第31話 光り輝く
タイチ達は女神を呼び出し、神に会う。
説明回になっていますので、ご面倒でしたら斜め読みご推奨です。
「神よ、時間石に刻んだ約束を果たすべく、貴方が造りし者の末裔と異界人をお連れしました。」
女神が感情の無い表情でそう告げた。
しかし神は身じろぎもしない。
遠目からは強烈に光る人型の物としか認識できなかったが、近くに案内されてからは更にその威光に圧倒され二人は顔を上げる事すら出来なかった。
(凄い、何もかも凄すぎる。怒らせたらきっと一瞬で消されてしまう。。)
タイチが動けないでいると、エレナは意を決した様に声を絞り出した。
「恐れながら、神様にお尋ねしたく参りました。東の村から来ましたエレナと申します。私は冒険者をやっています。魔王軍の兵卒とも戦いました。そして、ここにいるは勇者見習いのタイチです。」
エレナは不敬にも眩い神の姿を真っすぐ見据えて嘆願を続ける。
「神様、勇者は魔王と相打ちに成ると魔王に転生すると言うのは本当でしょうか?
魔王は勇者と相打ちになると元に戻れるという噂も本当なのでしょうか?
我々はそのような連鎖を断ち切る方法が知りたくてやって参りました。最終的にはタイチさんが無事元の世界に戻れる方法を知りたいのです。」
一気にしゃべり尽くしたエレナは息も荒く。そうとう体力を消耗した様だ。それもそのはず、神の前にいると何か重力の様な物で抑え込まれているかのように重いプレッシャーを受けるのだ。
「先ずは此処にたどり着いた者達に加護を与える。そいう決まりにしているのでな。遠慮なく受け取るがいい。」
そう言って神が右手を振るとエレナとタイチの体を光のカーテンが覆う。タイチには心なしか神の輝度が少し下がった気がした。
「そして其方。東の村の異端児エレナよ。其方が問いに答える義務はない。しかし、連鎖を止める方法に関して若干ヒントを与えよう。」
隣で女神が驚いた顔をしていた。
「そもそも、異界からの迷い人は如何やって来るか?それはこの世界全体が持つエネルギーを補おうとして開いた穴から来るのである。
例外はそこに居る勇者見習いだ。タイチよ、お前はその隣におる女神がスカウトしてきた切り札だ。」
タイチは驚いて美しい作り物の様な女神をまじまじと見た。小さな頭部に9頭身の体、とても生きている人間とは思えない程整った顔。惚れ惚れする美しい姿である。勿論タイチは会った記憶も無い。
「タイチよ、私の姿に見覚えがあるはずもありません。このように姿を変えていましたから。」
そう言って女神は柔らかく光り輝くと、半そで白シャツにジーンズ姿の7頭身くらいの女性に姿を変えた。
「あー、タワーの人!」
思わずタイチは叫んでしまった。その後で神の前にいる事を思い出し直ぐに下を向いて静かにする。
「そして、私は知っています。勇者見習いのタイチは実の姉と結婚願望を持つ変態だという事を。」と女神。
’ガラガラガラ’
音を立ててタイチの中で何かが崩れた。
ついでに膝も付いて両手も付く。orzである。
(なっなんで、このタイミングでそんな事を言う?意地悪な女神さんなんだ、この女神さんは)
「なぜタイチさんをこの世界に?」 全く気にせずエレナが神との会話を続ける。
(確かに彩姉と結婚できたらって少しくらい思ってたけど、今はエレナが一番なのに。。。女神様の馬鹿。。。)
タイチの意識は遠い所に居る。
「世界はバランスを取ろうとするからだ、つまりエネルギーバランスをだ、維持しようとする。不足すれば補う。これからこの世界の理を少し話そう。」
神はその後光を揺ら任せながら足を組みなおすと、二人に向かって語った。
「例えばそこの勇者見習いが魔王を倒したとする。倒された魔王の魂はこの神界に飛んでくる。そして持っていたエネルギーはこの神殿を通じて地上へ還元される仕組みになっている。これはバランスは保たれるケースであるって、ホールは発生し得ない。」
「ちなみに、亡くなった魔王の魂は元の世界に戻れるんですか?」
「無理だな」
神は即座に否定する。魔王が死ぬと自動的に異世界に戻れるのでは?というリリアスの推測は覆されてしまった。
「この世界の枠組みの中で死んだ魂はリセットされ地上に戻されるだけだ。」
恐らく、そうやってバランスを取っているのだろう。
神の話は続く。
「ではその後何十年後か分からないが、タイチが天寿で死んだとする。この場合、異世界人の魂はこの世界とは少々造りが異なる為にその魂を神殿でリセット処理できずに改質後一旦地上に戻すという処置がなされる。この場合必ず魔族として転生する事になる。
更にその時持っていたエネルギーは転生体に引き継がれるのだが、改質中はこの世界から見てそのエネルギーが一時的に消滅した様に映ってしまい、この時世界全体のエネルギーバランスは凡そ勇者一人分だけマイナスになる。すると世界は新たなエネルギーを欲してホールが発生して新たな勇者を迎える事になる。その後改質が終わった元勇者の魂は魔王候補として転生し世界は勇者一人分だけエネルギーが多い状態を維持する。」
難解な説明だが、勇者が死んで魔王に転生するタイミングでホールが発生するという事が分かった。
読んで頂いて有難うございます。




