表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白き竜の魔法  作者: 鬼狐
1章 《素直な気持ち》
16/38

第15話 『巨人襲来』

二話連続更新!

なんだか短いけど、気にしないってね!


「あむっあむっ……おいひぃです……! とってもおいひぃれふ!」


「うん。呑み込んでから喋ろうね」


 あの後、まだ手につけていない弁当が鞄の中に入っていることを思い出し、ユリーシャちゃんもといユリィちゃんにあげることにした。

 流石に可哀想だった。

 アリスの弁当はとにかく美味しい。昨日舞にも分けたが彼女も絶賛していた。

 お弁当はどんどんユリィちゃんの口の中へと送られる。

 育ち盛りの男子高校生が食べる量の弁当をすごい勢いで食べていく。

 ……まさか大食いキャラなのだろうか。幼女なのに。

 猫耳と尻尾が幸せそうにぴこぴこ揺れる。お礼替わりに触ってよろしいだろうか。


「はあぅ……もうお腹いっぱいですぅ。ご馳走様でした!」


 結局全てペロリと平らげてしまった。

 そういえば僕、お昼一口も食べてないなあ。

 夕飯に期待しよう。


「ありがとうございます! とても美味しかったです!」


「それは、良かった。……って、僕が作ったわけじゃないけどね」


 お弁当を鞄に仕舞いながら微笑んだ。

 もしかしたら、ユリィちゃんのにぱーとした笑顔に口端が緩んだのかも。すっげー和みます。


(わたくし)からもお礼させていただきます」


 ペコリと頭を下げるメイドのティアラさん。


「いえ、いいですよ。気にしないでください」


「天白様のおかげで――良い写真が撮れました」


「何やってんの!?」


 ティアラさんは、手にしてあるデジタルカメラ(あるの!?)を僕に渡した。

 フォルダを調べてみるとユリィちゃんがこれでもかと言うぐらい大きな口を開けて唐揚げを食べている写真や、笑顔で美味しそうに咀嚼している写真。うわあああ。

 しかも、それ以前の写真も全てユリィちゃんが写っている。いや、ユリィちゃんしか写っていない!


「ああっ、駄目ですよ。それから先は流石の天白様でもお金を払っていただけなければ!」


「まさかの有料!?」


 デジタルカメラを返す。

 ああ、そうでした。この人はそう言う人でした。

 僕は彼女の自己紹介の時のことを思い返した。


「私、ユリーシャ様の忠実なる下僕にしてメイドにしてペットにして性奴隷なティアラ・オランジェットで御座います」


「うわー。幼女だと思ったら実は鬼畜な調教師だったんですかー、人は見かけによりませんねー」


「ち、違います違います! ティアラは確かに従者ですけど、そういうんじゃないんです!」


「ユリィちゃん……苦労してるんだなあ……」


 この人はツッキーと似てるというかもうそのものである。生き写しみたいな。


「あの、天白さん」


 ユリィちゃんが僕の服の袖をつんつんと引っ張る。なにこれ可愛い。


「何?」


「あのー、えーと……天白さんのことをこれから……その」


「僕ができることなら何でも言っていいよ」


「あの、天白さんをこれから『お兄ちゃん』って呼んでもいいですか!?」


「お、お兄ちゃん!?」


 驚いて復唱した。

 うんっ、と頷くユリィちゃん。

 ユリィちゃんの瞳は期待に満ちていた。


「あー、うん。まあ、ユリィちゃんの好きに呼んでいいよ」


「本当ですか!?」


 ユリィちゃんの顔はぱああと輝いた。

 うん、僕はツッキーと違ってロリコンじゃないけど、この顔は反則だな。


「いえ。あなたはロリコンです」


「ええっ!?」


 ちゃんと否定できないところが悔しい。

 だ、だってだってえ! 猫耳がついてるんだもん!


「……あ、そういえば。お兄ちゃん達はどうしてこんなところにいるんですか?」


 本当にそういえばだよね! 

 僕はユリィちゃんとティアラさんにここに来た理由を説明した。かくかくしかじか。

 全てを聞き終えた二人の顔はなんとも言えない表情だった。


「なんとまあ……」


 ティアラさんは若干呆れ、


「ご、ごめんなさいお兄ちゃん。そうとも知らずお弁当を……」


 ユリィちゃんは申し訳なさそうに猫耳を垂らし、


「あのー、天白さん? 今更私が言うのもなんですが、本当に探す気ありますか?」


 そしてエレアは会心の一撃を放った。


「なっ、何言ってんだよ! 探す気あるに決まってるだろ!」


「でもその割には、全然探している風には見えませんが」


 うぐっ。

 エレアの容赦のない言葉に言葉が詰まる。


「で、でも、大丈夫! 藍ならまだ大丈夫!」


「なんであなたが断言するんですか」


「あいつなら魔物が出てきても多分返り討ちにすると思うから!」


「魚住さん、そんなに強くないでしょう」


 ごめんなさい本当にごめんなさい僕が悪かったですだからこれ以上僕をいじめないでください!

 

「あの、では急いで魚住さんを探しに行きませんか? 時間を食ってしまったのは私の所為ですけど、その代わりお兄ちゃんをお手伝いします!」

 

 ユリィちゃんは腕にむんっと力を入れ、気合を見せる。


「ああ、そうだよね! それじゃあ行こうか!」


 ユリィちゃんの助け舟にすぐさま寄り付く僕にエレアとティアラさんはじとーとした目でこちらを見ていた。



   ◆



 天白龍也。男子高校生にして竜人。拳とかが武器。

 エレア・ルキーニ。ボケキャラにしてエロフ。重火器をどっかから出す。

 ユリーシャ・ロスカ・デ・レジェス。猫耳金髪少女にして姫様。にゃー。

 ティアラ・オランジェット。メイドにして変態。胸が大きい。


 なんだこのパーティは。

 RPGでも出来無いメンツである。つーか出来るわけない。

 ちなみにユリィちゃんは魔法界の姫様だった。“センター・ウッド”に住んでます。

 別に耐性の付いてきた僕はあんまり驚かなかった。エレアだってユリィちゃんが姫だってことは知っていたし。有名だし。

 そんなお姫様がなぜここにいるのか。

 その理由は本人ではなくティアラさんが話してくれた。


『ユリーシャ様の身分ではあまり外に出ることが出来ません。そんな生活に退屈を感じたユリーシャ様は脱走をしようと企みました。でー、こそこそ隠れて脱走しようしているつもりだけど丸分かりなユリーシャ様のあとをこっそりついて行って、待ち伏せして驚かせたらもう可愛いのなんの! 『うにゃにゃあ! ご、ごめんなさいごめんなさい! 悪気はなかったんですぅ!』って、ぷりちぃーなロリボイスで言われたら思わず抱きつきたくなっちゃいますよね! あ、録音しているのをお聞きになります? え? 結構ですか? ちぇー、可愛いのになあ。でー、願わくはユリーシャ様と森で二人っきりに――――え? もういいですって? ちょ、ちょっと待ってください! まだユリーシャ様の魅力について語るところがあるんですよお!? ちょ、まっ』


 というわけである。

 王族の人も大変である。

 現在に話を戻すと、このパーティの連携はこのようになる。


 ①ユリィちゃんが魔法で敵の動きを封じる。

 ②僕とティアラさんで相手に攻撃というか相手の隙を作る。

 ③その隙をエレアが重火器でドカーン。原型すら残らない。


 この方法だと魔物を的確に仕留めることが出来るのだ。

 まあ、正直僕とティアラさんの②は必要無さそうなんですが、言ったら自分が可哀想だから言わない。

 そうして先に進んでいるのだが……。


「……まったく出なくなりましたね」


 そう、途中から魔物が一匹(?)足りとも僕たちの前に姿を現さなくなった。


「それに、この森なんだか広すぎる気がします」


 エレアと二人きりだった時も結構歩いていた気がする。

 藍のニオイを頼りに進んでる今の僕たちも結構進んでいる気がするが、藍の姿を未だ発見できていない。

 エレアは『相当な方向音痴以外は簡単に脱出できるダンジョン』と言っていたが、それにしては面積が広すぎる。

 

「いえ、本当に簡単なんですよ。私何度か入ったことがありますし」


「だとすれば、何らかの原因でこの森が『迷宮』になってしまったとしか考えられませんね」


 眉をひそめて考え込む三人。

 迷宮とかよくわからない人が一人。僕だ。

 僕は天を仰いだ。

 木々の隙間から見える空はもう薄暗くなっていた。

 その空には紫色の月がポツリと見える。


「異世界だなー。月が紫色だー」


「違います! 月の色は黄色です! 人間界と同じ!」


「そうです! ウサギさんがお餅をぺったんぺったんついてるやつです!」


 ……ユリィちゃん可愛いな、それ。

 じゃなくて。


「でも、あれ紫色……」


 僕は紫色の月を指差す。


「ユリーシャ様、皆様! 構えてください! 何か来ます!!」


 ティアラさんが叫ぶと同時に空から巨人が落ちてきた(・・・・・・・・)


「ぬうあああああああっ!?」


 落ちてきた巨人は地面を抉り、着地する。

 少し前母さんが落下した時よりも凄まじい轟音だ。

 砂煙というか落ちた衝撃で生じた風に吹き飛ばされそうになる。

 

「なっ、ななななな!?」

 

 僕は巨人を見上げた。

 巨人の大きさは100メートル過ぎだ。僕がドラゴンになった大きさよりも数倍近く大きい。

 巨人の体の造りは、岩のようだった。というか岩だ。

 全身が岩で出来ており、頭部と思われる部分はない。

 唯一変わった所といえば、人間にとっては心臓がある胸部には赤い球体のようなものが見える。

 

「ん? なんだあれ?」


 その球体の中に何か人影のようなものが見えた。

 竜族の眼を凝らしてみる。

 それは女の子が倒れている様だった。

 それは自分と似てるブレザーを着た、自分が探し求めた少女――――魚住藍だった。


明日更新です!

次回、ついに藍が!?


 ~おまけ~


ツッキー「痴漢って怖いけど、やられてみたいな! 龍ちゃんに!」


龍也「おまけのネタがないからっていきなり何の話をし始めるんだ!」


ツッキー「んっ……あんっ、りゅ、龍ちゃん、だめっ、あっ……こ、こんなところで……ひゃんっ」


龍也「やめろ! 妄想するな!」


ツッキー「あ、大丈夫だよ~。もし龍ちゃんが私にしてるところを周りの人に言われたら、私が庇ってあげるからね! 『痴漢されてる』んじゃありません! 『痴漢してもらってる』んです! ってね!」


龍也「お前ってよく捕まらないよなー。存在が規制されそうなのに」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ