10.問題児、同居する
部屋に戻ったラクリアは一目散にベッドに駆け寄りその上に飛び乗った。
天井を見つめながら今日の出来事を思い返す。
ターニャと出会いウサギと戯れ街で迷子になり女の子達を救い出してリンディという魔法を使える少女と出会い……
そこまで回想したところで、あれ?とラクリアは疑問に思った。
「リンディ…どこ?」
慌ててベッドから起き上がる。
確か最後の2人の少女がターニャの家のメイド見習いになることが決まって、ファンダーソン伯爵邸に向かう道のりは一緒だったはずだ。
「もしかしてまたさらわれた…?」
「流石にそんなドジじゃないわよ」
ラクリアの独り言に反応する声がした。
真横から。
「っ!?」
慌てて横を見ると、窓からひょっこりと顔を出してこちらを見ているリンディと目が合った。
「ここ2かい…」
「貴女にお願いがあるの」
ラクリアのツッコミは軽やかに無視したリンディは窓枠をひょいっと乗り越えて部屋の中に入ってくる。
「おねがい?」
「そう、実は私いま住む家がないのよ」
「はぁ…」
リンディの突然の告白にラクリアは思わず間抜けな顔をしてしまう。
そして次にリンディの口から出てくる言葉を予想し、ため息をつくのだ。
「だからおねがい、貴女の家にしばらく泊まらせてちょうだい!」
「えー…」
「貴女の家、1人ぐらい増えたって平気じゃない!っていうかあと50人は余裕で住めるわよ」
面倒くささを隠そうとしないラクリアにリンディは更に言い募る。
まあそりゃ伯爵領邸だからと心の中で呟きながら、ラクリアは一向に引き下がらないリンディに渋々と言った。
「しょうがないなぁ、かあさまにそうだんしてみる」
その言葉にリンディはぱあっと顔を明るくし、身を乗り出してラクリアの身体を抱きしめた。
その瞬間ラクリアの顔面に柔らかいものが押し付けられる。
「…」
にへら…とラクリアの顔面が崩壊した。
「リンディ、これからまいにちわたしのへやにとまって」
「え?でもお母様に相談してからって…」
「ねるとき、だきまくらになってくれるならわたしがきょかする」
「えらそうな幼女ね…まあ泊めてもらうんだからそれぐらい良いわよ、ありがとう」
こうしてファンダーソン侯爵邸に新しい住民が迎え入れられた。




