚そうな人であった。大学には慣れたか、どこに住んでいるか、とか緊張している俺を慮って、話を振ってくれた。
そんなことを話しているうちに講堂のドアが開く。
入ってきたのは女性のようだ。背が高くて、胸元の大きく空いたセーター。イヤホンをしているのだが、西先生が声をかけるも、そのままに「こ、こんにちは…。」と声のような空気の抜ける音を返すばかりだった。彼女も大学基礎の履修者だろうか?
3限開始の5分前になって、この人の後を続くように人が入ってきた。全員が座った時に、3限開始を告げるチャイムが鳴った。ここにいるのは、にー、しー、ろー…6人。俺と西先生、あとほかの履修者4名。
「よし、じゃあみんな集まって。」西先生の明るい声が講堂に響く。
「とりあえず、この長机をくっつけて、話し合える配置にしよう。」そう言われたので、講堂の後ろから横5列目で左右中の縦3列あるうちの2列目。ちょうど講堂の真ん中にあるのと、横4列目のを隣り合わせる。俺が長机の片方を持つともう片方をセーターの人が持ってくれた。彼女の大人らしい見た目も相まって、非常に目のやり場に困る。机を運ぶ間のたった数秒だったが何とか別の場所に目をやった。
机を隣り合わせると、向かい合わせに座れるようになった。ここにおのおの好きなところにに座る。俺は一番端に座った。
一番小柄な先生が立つ。「ここは3限の大学基礎の再履修クラスです。間違ってないよね?」確認したが、誰一人間違えていなさそうだ。
「はい、じゃあ自己紹介します。このクラスを担当する西司です。」一足先に聞いていた名前をもう一度聞く。
「えーと、このままでもみんなの名前がわからないので、自己紹介しよう。」西先生は言った。自己紹介だけど、やるとなると緊張するなぁ。
「じゃあ、私から右回りにお願いします。あなたから。」
セーターを着たあの人が差された。
ご意見ご感想有りましたら、ぜひコメント欄に!!