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第40話 エレナの試練

エレナは帰って来ない。天音は力を使いすぎて戦線離脱中。

「本当に一緒に行かなくていいんですかー?仮にも勇者レベルは私たちの方が上なんですよー?」


「えーっと、ステータス的には俺が適任なんだよね。それにこの剣があれば再封印できる筈だし。」


「そんな事言って、転んでペチャンコに踏みつぶされても知りませんからねー?」


強ち冗談で無い。


「そうならない様に頑張ってみるよ。もしダメだったら皆を避難させて上げて欲しい。」


タイチはそう言って王城を後にした。




◇ ◇


 エレナは真っ白な霧の中を歩いて居た。


 いつも首に掛けていたネックレスが無いので何だか不安だった。小さい頃に母がくれた唯一の思い出の品。


 祖母だった村長が教えてくれた話の中で母は、強く美しい女性だった。勇者PTにも痛そうだ。残念ながらぼんやりとしか覚えて居ない。


 エレナの村は女性ばかりの村で皆弓の達人であった。

 村の女性はある歳になると、遠く離れた暗殺者の村との契約で村男と契りを躱す。そして男の子が生まれれば暗殺者となり、女の子が生まれれば村に残った。

 祖母の後を付いて村長になる定めだったエレナの母は、少女時代を冒険者として過ごした。

 そして、村の掟を破り見知らぬ旅人と契った。


母はエレナが6歳になった時、エレナを村に預けた。母と二人で住んでいた大きな屋敷を出て何も無い村に来た事を薄っすらと覚えている。その後母の行方は分からない。


 村に預けられる時、母がいつも付けていたネックレスをくれた。エレナはネックレスに毎日祈りを欠かさなかった。このネックレスの持ち主に又会えますようにと。。。


 霧が晴れて来た。時間の感覚がマヒして、どれくらい歩いて居たかも分からない。


 しかし、飲まず食わずなのにすこしも疲れて居ない。喉も乾かない。エレナは歩いた。そして行方に一人の男性が座っているのを見つけた。


「あのー、貴方は神様でいらっしゃいますでしょうか?」エレナは腰を屈めて聞いた。


「神様はこの先に行かれました。私は疲れたのでここで休んでいるのです。」


ゆっくり休んでくださいと声を掛け再び歩き出すエレナ。エレナの足はまだまだ動いた。


またしばらくすると、別の男の人が居た。また先ほどの様に話しかけると同じ回答であった。


それが続いた。


 数を数えて居なかったので、正確に分からなかったが、それが1000人を超えた辺りでエレナは足を止め、男達と同様に座った。不思議な事に足はちっとも疲れて居なかった。しかし心が疲れたのだ。


 ネックレスが無いの心細かった。何よりここの所ずっと一緒に居たタイチが隣に居ないのが寂しかった。そして上手く神様を探せたとしてもその後タイチが元の世界に戻ってしまうかも知れない可能性を考えただけでも胸が張り裂けそうになるのだった。


 立ち上がったエレナは努めて考えない様にしながら歩いた。また道端で休む男が居たが目もくれず通り過ぎた。すると後ろから声を掛けられた。


「そこのお嬢さん、そんなに辛そうな顔でどこへいくのだい?さあ、一緒に休もうではないか?」


「ご親切に有難うございます。私は先ほど少し休みましたので大丈夫です。神様を探さなくてはならないのです。そうしないと大切な人たちが危険なのです。」


 ガデムスが勇者を欲している以上、勇者達に危険は振って来るだろう。例えガデムスの望みが叶ったとしても、魔王がが勇者達を生かすとは限らない。ただ、勇者は死んでも魔族に生まれ変われる。そこで再度タイチとやり直せる可能性はある。しかし、、、


「それに、私の大事な人は異世界から来たので元の世界に戻して上げたいのです。」


「ふむ、それは貴方に取って幸せの逆である気がしますが、なぜそうしたいのですか?」


エレナはその男の目を真っすぐ見て言った。


「分かりません、でもそうしたいのです。多分私はこういう生き方なのだと自分で思います。」


男はエレナの言った「そうしたいのです。」というセリフを反芻した後、にっこり笑ってこう言った。


「そうですか、ならば私も貴方を助けたいと思ったのでそうします。」


男がさっと手を振ると霧が晴れ足元に巨大なメビウスの輪が現れた。


もう一度男が手を振ると男は神々しい光に満ち溢れ、二人の前に扉が現れた。扉の先では女神が両手を広げ、満面の笑みで二人を出迎えてくれた。。



 グリーンドラゴンは大型肉食恐竜程にまで成長した後、一旦その拡大を止めたのだが、森に入り手あたり次第食べ始めると再び体積を増して行った。


既に倒壊した3~4階建てのビル程に迄成長したグリーンドラゴンを前にタイチは成すすべが無かった。聖剣を振るっても、その傷は見る見るうちに治って行ってしまうのだ。


 森の中でドラゴンを攻撃しながら手を焼いて居ると、鬱蒼とした森の中からもう一体巨大な影が現れた。


タイチは剣を構えるが、その巨大な影はグリーンドラゴンにぶつかって行った。


(なんだあのデカいゴリラは!)


2体の巨獣はがっぷり四つに組んでお互いを押さえつけている。


「くそー!せめてグリーンドラゴンの弱点とか分かれば、この隙に何とかできるのになあ。」


 額の汗と泥を拭うタイチ。


 その時懐かしい気配に振り向いた。


 そこにはエレナと女神が立っていた。


「エレナっ」


駆け寄り思い切りエレナを抱きしめる。


「タッ タイチさん、女神様からグリーンドラゴンの弱点を聞いてきました。背中の背びれの13番目を聖剣で刺してください。」


エレナを送り届けた女神は直ぐに姿を消した。


(女神様達、手伝ってはくれないんだ。)


すこしがっかりしたが、弱点が分かったのだ。正体不明の巨大ゴリラもドラゴンを抑え込んでくれている。今がチャンスである。


「さあ、風魔法であの背中まで飛ばしますから落ちない様にしっかりしがみ付いて来て下さいね。」


 エレナの風魔法がタイチをグリーンドラゴンの背まで吹き飛ばす。結構なダメージを食らいながら、タイチは落ちない様に必死に背びれにしがみ付いた。


 無事ドラゴンの背に乗ったタイチはそこからエレナに手を振ると、13番目の背びれの根本が赤く変色している所を探し出すとそこへ向かって聖剣を思いっきり突き刺した。


’ぐぎゃぎゃがぎゃぁーー’


 巨大ゴリラに押さえられた首をもたげ、天に咆哮する。そしてその体制のままドンドン小さくなって行く。


 1時間もすると、軽自動車程にまで小型化したグリーンドラゴンを見て巨大ゴリラは森へ帰って行った。


そして最終的にグリーンドラゴンは元の手の平サイズに戻った。


読んで頂いて有難うございます。

次回最終話、直ぐに投稿予定です。

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