↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ライフは山あり谷あり  作者: 常盤今
第5章 5等級昇格試験編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/96

070

『ということは、ツトムはラックさんの情報通り魔術士でよろしいのでしょうか?』


『ええ。魔術士なのにどうして近接戦闘を行うのかはわかりませんが……』


 近接戦の修練をしていなかったら、最初のジェネラルやキングとは戦えなかっただろう。

 王都から戻る時に戦ったホブゴブリンにだってやられていたかもしれない。

 なぜ近接戦闘を行うようになったんだっけ?

 今は強者と戦うのに必要なのとソロで活動するのには必須だからだが……

 最初はMPが枯渇(こかつ)するからだったっけ……

 ああ、初めてのゴブリンとの戦闘でギリギリの命のやり取りをして、魔法スキルの上にあぐらをかいていたら負ける=殺されるということを実感したからだった。


 あっ。

 剣術スキルが1つ上がっているな。

 レベルが上がるまで随分と時間が掛かったが、ヤコールとの激しい戦いが良かったのだろうか?

 つまり剣術スキルを上げる為には、痛い思いをたくさんしないといけないという訳だ。

 はぁ……憂鬱(ゆううつ)だ。


『ヤコールパーティーも4人目から魔術士が出てきますし、魔術士対魔術士の戦いに移る訳ですが、今後の展開をどう予想しますか?』


『まず見てわかる通りツトムは近接戦闘も可能です。初級クラスの剣術でも近接戦の心得の無い魔術士には脅威ですので、魔術士対魔術士であると同時に魔術士対近接系の戦いでもある訳です。

 当初魔力には限りがあるのでツトムが魔術士2人相手に勝つのは難しいと分析しましたが、近接戦で挑めるのであればこの前提が覆(くつがえ)り挑戦者サイドにも勝機が出てきます』


 ラック氏の解説が続く。


『もちろんヤコールパーティー側の魔術士も近接戦闘系と戦うのには慣れておりますので、そう易々とツトムの接近を許すとも思えません。距離を詰めて近接戦闘に持ち込みたい挑戦者サイドと距離を置いて魔法戦を仕掛けたいヤコールパーティー側との距離感の攻防になるでしょう』


『ヤコールパーティー4人目、中央へ!』


 1人目の魔術士は女性か……

 20代後半のショートヘア。

 お山は普通ぐらいだろうか。


「はじめ!」


 そう言えば魔術士相手に戦うのは初めてか。

 どんなものか魔法攻撃を受けてみるかな。


 相手はバックステップで距離を取り、杖を掲げて何やら言葉を発し……

 ドン!


「ぐはっ」


 圧縮した何かが迫って来たのはわかったけど、モロに顔に喰らってしまった。

 2発目が来そうなところを剣を横にして防御する。

 頭がクラクラするなぁ。1発目はまともに顔で受けてしまったからなぁ。

 一応回復魔法を使っておく。


 ドン!

 2発目を防御したが、木刀だと何発か防御したら折れてしまいそうだ。

 木刀を収納にしまって身構える。


 それにしても……、妙に魔法の発動が遅くないか?

 これはウインドハンマーだよな?

 罠だろうか?


 こいつ(審判)さえいなければ、魔盾で防御して簡単に接近できるのになぁ。


 3発目を腕で防御。

 くっ。思っていた以上に手に衝撃が来る……

 構わず一気に間合いを詰める!

 相手は更にバックステップして魔法を撃って来た。


 かわせ!


 サイドステップしてなんとか躱し、再び距離を詰めようと……


 ドン! ドン! ドン!


 ここで3連発かよ。

 やはり発動の遅さは罠だったか。

 ヤバッ! 腕のガードが……


 ドン! ドン!


「ぶへっ」


 ガードが空いたところを吹き飛ばされた。

 もちろん回復魔法を使ってすぐに起き上がる。

 相手は俺が倒れたのを見て一瞬動きかけたが、距離があるので思い止まったようだ。


 魔法が放たれるタイミングはなんとなくわかるんだ。

 あとはフェイントやサイドステップを多用して懐に飛び込むしかない。

 ウインドハンマーを数発受けるとガードが空いてしまう問題は……


 これだ!


 腕を交差して構えるクロスアームブロックだ!

 頭の中に重厚なギターサウンドが流れる。

 ジリッ、ジリッと間合いを詰め……


 ドン! ドン!


 1発目は回避し2発目はブロックで受け止め、

 細かくステップしながらウインドハンマーを回避していく。


 ここだ!


 相手がバックステップしようとしたところにスライディングを仕掛ける。

 ウインドハンマーをスライディングの低い体勢で躱しつつ距離を詰める。

 足を削ることはせずに相手の目の前で立ち、リバーブローを叩き込んだ!


「げふっ!」


 さらにガゼルパンチの代わりとして風槌アッパーを放つが、その前に相手は倒れてしまい不発に終わった。


「それまで! 勝負あり!!」


 フィニッシュまでは持っていけなかったか。

 回復魔法を使い立ち上がらせる。

 夢中だったから気にしてなかったが、女性のお腹に思いっきり拳を叩き込んじゃったな。

 まぁこの四角いジャングルに自ら上がって来たんだ。

 女だから手加減してくれとはよもや言うまい。



『4人抜き!! 魔術士ツトム怒涛(どとう)の4人抜きだぁぁ!! ラックさんの予想通り距離の攻防が終始展開された形ですが?』


『ツトムの身体能力の高さが生きましたね。最初は苦戦していましたが、ガードを強固に固め一気に距離を詰めました。

 あれだけ高速で動かれたら魔法を連続で当て続けるのは難しいでしょう。もっともまさか拳を叩き込むとは思いませんでしたが……』


 風槌アッパーはリバーブローと同時ぐらいで丁度いいな。


 ……あ!!

 そうだよ! 風槌アッパーはもう使ってるんだからノーマルな風槌も使えるじゃん!!

 何もこんなに苦労して距離詰めなくても風槌連打で勝ててただろ……

 一歩をリスペクトし過ぎたな。

 まぁそれもこれも全てコイツ(審判)が悪いのだが。


 はぁぁぁぁ。

 なんか一気に気が抜けたな。

 3戦目4戦目が割と手こずった為の疲労感もあるが……

 回復魔法ではダメージは癒せても体力や疲労・血液は回復しない。

 次の試合はすんなりと勝とう。


『さぁ、次の試合が実質的な最終戦ということになりますが、どちらが優勢と考えますか?』


『難しいですね。4連勝と勢いに乗る挑戦者が優勢なようでもあり、4試合見て対策の立てられるヤコール側に分があるようにも思えます。挑戦者側で言えば直近2試合が激戦だっただけに消耗具合も懸念材料です。動きが落ちれば魔法で捉え易くなりますから』


『解説のラックさんも予測不能な大一番!! このまま魔術士ツトムが1人で5等級パーティー相手に勝ち切るのか! それともヤコールパーティーが5等級トップクラスの意地を見せるのか!』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。