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第13話 噴火

タイチは西の洞窟調査PTに加えて貰った。

王都北側に位置する僻山が突然小噴火を起したことで街は大騒ぎに成っていた。


「神の世界が滅ぶ時、山々が噴火を起こし、ダンジョンからモンスターが溢れだすという。」


ペトラーが冒険者ギルト2Fに集まった面々を前に出発前の訓示を行っていた。


「諸君も知っての通り、西側洞窟は中級レベルのダンジョン。コアは地下10階に在る。我々冒険者ギルド本部のメンバーで大よそ2年に1回、ダンジョンコアを削る事で魔物の大量発生を抑えて来た訳であるが、先ごろ偵察に行った冒険者からの情報では魔物の活性がいつもより高く、今回1年と半年目での攻略隊派遣となったわけである。」


ペトラーは集まったメンバーを見渡しながらその頼もしい面子に満足する。


彼の息子でこの若さにあってA級冒険者でもあるパーティーリーダーのクリュスタロス。

普段からクリュスタロスのPTメンバーでB級冒険者の鞭使いメリッサ。彼女は罠の魔法も使う。

同じく女性のカトプトロンはC級冒険者、回復役、所謂ヒーラーである。

それからC級冒険者、魔法使いエレーミア。彼女は土と風の攻撃魔法を使う。

更に、C級冒険者スカロプス。この小柄な彼女はいつもゴーグルを被っている為よく少年と間違えられる。彼女は短剣使いである。


そして最後に、勇者見習いのタイチとB級冒険者ハーフエルフの弓使い、砂漠のエレナである。


「エレナに関しては説明不要だと思うが、そのおまけに関して説明して於こう。彼はタイチ。迷い人で勇者見習いだ。エレナのたっての頼みで今回参加する。皆彼が死なない様フォローしてくれ。」


女性陣は皆知り合いなのか、はあい、エレナ。宜しくエレナなどと小声で挨拶している。どうやらエレナは冒険者仲間にも顔が広い様だったようだ。


「タイチです。足を引っ張らない様に頑張ります。」


とタイチが挨拶すると、スカロプス以外の女性は小さく挨拶を返してくれる。どうやら割と上手くやっていけそうである。


「さあ、出発だ。皆今回も頑張って行こう!」クリュスタロス隊長の号令で部屋を後にする面々。


1階では八五郎がヒューエトスや他の託児達とお見送りをしてくれた。


「あーうー」


エレナが八五郎を撫でながら挨拶する。


「ヒューエトス様、この子をお願いします。」 ’ギリ!’


タイチの後ろの方から歯ぎしりが聞こえた。


タイチの後ろには小柄でゴーグルを掛けたスカロプスしか居ない。


タイチはスカロプスの方を見たが、ゴーグルを掛けているの目線が会ったかも分からず、また前を向く。


続いて八五郎がタイチに抱き着く。


「パ パーぁ」


思わずエレナとタイチは目を合わせ、両手を取り合って喜び合う。


「ハチが喋ったよ。エレナ!」 「はい、タイチさん!」


’ギリ’ ’ギリ’ ’ギリ’


多方面から歯ぎしりが聞こえて辺りを辺りを見回すが、発生源が分からない。


「儂が言葉を教えておるからのう。」とヒューエトス。



そしてハチが小さくパパ、パパと言いながら腰のお菓子袋を探ってくるので、まだ意味が分からず言葉をしゃべっているのかと少しがっかりする。


タイチはため息を付きながら八五郎の短い髪の毛を撫でながら言った。


「ハチいってくるから、少し我慢してな。戻ってくる時には何かお菓子買ってきてやるから」


「か。。し」


「そうそう。ハチは賢いな。じゃあ行って来るから。」



その後、一行は馬車と馬で王都を出発したのであった。


◇ ◇


「ばばあはいるか?」


砂塵巻き立つ砂漠の村。門前に立つ男が言った。男はこの暑さの中だと言うのに真っ黒に染めた包帯で自身を撒き固めている、さながら黒いミイラである。


「なんじゃ?暗殺村のオピスでは無いか?前も言った様にエレナなら迷い人を送る使いに出しておらんぞ。」


皺くちゃな顔をした村長が面倒くさそうに言った。


「その事だが、それにしても遅すぎる。やつら逃げたので無いか?」


黒ずくめの男の背後には、薄茶色のローブを纏った爬虫類顔の男達が並ぶ。この暑さなのに誰も汗をかいていない。


「逃げたとしたら、嫁入りの順番を繰り上げればよいのでは?エレナの次はルティーナじゃ。掟には背いておらんの?」


只ならぬ男達の集団に脅威を感じたのか、老婆の後ろには村の女性が手に弓や槍を忍ばせて集まって来る。


黒ずくめの男は言う。


「この村は知らんが我らが村には伝承がある。印を持った男女が結ばれる時、この砂漠から元の緑豊かな森に戻れるという伝承だ。伝説にある村人は背に縦一文字の鬣を持つ。」


そういって背を向け、取り巻きに包帯をずらして貰い首から背にかけて鬣の様に毛が生えて居る事を村長に見せる。しかしどういう仕組みか汗をかいた様子が無い。真っ黒な出で立ちなので中の温度は相当高くなっているはずだが?


「して、女性の方の条件は何じゃ?美しいというだけであればこの老婆でも昔は美しかったぞい。ひゃはっっはっ」


次の瞬間、胸に突き刺さった槍を見ながら村長は口から血を吐いた。


「村長様!」


村は大騒ぎになる。


「おのれ!よくも村長様を!撃てっ!」


壮年の女性の掛け声で、村の至る所から弓が射られる。


正確な矢の1本が、村を囲んだ爬虫類顔の男達の眉間を深々と射貫いた。


「退却だ」


黒包帯の号令で男たちは引いて行く。


「エレナを渡せ!渡すまで一人ずつ葬ってくれる!」


それは負け惜しみか脅しか?黒包帯の声が渇いた村に木霊した。



◇ ◇


「天音!?気が付いたの?」


ベットに横たわった天音の体をタオルで優しく拭いていたホプキンスが、天音の瞳に意識が戻った事を見て声を上げた。


「ホプキンスさん。。私?ここは・・?」


ホプキンスは気が付いた天音の頬を優しく撫でると、優しくあやすように言った。


「宿よ。おめでとうと言って良いのか分からないけど、貴方はあの洞窟で覚醒したのよ。」


・・・


「何?それ・・・」


「やっぱり聞かされていないのね。あの憎きハイネスから。」


天音は開けた襟を引き寄せるとベットから起き上がり、ハイネス特務大臣を憎いと言ったホプキンスを怪しげに睨んだ。


「ねえ、貴方たち迷い人ってどのくらいの頻度でこの地を訪れるか知ってる?」


ホプキンスの問いに天音は一瞬考える。ここに来てからタイチ以外の勇者候補と出会って居ないが、他にも迷い人は沢山いるのだろうか?


「20-30年に一人くらい?」


天音の答えにホプキンスは首を横に振る。


「昔はね、それくらい。でも今は3-4年に一人よ。そして皆死んで行ったわ。私の大事な人も。。」


「恋人。。だったの?」


「そうよ。彼とは将来を誓い合ったわ。でも4年前のあの日、魔王に追い詰められた彼はその力を使って私たちを守り、そして相打ちになって。。死んだわ。」


「でっでも、今も魔王は居るんでしょ?」天音は疑問を口にする。


「そう、今第の魔王リリアスはその時の4天王が一人。奴も敵の一人。」


「奴。。も?」


「そうよ。ねえ天音聞いて。私は4年前の戦いで倒れた彼を救おうとして禁呪である蘇生を唱えたの。蘇生はこの世界の魂を元の体に戻す唯一絶対な魔法。その反動で聖女としての力は失い、今は僅かに残った力で冒険者の回復役として生活しているのだけど、私は蘇生を成功させる事が出来なかった。でもね、私が蘇生に失敗した後なぜ彼の後を追って死ななかったか分かる?」


「わっわからないわ。そっそれに、こんな事私にしゃべっちゃって大丈夫なの!?」


天音は混乱していた。


「優しいのね天音。あの人に似て居るわ。大丈夫よ貴方を死なせたりしない。リリアスにも、ハイネスにも手出しさせないわ。」


魔王はともかく、なぜ王国の大臣が敵なのか天音には理解できなかったが、とにかくこのことは二人だけの秘密にするからとホプキンスをなだめて部屋を後にしてもらい、一人静かに考える。

 詳細は不明であるが、ホプキンス曰く洞窟で発現した力を使いすぎると如何やら命に係わるらしい。今回もホプキンスのヒールが無ければ危険だったというではないか!

 ならばどうしてもという時まで使っては成らないだろう。天音には元の世界に戻ると言う明確な目標がある。それまでは絶対死ねない。そうベットの中で反芻する天音であった。


投降が遅くなってしましました。

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