13.問題児、スラムへ行く
ラクリアとリンディがターニャの家を訪ねると、ターニャは昨日ラクリアが助けた2人の少女と一緒にだだっ広い敷地内の庭園で遊んでいた。
「メイドふくじゃない…!?」
「は?」
その2人の格好を見て唐突に叫んだラクリアにリンディは訝しげな視線を送る。
2人の少女はそれぞれの髪色に合わせたようなワンピースを着用し、地面に突っ伏すラクリアを無表情で眺めていた。
「だいじょぶ?」
そのうちの片方、雪のように真っ白な髪色の少女がラクリアに歩み寄って声を掛ける。
「メイドふく…メイドふく…」
「じゅうしょうだ」
メイド服…を連呼するラクリアを見下ろし、今度は燃えるように真っ赤な髪色をした少女がぼそりと呟いた。
子どもらしい舌足らずな口調の割に辛辣なことを言う子だった。
「しょうがないわよ、こんな小さい子達用のメイド服なんてあるはずないじゃない。あったらそれ作ったやつ…小児性愛者よ」
よほど嫌な記憶でもあるのか、リンディは自分の身体を抱くように両手を胸の前で交差させ小さく身体を震わせながら言った。
彼女の豊満な胸が持ち上がって真ん中に深い谷が出現する。
それをガン見するちびっ子4人。
「すごいですね…」
「きかくがいのきょにゅう」
「かじりつきたい」
「うもれたい」
前半2つはターニャと白髪の少女の、後半2つはラクリアと赤髪の少女の感想だった。
「…」
「…」
何故かラクリアと赤髪の少女は無言で見つめ合って握手をした。
※※※
赤髪の少女チナと白髪の少女ラナは実の姉妹で、物後頃ついた時にはもう親はなく、ずっとスラム街で他の捨て子達と協力しながら生活していたらしい。
2人はその珍しい髪色から人攫いに狙われることが多く、普段は目立たないようにフードを被って他の子ども達にかくまわれるように生活していたようだった。
「じゃあ今頃その子達心配してるんじゃない?あなたたちが帰ってこなくて」
ターニャの部屋に集まったラクリア達は、チナとラナのこれまでの暮らしについて2人から聞いた。
それを聞いたリンディが2人に尋ねる。
「さらわれてからずっとあってないからしんだとおもってる」
「ラルはげんじつしゅぎしゃだから」
ラルというのはチナとラナを匿っていたスラム街の子どものリーダー的存在の少女のことらしい。
2人の話しによると、ラルはお金を工面するために身売りもしていたようだった。
「このままにはしておけないわね」
その話しを聞き、リンディは顔を顰めて呟く。
基本お人好しで面倒見の良いリンディはラルを放っておくことはできなかった。
ラクリアとしても彼女の愛してやまない“女の子”が身売りをしていると聞いて良い気はしない。
なので、ラクリアは決意する。
「いまからラルのところにいこう!」
かくしてリンディと5歳児4人は領内で最も子どもが犯罪に巻き込まれる街、スラムへと向かったのだった。




