天使になる為に… 5
あぁ…とても綺麗だ…
風が吹く度に人を幸せな気持ちにさせてくれる。そんな君に僕は釘付けだ。
この季節…毎朝、毎晩…
君を見るためにこの道を通う。敢えてこの道を通る。
仕事で挫折した時…
仲間ともめてしまった時…
疲れて誰かに縋りたい時…
そんな時に君を思い出す。
初めて逢ったのはいつだったかな?どのくらい時がたったのだろう…
もう…覚えてないや…
あ!覚えてるかな?君と初めて逢ったのはビルの屋上だったよね。僕が蒼空を飛びたいって言った日だった。僕の事を何も知らない君。だけど、そんな変わり者の僕に君は優しく微笑んでくれたよね。何度も何度もチャレンジしようとしたけど…やっぱりギリギリで怖じ気付いちゃうんだ。でも、僕の後ろで静かに微笑んでたね。あの時は凄くドキドキしてたんだ。
今でも蒼空に向かって羽ばたきたい。あの時の気持ちは昔と変わらない。
ただ…変わったのは君が、もの凄く綺麗になったって事かな?誰が見ても立ち止まる。誰が見ても優しく微笑むんだ。
暖かくなったこの季節。特に楽しみにしてるんだ。君の成長っぷり…鮮やかな彩り…。香りも最高だよね…。毎年毎年大きくなっていく君に僕は逢いに行く。
君がこの場所にいる様になってから明るくなった。殺風景だったこの道。アスファルトに囲まれたオフィス街がとても華やかになった。
ありがとう…
でも…残された僕は少し……凄く寂しかった。僕が羽ばたきたいって言った時、君も同じ想い…だったのかな?
そろそろ君のいる世界に行きたいな…逢いたい…
今年の春でここに来るのは…
僕が蒼空に向かって羽ばたけたら、君の隣にいさせてね。君が羽ばたき、行き着いた場所に僕も連れてってほしい。そして、君の隣にずっといたい。二人で殺風景なこの道を華やかにしよう。
あぁ…もう疲れた…
やっと楽になれる…
君とずっと寄り添っていられる時間は永遠だ。今……行きます……
君の羽ばたいた先のあの場所へ…
君の隣に真っ赤な花を咲かせましょう…