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第5話  逃げる

神の差し金で砂漠で聖剣を拾ったタイチ。その代償でゴーレムに襲われる。


「走って!」


持っていた薪を放り出して二人は走る。


それでもタイチは拾った剣を大事そうに抱えている。


そして全速力で走る。


’ヒューーー’


後ろから飛来音がやって来た。


’どぉーーおん’


それは右前方で炸裂した。爆風に足を取られそうになりながら必死で走る。


「あっあと10mずれてたらお陀仏じゃないかーー!」


タイチが叫んだ。なにか叫んでいないと正気を失いそうで怖かった。


しかし、5分もするとタイチはよろよろと歩き出してしまった。森まであと1kmはある。走らなくては危険だが、足場の悪い砂漠を1km以上全速力で走った疲労で動けなかった。


ゴーレムの足は遅く、それゆえ距離は十分稼いだが、約1分間隔で打って来る魔道弾は一瞬の速さで二人へ襲い掛かって来る。


「あと少し。頑張って!」


体中が酸素不足で立っているのがやっとのタイチにエレナが駆け寄る。


’ヒューーー’(また来た!)


「ぜーエレ ぜー ナ 逃げ ぜーぜー て。」


息も絶え絶えなタイチを背にエレナは魔道弾に立ち向かう。


「風の聖霊よ。その鋭き爪で全てを切り裂け、暴風魔法ウイルラー!」


エレナの唱えた魔法が何も無い空間に嵐を巻き起こす。


嵐に巻き込まれた魔道弾は眼前で目標を大きく逸れ、着弾する。


’どぉーーおん’



 エレナに引きずられる様にしてどうにか森に逃げ込んだタイチであったが、不思議な事に森に入るとゴーレムの攻撃はピタリと止んだ。しかしまた砂漠に出れば攻撃されるかも知れないので、森の浅い所を砦まで移動する事になった。


’キキー’


’ズバッ’


森を歩いているとジャイアント蝙蝠が頭上から襲って来た。タイチは拾った剣でそれを1振りの元に撃退する。


「その剣すごいですね。」 エレナも感心する程の切れ味である。


日が高く成り、お腹も減ったので食事をとる事にした。

エレナ曰く、蝙蝠は食べない方がいいという事で近くにいた兎に似た小型動物を数羽狩ると火を起して食べる。


「ワラっ」


森の中では清水魔法も順調で、あっと言う間に器一杯の水が集まった。


「ここなら暮らして行けそうだね。」とタイチが言うと、なぜが頬を赤らめるエレナ。


「でもタイチさん、王様に会いに行かないと。。。」


「そうだった。砦って遠いの?」


 どうやらエレナの話ではこの昼食を終えればあと1刻もせずに着くだろうとの事。だが、今の内に帰り用に保存食を作って於きたいので残った肉を燻製にするという。

 エレナはナイフで穴を3つ掘りそれを横穴でつなげると、真ん中の穴に焚火を炊くと奥の穴に笹竹で作った棚に肉を並べてその上から大きな葉を積み上げて燻し始めた。


「2刻くらいで出来上がりますので。この斑模様をした木で燻すと美味しんですよ。」


(うーん、エレナはいいお嫁さんになりそうだ。)


※ 火の始末は便利な水魔法で丁寧に行いました。

◇ ◇


「うおー、でっかい砦だなあ」


タイチは思わず唸る。丸太で出来た砦は高さが4mはあろうかという柵で囲われていて、その大きさは野球場くらいありそうである。


大きな正門前には槍を持った兵士が二人立っていた。エレナがさっそく兵士に話しかける。


「あのー兵隊様、村の近くに迷い人が居たのでお連れしました。」


だが、中年で如何にも下級っぽい兵士はエレナの話に耳を貸そうとはしなかった。


「だめだめ、今砂漠にゴーレムが出て大暴れしていてそれどころじゃないからダメ。急ぐんだったら溶けた道を登って王都に直接出向いてくれ!」


ゴーレムが暴れていると聞いてギクリとする二人。原因が自分たちなので、すごすごと門から離れひそひそ相談をする。


「やっばー。ゴーレムの狙いが俺だってバレたら捕まりそうな勢いだな」


「仕方ありません、溶けた道を行きますか。。」


「その溶けた道ってのは危ないの?」


妙な名前が気に成ってタイチは訊いた。


「いいえ、つるつる滑りますがそれ以外は平気ですよ。」

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