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白き竜の魔法  作者: 鬼狐
2章 《知らない過去》
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第20話 『ツッキー宅にて』

予定よりも遅れてしまった……。

 凛はあれからも藍の影の中に暮らしている。

 一体あの影の中はどうなっているのだろうか気になり訪ねてみたら『乙女の秘密だよー』と言われた。乙女の秘密って何ぞや?

 因みに凛は小学校(しかも卒業すらしてない)だけしか通っていなかった為、彼女は小学校(しかも低学年)までの知識しか持っていなかったのだ。

 藍が家庭教師をすることになったのだが、どうやら藍は勉強を教えるのは不向きのようだ。

 凛が何故か勝手に僕の家に来て勉強するようになったのだ。


「なんかあーちゃん、頭良いけど何を言ってるかわからないんだもん」


「いやまあ、確かにあいつが何かを教えてるのは得意そうには見えないけどさ」


「それに引き換え、りゅーくんは教えるの上手だね。頭は悪……普通だけど」


「……今、僕のこと頭悪いと言おうとしただろ。否定はしないけどさ」


 というわけで、僕が藍の代わりに家庭教師(もちろん無料で)を引き受けることになったのだ。

 ……藍には内緒で。

 

「なんで藍に内緒なんだよ。バレたら殴られるだろ、多分。……僕が」


「え? 逢引みたいで楽しいでしょ」


「君は本当に困ったちゃんだね!」


 そして藍の失踪事件(?)から一週間近く経った。

 今日は暇を持て余していたのでツッキーにアポを取って、ツッキーの家に行くことになった。

 勿論、ツッキーの部屋の掃除である。



   ◆



「またゴミ屋敷みたいに……」


「えー、そんなに汚くないよー」


「視線を下げても畳が見えない部屋の何処が汚くないんだ!?」


 再び部屋を見ると完全にゴミの山が連なっている。

 この前片付けたのは確か一ヶ月前も経っていない気がするよ。


「……なあ。もしかして態と散らかしたってことはないよな」


「…………」


「なんだその意味深な沈黙は」


 というわけでゴミ袋を片手に掃除を始めたのだった。


「これは要らない。これも要らない。あれも要らない。二つも要らない」


 僕は問答無用でゴミ袋にゴミツッキーのコレクションを入れまくる。

 その容赦のない行為にツッキーは悲鳴をあげる。


「ああ! それは! まだ三回しか観てないのに!」


「三回も観てるだろうが。というか十八禁のエロビデオなんか見るなよ、華の女子高生」


「女子校生でもえっちぃビデオを観たいんだよ」


 口を尖らせるツッキー。

 ……おい、誤植があるぞ。


「というか、よくこんなにエロ本やらDVDとか買う金があるね。どっかでバイトしてる?」


「んにゃ? 別にしてないよ。お祖母ちゃんとかやお母さんたちの遺産から」


「罰当たりだ!」


 遺産をなんてものに使いやがるんだこの変態狐!

 ……ん? ツッキーが狐ってことは、もしかしてツッキーの親も妖怪の狐なんだろうか。

 ちょっと訊いてみよう。


「ねえツッキー」


「うん? 何? 私のおっぱい揉みたい? しょーがないなー。龍ちゃんがそこまで言うならおっぱいだけとは言わず、どこを揉んだって構わないよ!」


「僕の話を聞かないで話を進めないで!」


「冗談だよ冗談♪ ……でも揉みたかったらいつでも揉んでいいんだよ?」


「ツッキーに聞きたいことがあるんだけど」


 スルーされたことに眉を顰めたのは一瞬だけで、それからは何故か嬉しそうだった。


(放置プレイも悪くないねー)


 とか思ってるんだろうなー。

 そう思い、僕はため息を吐いた。


「で、聞きたいことっていうのは…………また尻尾をモフらせてほしいんだ」


「えっ!」


 僕の突拍子もない台詞にツッキーは驚いた。

 あ、間違えた。パタパタ動く尻尾を見てたら欲望に忠実になってしまった。危ない危ない。


「ツッキーの両親について聞きたいんだ。この家は――」


「この家は祖母の家だよ。まあ、龍ちゃんは知ってると思うけど今は私だけしかいないけどね。…………皆死んじゃったから」


「…………」


 ツッキーの表情は今まで以上に暗く、辛そうだった。

 エロ本をぴらぴら捲りながらなのが残念なんだが。


「そっか。話振っといて悪いけど、やっぱり訊くのやめるよ」


「うん。ありがとね。私もあまり話したくなかったから。その代わりに私の尻尾モフってもいいからね」


「マジでっ!?」


 いや待て! 落ち着くんだ僕!

 ツッキーの誘惑に負けるな!


「……掃除後にお願いします」


「うん♪」


 結局、誘惑に負けてしまった。

 自分の意志の弱さは考えものだな、と落胆した。



   ◆



「またつまらぬものを捨ててしまった」


「つまらなくないよ~。うう、私のコレクションが……」


 部屋の隅には大量のゴミ袋の山が積み上がっていた。

 なんで短時間でこんなに物が増えるんだろうか。

 もうちょっと日本の経済を安定させる為に色々しろよ。

 さて、それじゃあモフモフしようかなー、と思った矢先にインターホンが鳴った。

 むう、誰だ。僕の幸せを邪魔するものは。


「はいはーい。どちら様ですか~」


 とツッキーが玄関へと駆けていく。

 僕は服に付いた埃を払ってると玄関の方からツッキーともうひとりの女の子の声が聞こえてきた。


「あ、アリスちゃん。いらっしゃ~い!」


「おじゃまします。あの、こちらに龍也さまが来ていませんか? ここにいるはずなのですが……」


 その声はアリスのものだった。

 ……ん? アリス!?


「な、何でアリスが此処にいるんだ!?」


 ツッキーと一緒に部屋に入るアリスを見て驚きの声を上げた。


「実はですね。先程夕食の買い出しに行って来たのですが、帰り道にこの家から龍也さまのニオイがしたので訪ねて来たのです」


 よく見ればアリスの両手にはスーパーの袋が握られている。

 なるほど。


「なるほど。アリスちゃんは匂いフェチなんだね!」


「勝手な想像はやめろ!」


「『ふぇち』ってなんですか?」


「それはね~」


「知らなくていい! そのままの君でいて!」


 まったく、ツッキーは僕の(・・)アリスになんてもの吹き込もうとしてるんだ。


「ぼ、僕の……!?」


「いいなあ! 龍ちゃんに『僕の』って言ってもらいたいな!」


 まさかさっきの心の声が口に出てた!?


「ち、違うんだ! これは、その……」


「いいないいな! 龍ちゃあ~ん。私も『僕のツッキー』って言って欲しいなあ~!」


「言わないよ! 言って欲しかったらアリスみたいにしろ!」


「わかった! 主従プレイだね!」


「違う! 変な捉え方すんな!」


「それじゃあ、従者じゃなくて奴隷!? 大丈夫だよ! 私はいつでも龍ちゃんの肉便」


「シャラアアアアアアアプッ!」


 相変わらずの漫才を生で見たアリスはクスッと笑った。


「お二人は仲がとても良いんですね。羨ましいです」


「ムフフ。そりゃあ龍ちゃんとは未来の夫婦だしね!」


「わふっ!? ふ、ふふふふ夫婦ですか!?」


「アリス、鵜呑みにするな!」


 おそらく僕は試されてるな。

 いつまでツッコミを入れられるか、試されるんだろう。

 なぜ試されてるんだろう。


「なんならアリスちゃんも一緒に誘惑する? 私とアリスちゃんのコンビなら流石の龍ちゃんもイチコロだと思うの! ささ、まずは上着と下着をこちらにお預かりします!」


「あ、えっと……それにしても広い家ですね~」


 態とらしい棒読みだが、流石アリスだ。僕が知る中では唯一の常識人だ。


「ふ、それは未来龍ちゃんとの間にできた沢山の子どもたちと共に〈ピ――――――〉するのに必要なんだ!」


 また話しが振り出しに戻った。

 どうしてもその話と繋ぎたいようだ。


「あれ? でも、家からツッキーさん以外の匂いがしませんが……。ご家族の方は?」


 こちらの話も振り出しに戻ってしまった。

 あまり触れたくなくなった事なのだが、アリスはいなかったので知らなかったのは仕方ないか。


「あんまり話したくないんだけど、実はかくかくしかじかで……」


 ツッキーが事情を簡単に省略して言うとそれを聞いたアリスは青褪める。

 ぴこぴこ動いていた耳と尻尾はしゅん、と垂れた。


「ご、ごめんなさい! そのような事情だと露知らず……!」


「いやいや。別に気にすることないよ~」


 頭を垂れるアリスにあっけらかんとツッキーは笑った。

 

「家族といえば、アリスちゃんは龍ちゃんの家で同棲中なんだよね」


「言い方!」


「居候より同棲って言った方が素敵でしょ? ……で、アリスちゃん、家族は?」


「わふ?」


「あ、今の首を傾げる仕草、可愛いね。……じゃなくてー!」


 ツッキーが突然叫んだ。

 何一人漫才しているんだろう。

 確かにアリスの可愛さは百人中百人が太鼓判を押すぐらいだろうが。

 ……ところで、ツッキーは一体何を尋ねるつもりだったのだろう。


「アリスちゃんの家族は今、何処で何してるのかな〜って」


「私の、家族……?」


 それを聞いたアリスは明らかに動揺していた。

 苦悶に満ちた顔で、明らかに様子がおかしい。


「つ、ツッキー!!」


「え? あれ? 私、変な事聞いちゃった!?」


 ツッキーも動揺していた。

 アリスは、何か思い出そうとしているかわからなかった。

 ただアリスは今、記憶喪失で――。


「痛っ」


 次の瞬間、アリスは顔を歪めて右手を頭に添えた。


「あ、アリス? どうしたのっ?」


「頭が、割れるように……うう」


 アリスの口から苦痛の呻き声が漏れた。

 遂には、アリスは両手で頭を抱える様にして蹲った。


「うううううう……」


「取り敢えず病院……は駄目か。じゃあ、母さんに連絡を……!」


 携帯を片手にワタワタと慌てる僕をアリスは制止させる。


「だ、大丈夫です、から。気にしないで」


「そんなの……っ!」


「ご迷惑をお掛けしました。お先に失礼します」


 立ち上がったアリスは、無理に笑って頭を下げた。

 そのまま買い物袋を持って駆け出した。


「あ、ちょっと!」


 僕の制止の声を聞かずにツッキー宅から出て行った。

 残ったのは僕とツッキーと重い空気だけ。


「はあ……、どうしたもんか……」


「りゅ、龍ちゃん、その、ごめんね。私……」


「いや、ツッキーの所為じゃないよ。気にすんな」


 ツッキーは何時もシリアス空気をぶち壊すのに、こういう時にはしおらしくなるんだよな。憎めない奴だ。

 しかし、どうしたものか。


「と、取り敢えず、龍ちゃんは帰った方がいいよ! 龍ちゃんが色々言ってあげればアリスちゃんも元気だすよ」


「……そうだね。じゃあ、僕も御暇するよ」


「あ、待って龍ちゃん!」


 ツッキーが何か紙袋に詰め込みだした。

 詰め込んで少し重くなった紙袋を僕に手渡す。


「これ、アリスちゃんに渡して。さっきはごめんってお詫び」


「ツッキー……」


 ツッキー、お前ってやつは……。

 僕は紙袋の中を覗いた。

 一番最初に視界に入ったのは『ノロケ☆さ〜きゅれ〜しょん!』……エロゲだった。


「それで元気になって欲しいんだ!」


 僕はそっと紙袋を返却した。

 ツッキー、お前ってやつは……。



   ◆



 そして急いで帰宅。

 家に入る前にポストに入ってた新聞をついでに取り出す。

 すると、一通の真っ白な封筒も入っていた。


「なんだこれ? 僕宛?」


 封筒には『天白龍也様』と書かれており、その下には見知らぬ文字が書かれていた。

 おそろくこの世界の文字ではない。魔法界か魔界かその他の異世界かわからないが、これは僕宛のようだ。

 アリスの件もあるがこちらも気になる。

 真っ白い封筒を開けて中から一通の折りたたまれた手紙を取り出す。

 恐る恐る手紙を開けて見ると――――、


「あれ? 何も書いてない?」


 手紙は白紙だった。

 裏返しても何も書かれていない。

 目を細めて透かして見ても何も書かれていない。


「何じゃこりゃ?」


 すると唐突に手紙が発光し始めた。


「うおっ。眩しっ」


 視界は全て光に覆われた。

さて主人公はどうなったのでしょう。


  〜おまけ〜


 ツッキーに龍也の魅力を訊いてみた。


ツッキー「龍ちゃん! 龍ちゃん! 龍ちゃんんんんん!! ああっ、ああんっ! あ、あっー! 龍ちゃん可愛いよ龍ちゃん! 龍ちゃんの事考えただけで濡れちゃうよお! ああああああああぁぁぁああぁん! くんかくんかしたいなあ! くんかくんか! ぶひいいいいぃぃぃぃ! いい匂いだよ龍ちゃんのおぱんちゅ! イヤぁぁ! ああっ、そんな目で見ないで! 凄く興奮しちゃう! はあっはあっ! イイ!  龍ちゃん凄くイイよぉ!  龍ちゃん可愛すぎだよぉ!  きゃわわわわわわ!! もっとくんかくんかしたいよおおぉぉぁぁぁああああああ! くんかくんか! スーハースーハー! ああぁっ! むはぁっ! もっとモフモフして! ふあああぁああぁ!! もっとモフモフしてえ! 性感帯の付け根辺りをもっと触ってえ! にゃあああああん!! もっと龍ちゃんをペロペロしたいお! ペロペロペロペロペロペロ!! はあっはあっ、龍ちゃんの子ども欲しい! ああぁっああっああぁん龍ちゃああぁっああぁああぁあああん! 大好きだよおおおおおお!! 龍ちゃぁぁあああぁあぁぁあああぁあぁぁあああぁあぁぁあああぁん!!」


藍「ウザイ。そしてキモイ」


舞「妄想でここまでする人、始めて見ました……」


橘「結局、天白くんの魅力は伝わってないし。興奮し過ぎで途中から何言ってるか意味不明だし」

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