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プロローグ【信じてた】
――魔法とか、超能力とかそういうの、絶対あるって信じてた。
でも、こんなにハードだとは思ってもみなかった。
――知りたい、君達のことを。この次元を。
「合言葉は!?」
「やっべ、忘れたどうしましょう!?」
「あ、隼瑠ね。わかったわかった」
「なんか酷くないっすかそれ!」
「合言葉を覚えてから言いなさい。それより、可愛い顔して『やっべ』とか言うんじゃないの!
馬糞のくそったれな臭いが服に染み付くような田舎の出のあたしのほうが、まだ気品あるんじゃないの!?」
「え、いや。ミズノさんに言われたくないです」
「あららー、敬語使っちゃったわねぇ。少なからず気にしてんじゃないの可愛いー。帰ったら甘い物奢ってよね」
組織内の『敬語厳禁』という妙な規則にもまだ慣れない。
「もう! これが終わったらコンビニ直行で!」
「あれ、冗談だったのに。嬉しいわー。まあ、気楽に行きましょ?
緊張してても良いこと無いわよー、初々しくて新鮮なのは良いけど」
「……了解」
……さあ、行こうか。