第24話 2つ目の鍵
諦めたガンテドック
魔獣城でガンテドックと二人になったレオ視線を落としガンテドックを見る。
「ふむ。」
そしてその眼光が鋭く光る。
次瞬間ゴールデンレオはあっと言う間に間を詰めると、前足が目にも止まらぬ勢いでガンテドックの腹を直撃した。たったの一撃で鉄壁の盾と呼ばれた彼は白目を剥いて気絶する。いつでもそうできる実力を隠し持っていたのだ。
そしてゴールデンレオは爆弾となる魔石を切り離し床にそっと置いた。
城から少し離れた台地には避難した彼の軍勢が集まっていのだが、レオがガンテドックを持って現れると軍勢からどよめきが沸き起こる。
「ゴールデンレオ様、このまま城を明け渡して宜しかったのでしょうか?アレは魔王様から授かった大切な城。。」
側近の一人が進言すると、レオは大きな声で言った。
「よい!城は我らを守ってくれる物であって、我らが城を守るのではない。我らが守るのは魔王様とその仲間である。」
「でっでは、せめて奴らの兵器を城から遠避けたく思います。お許し頂けますか?」
屈強なアルマジロ獣人が名乗りを上げた。
「ならん、あれはもう直ぐにでも爆発する!」
そんな議論紛糾する真っただ中にギルバーツ達は決死で乗り込んだ。
「ゴッゴールデンレオ!その男を返して貰おう!」
絶対王者にとっては蚊か蝙蝠が飛んできた様な物である。驚くことも無く、静かに言った。
「まあ、まて。この男が死を覚悟してまで我らから遠ざけたかった破壊という物をまずは見学しようではないか?」
◇ ◇
先行するギルバーツ達を追って魔王城の近くまで来ていた天音とホプキンスは簡易テントで休息を取っていた。
「天音!こんな夜更けに何処へ?」
起き出してふらふらと歩き出す天音をホプキンスが呼び止めるが、うわ言の様に呟いている。
「呼んでいる。。誰かが私を。。。」
(天音の様子がおかしい。この症状は。。。)
ホプキンスは直ぐに聖なる呪文を唱える。
「・・・・ホーリーストライキング!」
その瞬間大きな光の手が現れ天音の背中を勢いよく張り倒す。
「げほっ」
天音の口から吐き出された物はゴルフボール大の柔らかい生き物。いや魔物だった。
「リビングデットの舌!」
実際は魔物の舌でなく、その様に呼ばれる小型の魔物である。こいつは厄介で、これに取りつかれた者は自分の意思と関係なく魔王を崇拝し、褒めたたえる。そしてその様はゾンビさながらの動きになる。
ホプキンスの投げた短刀に小さな魔物は体を溶かしながら消滅する。
「珍しい魔物。」
とホプキンスが呟く。
しかし、我に帰った天音の怒りが最高潮に達していた。
「よくも私に執り付いて。。。穢わらしい魔物めっ!どいつもこいつも焼き殺してやる!」
◇ ◇
それから1刻余り。天音はホプキンスから遠隔クリスタルを奪おうと引っ張り合いを続けている。光り輝く勇者の力を持つ天音ならいとも簡単そうであるが、どうやら勇者の力は心を許した人に対して攻撃出来ない様だ。
「ホップキン。。スー!はーなーしてーー!」
「ダメです!いくら天音のお願いでもダメな物はダメです。ギルバーツさん達が戻ってきてからじゃないとこれは渡せません!」
「ほほう!この私を甘く見てお出でだね、ホプキンス。私には未だ奥の手があるのだよ。それっ!」
「きゃっうっほはははっあ~~!まねーやめてーー!」
何の事はない乙女が仲良く遊んでいるだけである。
「あーもうーだめーー!」
ホプキンスがコロリと遠隔軌道クリスタルを手から離す。
「やったー!」
天音がクリスタルを空中でキャッチしたその瞬間。突然クリスタルにヒビが入り、魔獣達の住処である第二四天王城から巨大な火柱が轟音と共に天に突き刺さった。
◇
「わっわたし、まだ何もしてないからね。」
天音が可愛らしくホプキンスに訴えるが、業火を呆然と見つめるホプキンスは業火に当てられ頬が火照っている。更に良く良く見るとその頬は痙攣している。
「もしあの中にギルバーツさん達がいたら。。。」
天音は大慌てでホプキンスの両肩を掴むと前後に揺さぶった。
「やめてー、不吉な事言うのは止めてー」
◇
城へ向かった天音とホプキンスであったが、焼け跡からは何も発見出来なかった。
失意の内にキャンプへ戻った所、そこへなんとギルバーツ達がスタスタと徒歩で帰って来る。ガンテドックも一緒だ。
しかし、何故か清々しい雰囲気を出すヤーシュタと対照的に残り二人はげっそりとした様子だ。
「もう絶対潜入なんてしないからな!」
最後にギルバーツが文句を言いながら四天王の鍵を放り投げ、通り過ぎる。そして彼らはさっさと寝袋に潜り込むと寝てしまった。
「あっうん。寝ちゃうの?おやすみ。。なさい。」
それを天音は小さく見送った。
◇ ◇
行軍途上から一転踵を返し、焼き尽くされた居城に戻って来たアンデット軍はその日未明に再び天を焦がす炎柱を目撃する。方角は友軍獣魔団が守る城である。
「ゴールデンレオ、如何にお前と言えどもアレに焼かれては。くっ。。!」
亡者軍が軍団長スケルトンキングとゴールデンレオは過去2回に渡って勇者からのを耐えた盟友だった。前回は魔王様を勇者の攻撃から守りきる事が出来なかった。今度こそ互いに誓ったこの戦いであったが。
「無念であったろうレオ。敵は取ってやる。」軍団長は小さく呟くと全軍に指令を出す。
「スピアースケルトン、貴様は小隊を率いて南の村を監視。もし獣魔城を襲った勇者たちが戻ってきたら狼煙を上げるのだ。全軍はこれから獣魔城へ急行、敵を追う!」
声一つ上げず亡者の軍団が行進を始める。
’ガシャ・ガシャ・・ザク・ザク・・’
申し訳ありません。話が抜けてました。




