第23話 潜入
天音PTの男共は第2四天王の城へ潜入する。
「ホプキンス!味方の現在地は?!」
「はい!地図の上では敵城近くまで移動中です!」
「よし!奴らの後をつけるぞ!」
「やー!」
◇
「ぐごごごごごぉぉー」
魔獣王ゴールデンレオの前に連れ出されたギルバーツ、ヤーシュタ、ガンテドック。
今度こそ死んだと思った。
ライオンの鬣を持ち、4本の脚に6本の腕を持った金色の戦士。その体から溢れんばかりの魔素が湧き立ち、その鋭い爪にひと割きされれば彼ら人間の体など海に浮かんだクラゲの様に真っ二つにされる事が容易に想像できた。しかし、、、
「おうおう、可愛い哀願動物共だな。ネコ科か?」
どうやらおつむは爪程には鋭くない様子だ。
「ゴリ美、グッジョブだ!褒美に好きな子を持って行っていいぞ!」
「あーん、レオたんありがとお~、私このおっきの貰うねー」
(。。。ガンテドック、お前の事は忘れない!)
ギルバーツとヤーシュタから声なき声が木霊する。
「さあ、お前たちは新しい俺たちの家族だ。さっそく他の家族に紹介しよう。」
動物に変装したギルバーツとヤーシュタの瞳が鈍く光った。
◇ ◇
「うおぉおおおー!」
ガンテドックは生まれて初めて貞操の危機という物を経験していた。それはガンテドックが当てがわれた檻(寝床)の内で起こった。
どうやらガンテドックの入れられた檻は発情期を迎えた緋色四手猿が隔離されて居た様だ。今はガンテドックを相手取り壮絶な殴り合いを演じている。
緋色四手猿の求愛行為は4本ある手でがっちり抑え込んでからの噛みつきである。それも甘噛みどころではなく、噛まれると噴水の様に血潮が噴き出す勢いである。
「うおぉおおおー!」
ガンテドックは破壊クリスタルの運び手ではない。彼の役割は運び手であるギルバーツを補佐する事である。
早く脱出しないと、明日朝未明に予定された爆発の餌食になる事すら予想される。ガンテドックは必死で豪腕を振り解いた。
◇
一方、ギルバーツ。彼はヤーシュタと共にキングレオのペットが住まう小屋に案内された。
「おいこら新入り!ここでは葉斑スーダキャットのベツウキ様に挨拶する決まりになっているにゃ!ふぎゃっ!!」
ここに来るまでに理性と何かが吹き飛んでしまったヤーシュタがギルバーツが止める間もなく魔法弾を撃ち込む。
「ふははは、ひれ伏しなさい獣どもよ!私の名は猫のヤーシュタ!刻みなさい我が名前を!」
「やっ ヤーシュタ!まずいって、レオが来るって!」
しかし乱れ狂うヤーシュタは止まらない。
「良いではないですか?この破壊クリスタルを口喉内に押し込んで差し上げましょうでござるぞ!」
「ちがっ!そうじゃなくて、それを置いて逃げるんだって!ガンテドックも回収しなくちゃ!」
しかし執拗に愛玩魔物共の口に破壊クリスタルをねじ込んだヤーシュタは倒されぐったりとした彼らを横目に唾を吐き捨てた。
「ちっ他愛のない。せいぜい直撃されないように逃げるでござる!」
語尾まで豹変したヤーシュタにギルバーツが恐る恐る声を掛ける。かわいそうに、苦労性なPT補佐である。
「なっなあ、早くガンテドックを探して逃げようぜ」
◇
「ガンテドック、大丈夫だったか?」
ギルバーツとヤーシュタが発見した時、ガンテドックは精も根も使い果たしたかの様に床に倒れていた。近くには同じように倒れている4手猿たちがいる。
「待ってくれ。。」
「ああ、お前を助ける迄は爆発させやしないさ。」
「そっそうじゃない。この城に住む魔獣達を巻き込むのは待ってくれ」
ギルバーツとヤーシュタは顔を見合わせる。
「ガンテドック、いれちまったのか?俺たちの目的は魔王を倒す事だ。その手下を助けろってどういう事だ?」
「まっ魔王を倒すために鍵が必要なだけで、魔獣達を殺す必要は無いだろう?俺がキングレオに直談判する。魔石を貸してくれ。」
又二人は顔を見合わせる。
「ガンテドック、お前は疲れているんだ。そんな事をしてみろ?お前はアッサリ殺されて終わりだ。なあ、俺たちが上手くやるから任せて於けって。」
突然ガンテドックはヤーシュタが首からかける魔石を奪い取って走り出す。
追いかけようとするギルバーツをヤーシュタが制止する。
「まて、後を追いながら様子を見るでござる。」
◇
「ゴールデンレオー!これはアンデット城を燃やし尽くした大量破壊兵器だー!お前が愚か者で無ければ魔王の間への鍵を渡してくれー!」
ガンテドックの張り裂けるような叫び声が木霊する。
「我がその様な物を恐れるとでも思うたかー!」
玉座のキングレオは燃え上がらんばかりの闘気を立ち上らせ立ち上がる。
「たのむ。。。鍵を置いて引いてくれ。。。こんな争いに何の意味があるっていうんだ。魔王と勇者の意地の張り合いに何の意味があるんだー!」
「我らが長、魔王様を侮辱するとは許す訳には行かん。」
「許さなくてもいい!この爆弾の威力を見てから判断してもいい、だから全員ここから退避しろー!」
そんな脅しに乗る獣魔団では無かったが、ガンテドックをシミジミと観察したゴールデンレオが目で合図すると、一人、また一人と城を退避していく。その中で爆弾を抱えたガンテドックはじっと動こうとしなかった。
最後に残ったゴールデンレオが言った。
「お前のいう事が本当なら、お前と俺は黒焦げになるのだが?」
「もう、勇者PTには疲れたんだ。最後に誰か救えたなら上等だよ。」
◇
最初は獣魔城全滅という話だったのですが、ガンテドックに頑張って貰って獣魔達が助かる話にしました。




