問題児、美幼女を得る
その頃、マリアが学園に行った後のファンダーソン伯爵のお屋敷ではいつものようにラクリアが大暴れしていた。
『きゃっ!お、お嬢様なにするんですか!?』
侍女のスカートの中に潜り込んで生足にスリスリしたり。
『こんな格好…恥ずかしいです…』
侍女に服ともいえない布切れみたいなものを着せたり。
『お嬢様…もうお乳は卒業されたんじゃ…』
侍女の胸から離れなかったり。
本当に五歳児なのかと疑いたくなるほど、とにかくヤリたい放題だった。
いたずらが一段落つき、ラクリアは人気のない庭の一角で魔法を使って遊んでいた。
今は水の元素を操って花壇の花に水をやっているところだ。
その情景だけ見ると『可愛い天使のような幼女が花に水をやっている』という随分ホッコリとした絵面になるのだが、いかんせんラクリアは皆が手を焼く超問題児だ。
可愛い面の下に隠してある凶悪な素顔を知っている者からすれば、何かやらかすんじゃないかと気が気じゃないだろう。
と言ってもラクリアは魔法が使えることを家族にも使用人にも隠している。
その理由は、女体を弄る貴重な時間が奪われるから。
魔力を持っていることがバレれば、確実に自由時間は減る。
何故なら、この国では魔力持ちというのは大変珍しいからである。魔力持ちは殆どが国に召し抱えられ、半強制的に働かされるのだ。
それを父から聞いた時、ラクリアは恐れおののいた。彼女は自分が魔力持ちである事、しかもその魔力持ちの最高峰に当たる人間であるということも自覚していた。それは自分を救ってくれた神の記憶から知った事だった。
まあ正直、“共鳴者”である彼女なら国の全戦力でも退けるぐらい容易いのだが、そんな事をしてしまったら余計に女体を弄る時間と機会が減る。
それを恐れたラクリアは、身を守る手段として魔法を使える事を隠していたのだった。
まぁ実は屋敷に住む者の多くはラクリアが魔力持ちであることを知っていたのだが、本人は隠せていると思い込んでいる。
「…?」
盛大に水を撒き散らしていたラクリアは、視界の隅で何かが動いたような気がしてその方向に顔を向けた。
そして…
木の影からこちらを覗く1人の女の子と目があった。
『ま、まほう!?』
女の子は目を見開いて、ラクリアと降り注ぐ水を交互に見つめる。
見た感じラクリアと同じぐらいの年齢の子で、焦げ茶色の髪に優しげな垂れ目、守ってあげたくなる雰囲気が印象的な少女だった。
着ているものから考えるに、貴族ではないだろう。
「えっと、だれ?」
可愛い子だなぁと鼻の下を伸ばしつつ、ラクリアは少女に尋ねる。
魔法を使っているのを見られたことよりも、この可愛い女の子が誰なのかというほうがラクリアにとっては重要だった。
「あ、あの、わたし、ターニャです」
ターニャと名乗った少女はどうやらファンダーソン伯爵家御用達のエンデ商会の一人娘のようだった。
エンデ商会の会長オーデン・エンデは現在、伯爵家で商品の売り込みをしているからきっとそれについてきたのだろう。
「ターニャ、まほうのことはひみつね」
ラクリアは魔法について口止めをしつつ、ターニャの右手に向かって手のひらを翳した。
「えっ?」
ターニャの右手には遊んでいるときに付いたのか、猫に引っ掻かれたかのような擦り傷ができていた。
それがラクリアが手を翳した瞬間、綺麗に消える。
「いたいのなくなった…すごい」
ターニャは擦り傷があった部分を凝視し、呆然と呟いた。
生まれて初めて見る魔法という名の奇跡。
それを実感したターニャはキラキラした瞳で目の前の少女を見上げた。
「ラクリアさま!ありがとうございます!」
5歳といえど、ターニャは相手と自分との間に身分差があることをよく知った聡い子だった。
だからごく自然に様付けをし、敬語を使ったのだが…
「う…」
初めて同世代の女の子に様付けされたラクリアは…いろいろ目覚めそうだった。
何しろ相手は美幼女である。
ラクリアの大好物そのものである。
しかも将来はメロン並みに実るとラクリアの巨乳探知レーダーが反応しているまだ未発達だけど将来待望のお胸を持つ子である。
今すぐにでもベッドに連れ込んで一緒にお昼寝と称したアレコレをしたいぐらい可愛い子に尊敬の眼差しで見られたラクリアは…また一段ヘンタイのグレードをアップさせたのだった。