序
2014年、私は本屋で『Re:ゼロから始める異世界生活』(長月達平著/MF文庫J ※以降「リゼロ」と略)を手に取る。新刊書籍の平積みのなかで特に目を引いたからだ。
とにかくデザインがよかった。今までのMF文庫Jとは違う。
だが、そのとき私は買わなかった。
単純に忙しく、読んでいる時間がない、というだけだった。
そのわずか一か月後、驚くことに二巻が一巻と共に平積みで並べられて売られていた。
ものすごく速筆な人なんだなと思った。
一巻と同じく、手にしたものの、売り場に戻してしまった。
やはり、忙しかったということもある。
そして、同じく平積みされた新刊『ゼロから始める魔法の書』(虎走かける著/電撃文庫)を買って帰った。
Webで人気の作品ではなく「大賞をもらった作品」の方が興味を引かれたのだ。
当時、「小説家になろう」というサイトは知っていたが、リゼロがそこで連載されている作品だとは知らなかったのだ。
――そのくせ、今現在「小説家になろう」で連載をしている。
2018年現在、世の中にはたくさんの「異世界」作品があふれている。
そして、「異世界好き」と「異世界嫌い」が存在する。
私は後者だ。
元々、売れている作品や売れているジャンルを読まないのである。読んでいるとしたら、作家が好きな場合と、読み終わってから人気が出たパターン。もしくは人に感想を求められたり、本をいただいたりした場合のみ。
そんなわけで、2016年末、初めて本屋で出会ってから二年後、友人に強く勧められてリゼロを読んだ。
面白かった。
一気に六巻まで読んだ。
おかげで財布が軽くなった。
ちなみに、リゼロを購入した書店は、初めてであった書店とは別の店で、出会った店はつぶれて今はもうない。