プロローグ1
※こちらのweb小説『異世界ライフは山あり谷あり』は、2024年1月に運営非公開措置になったものをタイトル・内容を変えずに、様々な修正を加えて再投稿しています。
※軽い性的表現がありますので、苦手な方はご注意ください。
※感想欄のコメント・ご質問には基本返信しませんので御了承ください。
「今回はラッキーだったな」
クレーム対応に取引先に向かった時は憂鬱で仕方なかったが、結局は先方の勘違いで逆に謝罪され、社員の出張土産らしい菓子の詰め合わせを3箱ほど持たされてしまった。
車を走らせ会社へと帰る男の名前は川端努、30歳。中小企業に勤める現在彼女なしのオタク趣味の独身者である。学生時代と社会人で1人ずつ女性と付き合ったのだが、長続きせずに終わり現在に至る。
明日からの3連休はゲーム漬けになるぞー!そんな決意を固めた時だった。意識が後方に引っ張られる感じになり体が動かなくなる。
ヤバイ!運転中だぞ!
懸命に足を動かしてブレーキペダルを踏もうとするが、1ミリたりとも足は動かず意識が途絶えた。
…
……
…………
「うぅん……ハッ?!」
ガチャガチャ……
意識が戻り慌ててブレーキペダルを踏むが反応せず、そもそも車自体が停まってる状態だった。
あたりを見回すが、薄ぼんやりとした白い空間としかわからない。
ドアを開け、モクモクと白い煙の漂う地面?に恐る恐る足を踏み入れると、普通に立つことができた。
「川端努よ……」
「え?」
キョロキョロと辺りを見回すと、上空にピカピカと発光する球が浮かんでいた。
「我はそちの認識で言うところの『神』、もしくは『管理人』のような存在である」
神様だって!?
「事故で死亡した其の方には、異世界に行くかこのまま輪廻の輪に加わるかを選ぶことができる」
「死んだ!?」
死んだなんて覚えねーぞ、だがこの状況は……
「即死だったので覚えてないのは当然だな。許容量を超えた傷を負ったせいで記憶が欠けたのだろう」
納得なんてできないが、納得するしかない状況かー。
「……いくつか質問をしてもよろしいですか?」
神なんてマユツバだが、念のために丁寧な口調に切り替える。
「構わんぞ」
「死んだ人全員に、異世界に行くかどうかの選択権があるのでしょうか?」
「普通の人間にはないな」
「なぜ私にはあるのでしょう?」
「まず無信仰者であること。
幼き者と寿命近くで死亡してないこと。
この世に未練のない者。
即死した者。
強き魂を持つ者。
悪しき者でないこと。
条件としては大雑把に以上であるな」
「神様なのに無信仰者であることが条件なのですか?」
「我は厳密には神ではないので、信仰対象に僅かでも信心を捧げてしまうと、それが架空の存在であってもその者に介入することができなくなるのだ」
案外不便なのだな……
しかし無信仰者なんて現代社会ではそこそこいそうな感じだが?
「先の条件の一部はあくまで魂のことであり、近い前世に信仰者がいてもダメだぞ」
「そうなると一気に対象者は激減しますね。この『強き魂を持つ者』というのは自分には無縁のような?」
なにせ生まれてこの方、殴り合いのケンカなんてしたことないし。
「それも前世が含まれる事項だな。高潔な支配者階級だったり、勇敢な戦闘者であった者は強き魂になる傾向が強いようだ」
おかげで異世界に行けるのなら前世の自分に感謝だな!
っと、これは聞いておかないと。
「異世界とはどのような世界なのでしょう?」
「お主の好きな魔物が跋扈する剣と魔法の世界だな。スキルもあるぞい」
見透かされてるみたいだ……、SF世界かもしれないだろう!!
「基本的に進んだ文明には行けないぞ。
異世界行きは、遅れた文明の世界だけに限定される」
なるほど、異世界モノの大半が中世ファンタジーな訳だ。リアルと創作物が見事にリンクしてる、のか?
「自分が行く予定の世界は、他に異世界から来た人はいますか?」
「そちが初めての異世界人になるな。他にも世界は多数あるし、条件をクリアする人間も極まれなことから、仮に同じ世界に送るとしてもずっと後の時代となるだろう」
同じ境遇の仲間がいないのは寂しいと思うべきなのだろうか?
次は遂にこの質問を……
「異世界行きを選んだ場合は、何かスキルみたいなものは頂けるのでしょうか?」
ここ大事! すごく大事!!
「魂の強さに応じた能力やスキルを与えよう」
キター! チート来たっ!? 無双キタコレ!!
「そちが想像してるのとは大分違うが……」
いいんです。今だけでも夢見させて……
「最後に神様(仮)にとって、私を異世界に送る目的またはメリットはなんでしょうか?」
「『強き魂を持つ者』はその世界に良き影響を及ぼすのだ。特に近代化前の世界では、個人が及ぼす影響が更に大きくなるのでな」
「英雄的な行動や生き方を求められてる、ということでしょうか?」
ハードル高いな! オイ!
「そうではない。そちがあちらでどう生きようと自由だ。
行った直後に死んだとしても何も問題はない。
そちの魂が異界の輪廻の輪に組み込まれることが我にとっては重要なのでな」
オレ個人の生き方に制約がないなら別に問題ないか。
「わかりました。異世界に行こうと思います!」
「うむ。ではまず最初にそちの所持品を全て没収する。あちらの世界に持ち込むと、問題があるものばかりなのでな」
「ハイ……」
車とスーツのポケットに入れてるスマホと財布、腕時計が一瞬で消えた!
仕方ないな。スマホもタブレットも充電できなきゃ持って行っても意味ないし、車もガソリンが切れればただの鉄の箱でしかない。
もっとも車は社用車でオレの物ではないのだが……
「さて、これからスキルを授けるのだが、何か希望はあるか?」
極めて重要な時間が来たな。
ここでの選択が、今後の異世界ライフに極めて強く影響するのは間違いない!
まずは定番の……
「はい。あちらの世界の言葉をしゃべれるようになりたいです」
コミュニケーションは大事だからね!
「うむ。他にはあるか?」
異世界行きを聞いてから、心をざわつかせてる問題に着手してみよう。
「あの、若返ることは可能でしょうか?」
「可能じゃぞ。こちらの年齢の半分の15歳でどうだ?」
「是非それでお願いします!」
やった!
「そちの魂の容量的には次が最後だな」
もう!? 欲しいスキルがまだまだたくさんあるのに(涙)
異世界スキル三種の神器『アイテムボックス・鑑定・転移』も無理かー。
「ひとつ助言するなら、先に申した通り魔物の跋扈する世界なので、戦闘系のスキルは必須じゃぞ」
「う~~ん」
重力魔法とか時空魔法か?
もっとチートな……
「先に言っておくが、人の手に余る力は無理じゃぞ」
「うっ!?」
「そもそもそちの魂に入らんしな」
ならばひとつで多方面をカバーできるのがいいな。
「せっかくの異世界ですので、魔法全般が使えるスキルが欲しいです」
「よかろう。『魔法の才能』を授けよう。なかなか優秀なスキルじゃぞ」
「ありがとうございます」
「では向こうに着いたらまず『ステータス』と念じてみるがいい」
「ハイ」
もう行く感じなのだろうか。
展開早いな!
「良き二度目の人生を」
いきなり落下する感覚が襲ってきた!
「色々とありがとうございましたぁ~」
体や意識全体が落下していく中、なんとかお礼を言ったところで意識が途絶えた。
…
……
…………
「っ!?」
気が付くと草原の上に立っていた。
前方に森があり、左右にも遠くに森が見えるが、そこまでは一面の草原風景である。
「すごいな、地球にはない風景……だと思う、おそらく」
少なくとも日本にない風景なのは間違いない。
「っと、言われた通りに『ステータス』と念じてみ…」
顔の前に液晶画面が表示された。
川端努 男性
人種 15歳
LV1
HP 10/10
MP 30/30
力 5
早さ 5
器用 5
魔力 10
LP 0P
スキル
異世界言語・魔法の才能
ちゃんと15歳になってるしスキルもあるな!
ただ……
ステータス低!!
この世界の人がどのぐらいの数値かはわからんが、神様(仮)の言った通りチート無双は無理と考えるべきだな!憧れがなかったと言えば嘘になるが……
魔力とMPが高いのは魔法の才能のおかげか?
LPとはなんだろう?
「グウッ!」
なんだ?!




