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問題児、秘密がバレる


髪色と服装を戻し、少女2人とターニャを連れて家に戻ったラクリアを待っていたのは、何故か服が乱れ、火照った顔をした母、ケイリーだった。


「さて、どこに行っていたのかなラクリア」

「あ、あはは…」

「笑って誤魔化そうとしても駄目だよ。この子達はどうしたの?」


ケイリーはラクリアの背後に立っている2人の少女を指差して尋ねる。


「わるいやつらにつかまってたからたすけたの。きょうからターニャのいえのめいどさんになるの」

「…悪い奴ら?」

「うん。おんなのこたちをいじめてたからやっつけた」

「…やっつけた?」

「あら、すごいじゃない」


ラクリアの言葉に首をかしげるケイリーの後ろから上機嫌にステップを踏みながらライラが現れた。


「あ、ライラさま!」

「一週間ぶりね、ラクリア」


ライラはラクリアに軽く手を振ると、少し乱れていた胸元を整えつつケイリーの隣に並ぶ。


「で、その悪い奴らを貴女は魔法でやっつけたのね」

「っ!?わたしまほうつかえないもん!」

「ああ、そういう設定だったわね。ごめんなさい」


ラクリアの講義に全く取り合おうとしないライラ。

それどころかケイリーまで、


「ラクリア…いつまでそんな嘘を付いているつもりなの?」

「え?かあさまもきづいてたの…?」

「気づいてたも何も屋敷の人間はみんな知ってるよ」


いつの間にか側にいたファンダーソン家のメイド達がケイリーの言葉に一斉に頷いた。


そりゃ普通に考えて5歳の幼女が100メートルを10秒で走りきることなんて出来ないし真夏日でもラクリアの周りだけ涼しいなんてことは魔法以外では考えられないのだ。


「そんな…じゃあわたしはおうきゅうにつれていかれちゃうの?」

「それはないよ。このことは屋敷の中だけの秘密にするから」


ケイリーの言葉にホッと息を吐くラクリア。


「取り敢えず早く着替えてきなさい。貴女に新しいドレスを用意してあるから」


ケイリーはそう言いながら屋敷の入り口を振り返った。

そこには気まずそうな顔をして佇むターニャの父、エンデ会長がいた。




***




着せ替え人形タイムを終え、ラクリアは屋敷を去っていくエンデ親子と2人の少女を見送る。

ターニャとはまた明日遊ぶ約束をしているから寂しくはない。


ターニャ達と入れ違うようにマリアとノーリアが帰ってきた。

ラクリアが門の前で待ち構えていると、馬車から降りてきたノーリアがものすごい勢いでラクリアの横を走り過ぎていった。


「…え?ねえさま…」


呆然とその背中を見送っていると、馬車から降りたマリアが困ったような顔で言う。


「あの子、今から熊狩りに行くみたいよ…どうしちゃったのかしら?」


実はノーリア、昼間保健室で見た姉のマリアとその親友のシーナのアレコレを見てしまってから気まずくてマリアと顔を合わせられないでいるのだ。


そんな事情を知らないマリアはただ首をかしげるばかり。


「ねえさますごいなぁ…」


ラクリアは到底5歳児がするのは思えない呆れたような表情で姉の後ろ姿を見送った。




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