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出会い:

 大学で、初めて人に声を掛けられた。それも女の人。亮にとってこれほど嬉しいことはなかった。

 しかし、心臓をより早く強く脈打たせているのは、そんな人との出会いの興奮ではなく、初対面の人間と話す緊張であった。

 あ、汗をかくな。話しかけられただけだろ。いやおちつけおちつけおちつけおちつけおちつけ

「あの、一年次に休学したんでしょう。じゃあ、キャンパスツアーはまだだよね。」

 ここで亮はハッとする。とにかく緊張していてもしょうがない。こ、答えなきゃ。

「あっ…わ、分からない…というかあの、まだです。」

 しどろもどろながら、何とか答えを伝えた。顔が赤くなっていくのが分かる。この会話だけでも人見知りにはつらい。

「だよね!じゃあ、今週の土曜日の1時は空いてるかな?」

 は、はい!大丈夫です。何とか答えられた。無意識に手で自分の胸を押さえる仕草をとる。なぜか、落ち着いた。いやいや、それより

「キャンパスツアーってなんですか。」

 受け答えがうまくいった感じの勢いで疑問点を聞いた。

「キャンパスツアーは、大学基礎のクラスで最初にやることなんだけど、ここは前年度で単位が取れなかった人のための再履修クラスだから、やる義務ないのよ。」

 亮はこくこくとうなずく。そんなこと初めて知ったんで、少し驚いた。その人はさらに続ける。

「でも、大学のことを知るにはこれをやったほうがいいから、受けたことないなら、やっちゃおうっておもったの。」

 そうなんですかと勇気を出して相づちを打つ。なんと、そんな有り難いものだったのか。

「あ、名前まだだよね。」

 その人は背筋を伸ばして、胸の前に手を当てる。

「この大学基礎の担当講師です。西 司(にしつかさ)といいます。よろしくお願いします。」

 西はぺこりと頭を下げる。亮も浅くではあるが、西に合わせるように頭を下げた。

 そ、そっか講師の人だったのか。若く見えてて、分からんかった。大学にはこんな人もいるんだなぁ。

 亮は自分の目を初めて疑った。

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