もとはといえばここから始まった
ども、これを見るときはバケツを用意しながら見ることを推奨します。
㊟こっくりさんは絶対にやってはいけない。作者からの約束ですよ。
どうしてこうなった。
ただその一言だった。
清水 翔太。十七年前に俺が”俺”として生まれた時にもらった名前だ。まぁ、そんなことはどうでもいい。問題は今の状況だ。
「ど う し て こ う な っ た 。」
一人しかいなかったはずの部屋には、いつの間にか四人いる。さっきまで緊張とシリアスで埋め尽くされた雰囲気はどっかいって、微妙なものとなってしまっている。
「わしとお付き合いするのじゃ。」
「私のご主人様になってください!」
「僕だけのものになってみない?」
目の前の三人がそれぞれそう口にした。え、どういうことなのこれ。もうわけがわからないよ…。
遡ること一時間前。
少なくともあの時までは何もなかったはずだ。
いつも通り学校が終わったあと、ロッカーに隠れて”丑三つ時”になる直前まで待機する。(時間の情報のソースは俺のI○honeからである。お前アホだろとか野蛮なこと言わないでくれ、分かってるから。)”丑三つ時”になる直前でロッカーからでて、こっくりさんの準備をする。机を出し、シートを乗っけて十円玉を鳥居の絵の上置く。本来このこっくりさんは一人でやってはいけないのだが、そんなものは無視する。
準備が終わると十円玉に指を置き、呼吸を整える。暗く不気味な夜の学校の教室の雰囲気は、やはり怖いものがある。興奮と恐怖で高まる心臓を押さえつけようとひと呼吸おいてから―
「こっくりさん、こっくりさん、どうぞおいでください。もしおいでになられましたら”はい”へお進みください。」
始めた。
ひとつ質問しては「鳥居の位置にお戻りください。」というのを幾らか繰り返す。
―ある程度やって、そろそろ終わろうと
「こっくりさん、こっくりさん。どうぞお戻りください。」
それが多分今の状況につながる原因だったのかもしれない。こっくりさんは返事をする。
「いいえ。」
予想外の答えに、思わず空いている左手で目を擦る。
「いいえ。」
嘘だろ?何で何でなんでなんでナンデナンデナンデナンデ―
「何でですか。」
無意識に、そう。本当に無意識に、喉からかすれた声が漏れた。そんな気がした。
「あ」
「な」
「た」
「が」
「す」
「き」
「だ」
「か」
「ら」
呆然とした。”貴方が好きだから”という返答に。好かれる覚えがということに、そしてなによりも、形ないものに恋されてるという事実に。どうしてだ?分からない解らない判らないわからない―。
クラッシュした思考回路は突然の出来事により強制的に正常に修復された。
一瞬とてつもない光に襲われる。目が白に焼かれる。痛い。
目を開けると、自分の視界の前には三人の美女(暗闇のなかでもはっきりとわかるくらい綺麗だった。)がいた。
一人はロングストレートで、妖艶な雰囲気を纏った少しロリっぽい人。
一人はツインテで、いかにも”メイドさん”のような雰囲気を持っている人。
一人はショートで、元気そうで、爽やかな雰囲気を漂わせている人。
いきなりそんな三人が現れて動揺してる自分を他所に、目の前の人たちは徐ろに口を開いて
「わしとお付き合いするのじゃ。」
「私のご主人様になってください!」
「僕だけのものになってみない?」
そう言った。そして現在に至る。
もう一度言う。
どうしてこうなったんだよ!