問題児、メイド服に興奮する
だんだん百合要素減ってきてる…
ラクリアに最初に話しかけた少女はリンディと名乗った。
「リンディはどうしてつかまっちゃったの?まほうがつかえるんでしょ?」
そう、リンディは魔法が使えた。
しかもかなり高度の、だ。
そんな彼女がなぜ大して強くもないチンピラどもに捕まってしまったのか。
「使ったのよ。でもおかしな格好をした男が私の身体に触れた途端魔力が枯渇しちゃったの」
魔力とは、魔法を使う際に媒介となる力のことである。
それが枯渇したということは魔法が完全に使えなくなることを指す。
「しかも厄介なことにその状態が捕まってからずっと続いていたのよ。今は何故か何ともないけど…貴女のお陰よね?」
「あ、さっきのへんなかんじはそのせいだったんだ」
なるほどと納得したように頷くラクリア。
1週間弱地下室に監禁されていた少女たちの健康状態は良好とは言えず、ラクリアは一人一人に治癒魔法を掛けた。
そしてリンディにも治癒魔法を掛けたのだが何故か効果は得られず。
しかしリンディの周りに纏わりつく靄のようやものを払ったら、すぐに彼女の魔力が回復したのだ。
「あれは魔力を塞きとめるような何かだと思うんだけど…あんな魔法初めて見たわ」
そう言うなり黙ってしまったリンディを置いて、ラクリアはターニャの元に向かう。
ちなみにラクリアたちは現在、監禁されていた少女たちの家に向かっていた。
今は7人目の少女を家に送り届けたところで、ずっと行方不明だった娘が目が飛び出るほど豪華な服を着て帰ってきたのを見たその子のお母さんは卒倒した。
「あとなんにん?」
「あとはこのふたりなんですけど…」
ターニャはラクリアの質問に隣に立っていた2人の少女を指しながら答える。
2人はラクリアと同い年ぐらいで、片方は赤、もう片方は白という随分と奇抜な髪色をしていた。
戸惑った顔をしているターニャを不思議に思いながら、ラクリアは2人に話しかける。
「ふたりのいえはどこ?」
「…」
「ええと、おかあさまとおとうさまはどこにいるの?」
「…いない。たぶん死んだ」
なるほど、この2人は孤児なのかと納得するラクリア。
これならターニャの戸惑った理由もわかる。
「じゃあこじいんにはいってるの?」
「こじいん?」
どうやら孤児院にも入っていないらしい。
これはどうしたものかと思案するラクリアに、ターニャが突然あっと声を上げた。
「わたしのいえ、いまめいどさんがたりないんです!だからふたりにみならいになってもらうのはどうですか?」
「いいかんがえだとおもうけど…ふたりはそれでいい?」
ラクリアが問いかけると、ふたりは嬉しそうに頷いた。
ここに来て初めて動いた表情は年相応で可愛らしく、ラクリアのなんちゃらセンサーが激しく反応した。
(メイド服…ふふ…)
ターニャの家に遊びに行くのが既に楽しみなラクリアだった。