日奈月天音
私、日奈月天音には雅美という妹がいる
今まで対して意識して生きていた訳じゃない
最後に妹の顔を見たのは何時だったか
同じ家に住んでいても、顔を合わせることはほとんどない
それ自体、不思議なことではない
昔からそうだった
むしろ、普通の事だった
日奈月家は少し特殊な家庭だった
家には二人しかいない
その他は今、フランスにいる
お偉いさんだそう
よく分からない
ただ、私達の事が嫌いなのではないだろう
毎週手紙をおくってくる
それに生活のお金も出してもらっている
まさに、至れり尽くせりだ
私と雅美では起きる時間がまず違う
雅美は朝5時起き
私はギリギリまで寝ていたい
次に学校が違う
雅美は県有数のスポーツ校
私は進学校
雅美はスポーツ
私は勉強
それが、私達の違いだった
ある朝、廊下で雅美とすれ違った
久し振りだった
だから、だろうか
私が持っていた印象とは全く変わっていた
スポーツのお陰で引き締まった形のいい体
外で運動してるはずなのに全くやけてない白い肌
髪は後ろに纏めてある
ポニーテールだ
有り体に言って、美少女だった
しばらく見惚れてしまっていたのだろう
回りには雅美はいなかった
寝ぼけた頭を洗おうと洗面所へ急ぐ
あんなに可愛くなっていたとは
……でも、私には関係ない
そう心で思いつつ、顔を洗うのだった




