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第19話 北の開拓村

天音達は魔の森で一夜を明かしました。

ギルバーツとガントテックは朝まで交替で警護すると共に、天音が仕留めたオスの槍鹿を捌いて毛皮と両後ろ足の肉塊を取り出していた。


「残りは勿体ないが魔狼の餌だな。荷車でもないととうてい持って行けそうにない。」


そう言いながらギルバーツは片方の角を背中に背負った。これだけでも40kgあるので魔物に襲われた時を考えると身重になり危険である。


「ギル、あんたその角どうするのよ?」


「もちろん村まで行って売り払う。王都ほどで無いが高値がつくだろう。勿論金儲けが目的じゃあない。こいつを格安で売って村の連中に恩を売ろうって寸法さ。」


「ふんっ!どうせ、精力剤の材料とかその手の物でしょうに!」


当たりである。。。


「おっと、天音にはちょっと早すぎたな。」


 ギルバーツがそう言って天音をからかうと天音の背中から光が炎の様に立ち上り、揶揄われて怒ったことが丸わかりである。なのにギルバーツは揶揄う事を止めなかった。


「まあ、天音の胸がホプキンスの半分にでもいいから成長したら薬を分けてやってもいいぞ。」


「ギルバーツ、どうしたの?天音は疲れていて具合が良くないの。揶揄うのは止めて?」


 ホプキンスが空気を察知して仲介に入るが、それでもギルバーツは止めない。


「具合が悪い?二人してぐっすり寝て於いてよく言うね。朝まで狼の相手をしていた俺たちの方がよっぽど具合が悪いよ。そういえば二人は随分仲良く寝てたな。あれか?最近流行っている男より女がいいってやつか?」


 その瞬間ギロチンがギルバーツ目がけて飛来した。

 ギルバーツは飛んでくる事が分かっていなければ、とても躱しきれない高速攻撃をまるで知っていたかの様に、クルリと背を向ける事に依ってスピアーディアーの角で受け止めた。


 残念な事に、当然魔物であるスピアーディアーの角は聖属性のギロチンの前に豆腐の様に切り裂かれ、ギロチンの歯はギルバーツが背負った名剣”ドラゴンバスター”に当たる事で止まり、飛散した。


’バチィッ’


耳に心地悪い音を発しながら天音の攻撃がギルバーツの背を直撃した後、天音とホプキンスが見たのは背中に無数の裂傷を作り血を溢れ差しながらも立ち尽くすギルバーツの姿であった。


「ギッギルッ!ごめん!そんなつもりは!」


急いで天音とホプキンスが駆け寄るが振り返ったギルバーツは天音を制止すると静かに言った。


「よく聞いてくれ天音。勇者の力を持て余しているのはよく分かる。それが勇者の力に目覚めたばかりの天音にとって仕方が無い事も俺たちは理解している。しかしな、これから行く村で同じことをしたらどうなると思う?魔王退治の英雄の筈が辺境の村虐殺の大悪人に早変わりだ。」


ギルバーツは優しく天音の肩を叩いた。


「いいか?怒りに任せて力を振るうとこうなる。懲りただろ?天音、お前は勇者だ。怒りは魔王にのみ向けろ」


そういってギルダーツはついに膝を付いた。既にホプキンスが背中に回り回復魔法を掛け始めている。


「ギルバーツ、ごめん。ありがとう。。。」


「大丈夫です、天音。私が奇麗に直しますから。」


「ギルバーツ、さすが勇者隊の補佐に選ばれるだけの事はある。」


ヤーシュタが呟いた。


そんなヤーシュタにガンテドックが尋ねる。


「爺さん、今の事は占いで分からなかったのかい。」


ヤーシュタは両の目を見開きながらさも遺憾そうに言う。


「私は若白髪なだけで、年寄りではない。それに、我が神託にはこう出ておった。勇者は今日大切な何かを得るとな。」


「はあ?」


「うむ。」



◇ ◇



「ようこそ、北の開拓村へ。私が村長のケローネーです。」


「勇者隊の補佐、ギルバーツだ。勇者と神官は北側の森で休養してる。」


「なんと、それでは直ぐにでも神輿を出してお迎えに上がらねば!」


「いやいや、それには及ばん。実はな、」


ギルバーツは村長の肩を抱いてひそひそ声になる。


(「「今日から3日間は神に決められた沐浴の期間なのだ。勇者と神官に取ってこれは一大事でな、これより3日間毎日1時間毎に体を清める儀式があるのだよ。それを我々の様な大人の凡夫にみられると。。。」」)


「見られると?」


「その聖なる力を失ってしまうのだ!」


もちろん大嘘である。


「なっなんと!このケローネー45年生きて居て初めて耳にしました。それは一大事!村の男衆には一切北に行くことを禁じ、村の子供や若い娘に毛布やお食事を届けさせるように致します。」



「むむっケローネー殿、お願いしようと思っていた事を全て先に答えるとは、さすが村のまとめ役、唯物ではありませぬな」


「何を仰る、私はしがない村長でございます。所でギルバーツ様、その御腰の袋に入っている物は、短く切られている様ですが、もしかして鹿の。。。」


「おうおう、忘れて居ました。途中退治した雄のスピアー・ディーアの角です。素材として入用かと切って持ってまいりました。」


「ぜひ、売っていただけませんでしょうか?王都ほど高値では無理ですが、嵩張る品。ここで換金された方が旅の安寧に貢献できますかと。」


「ふむ。安くで、いや物々交換でもよいと思っていますが?」


ひそひそ。。。ひそひそ。。



天音ちゃん、本当は優しくていい子な設定なんです。

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