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第7話(後半) 西湖の彩

王都まで馬車に乗る事になった一行。

’ひひーん、ぼふ、ぼふ’


(うわっ!馬だ!馬はあっちと同じなんだ?)


馬車乗り場は込んでいた。


列に並んで、4頭立て2連結に乗る事が出来た。1両に4人乗りだった。


「ハチを抱っこすれば二人と半分の料金でいいそうです。交代で抱っこしましょう。」


そういってエレナは御者に銀貨30枚を払った。


(ずいぶん高いな。。銀貨30枚。。日本の感覚で1万5千円くらい?つまり一人7千5百円って所か、、、1回に8人運べば銀貨120枚、6万円!往復で12万!いい商売だな!)


「エレナ、たくさん遣わしちゃってごめんね。」


とタイチは詫びの言葉を口にする。


「まだ沢山ありますから、無くなったらまた仕事をすればいいだけですから」


しおらしい言葉である。しかし貯蓄と言う思考には行かない?らしい。。


エレナ自身も馬車は初めだと言った。


「王都も初めてですー。途中で西湖という湖の横を通るらしいのですが、今の時期花が咲いていてとても奇麗だという噂何ですよ。」


(夏に花畑って珍しい?日本では春か秋のイメージなんだけどね)


「そんなに奇麗なんだ?あーあ、携帯があれば写真に撮るのになあ」


「携帯ってなんですか?」


「えーっと、上手く説明出来ないからもしこの世界で似たようなものに出会ったらその時説明するね。」


そんな話をしている内に猛烈な眠気がタイチを襲った。


馬車はもちろんスプリングなど付いていない。なので木製の車輪が石を敷くたびにガタガタ上下に激しく動く、それでも八五郎を抱っこしていると子供特有の高い体温とぷにゅぷにゅ柔らかい八五郎の抱き心地が吹き荒れる嵐の様に意識を根こそぎ持ち去ろうとする。


ガタゴト、ガタゴト


◇ ◇


3時間は眠ったのでは無いだろうか?タイチはエレナに肩を揺すられ目を覚ます。


「タイチさん、見て!青紫の絨毯の中に黄色いのが沢山!」


「あーうー」ハチも初めて見る美しい光景に興奮気味である。



湖の湖畔は薄青紫をした小さな花が隙間なくぎっしりと咲き乱れ、そこへポツリポツリと植えられた木がアクセントの様に真っ黄色の花をその枝から抱えきれない程に咲かせていた。


湖面からの風は冷たく気持ちがいい。鏡の様な湖面に映った花木が彩を倍加させ、その先を見れば遥か遠くに見える霊峰達はこの季節にあっても頭部に白い化粧帽子を被っている。


(夢の様な景色だ)


広大な西湖の景色は途切れる事を知らず、しかし確実に城壁と王城の街セントキナーゼへと導く。



◇ ◇


王都を守る巨大な門は人だかりで有った。


「あのー?お祭りか何かですか?」


八五郎を抱いたエレナが列の最後尾に並ぶと、前に並んでいた夫婦らしき男女にソッと尋ねる。

すると女性は威勢よく言った。


「何言ってるんだい!さてはお上りさんさんだね?この門はいつ来たって行列が途切れる事が無い。なぜかって?知りたいかい?」


エレナが興味津々で頷くと、その女性はエレナにこっそり耳打ちする素振りをするとタイチにも聞こえる声で言った。


「王都だからだよ!」


それから2時間近く、王都の素晴らしさを吹聴され二人共ぐったりした。八五郎などは早々に鼾をかいてタイチの背中で眠っている。


しかし、得るものを多かった。


タイチ達の番が来ると、エレナは商人だと言った夫婦に教えられた通りに役人に告げる。


「勇者候補を連れて来ました!」



(改)話数表示訂正しました。

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