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プロローグ

ここは、とある異世界。恐らく皆様がいるであろう地球ではない場所。別の宇宙の世界かもしれないし、遠く離れた星の話かもしれない。とにかく地球ではないところ。

この世界には、剣と魔法……それから、砲があった。

これから始まるは、その砲を操る者を束ねる者の話である―――



デトロイト1141年、シュラーガ3641年、1月7日、サン・アグリアス帝国、某所


一人の男が、薄暗い廊下を歩いていた。恰好からして、彼は軍人だろう。胸の階級章には、3つの金の棒と、国章である鳥の羽が1つ、紅葉の葉が1つ。つまり、彼の階級は中将、紅葉ということは海軍中将である。

通りすがる部下の敬礼に返答したのち、彼はある部屋に入った。部屋の前はとても薄暗く、一見しただけではそこにドアがあるとは誰も分からないだろう。

ガチャリ。

中将はドアを開け、その部屋へ滑り込むようにして入ると、ドアに鍵をかけた。

その部屋は、外の景色からは想像できないほどの暖かな明かりに包まれ、同時に外の寒さをあっという間に忘れさせるほどの暖かさにも包まれていた。中将の執務室であった。

「ふう…」

中将はため息をつきながら、革椅子に座った。椅子の前の立派な木製の机にはプレートが置かれており、そこには『海軍中将 ベンソン・S・アンハルト』と金字が刻まれていた。

しかし、そんな輝くプレートとは裏腹に、ベンソンの表情は沈んでいた。

理由は、彼の前に置かれた5枚の書類だった。

それは、海軍魔導航空隊によってもたらされた、隣国・ルドルフォウス共和国の内情に関する報告書であった。隣国とは言え、海の向こうにあったが。ともかく、その報告書によると、共和国の内部では国民の政府への不満が高まっており、いつ反乱が起こってもおかしくはないということであった。帝国政府内では、近いうちに起こるであろう反乱に乗じ、共和国を乗っ取ってしまおうという話が持ち上がっており、それに関する意見が真っ二つに割れていた。賛成派は海軍とほとんどの政治家、反対派は陸軍だ。陸軍が言うことには、「今の我が国には隣国を攻めるほどの力はない」ということであった。確かに、国内では燃料不足の兆しが見えており、今艦隊やら戦車やらを動員したら、国内で燃料不足が起こるのは確実だった。しかし、共和国は世界有数の燃料輸出国。乗っ取りに成功したら、見返りは大きいだろう。それに、共和国の主人種である『白髪人』は、ほかの人種、特に獣人種を奴隷のごとく使っているという噂もあった。種族がどうであれ、人型で、意思の疎通ができる生物を奴隷として扱ってはならないと、数十年前のガドマス条約でも定められている。

もし、この噂を真実のように帝国民に信じさせることができたら、世論は侵攻に賛成するだろう。それに、もし噂が本当で、奴隷の人々を開放したら、周辺国の目には「悪の国家から奴隷を開放した人道的な国家」と映るだろう。万が一侵攻に失敗しても、共和国の立場は相当悪くなる。そこへ反乱が起これば、共和国の政権は間違いなく崩壊するだろう。共和国民を上手く味方につければ、占領も容易…と、ベンソンは考えていた。

やがてベンソンは書類とのにらめっこを諦め、隣室へと向かった。壁の時計は、23時ちょうどを示していた。


ベンソンはベッドを簡単に整えると布団の中へと潜り込んだ。魔法天気予測では、今夜はマイナス2度まで冷え込むとのことだった。

(どうりで寒いわけだ…)


数分後、ようやく彼が眠りにつこうとした瞬間、枕元の緊急魔法具がけたたましい音を上げた。

「畜生、あと少しで…」

気怠そうに起き上がった中将は、魔法具の警報を切り、耳元へと持って行った。

「こちらベンソン海軍中将!何かあったのか!」

ベンソンは、おそらく向こうの魔法具の周囲にいるであろう部下へ呼びかけた。

『長官、大変です!共和国…共和国で反乱が!!』

「なっ、なんだと!?」

『長官、攻めるなら今です!すぐに出撃しましょう!』

「しかし、陸軍が…」

『そんなことを言っている場合ではありませんよ!この際、共和国の港を占領してしまいましょう!既成事実を作ってしまえば、陸軍も動かざるを得ないはずです!』

「…分かった。少し時間をくれ。陸軍の知り合いに掛け合って、今からでも動いてもらおう」

『…!ありがとうございます!では、3番ドックでお待ちしております!』

「ああ」


魔法具を切ると、ベンソンは暖かい布団を名残惜しそうに見ながら、手早く支度を整え、陸軍の知り合い・ユンカーの元へと向かった。



同日 海軍3番ドック

「てめーら、よく聞け!たった今長官が陸軍の協力を取り付けることになった!ついでに小銃と戦車も積み込む準備をしておけ!」

「「「了解っ!」」」


――彼らの前にそびえ立っていたのは、アンハルト艦隊の旗艦、戦艦『ヴェリオン・ファイド』であった。『ヴェリオン・ファイド』の主砲たる42.5㎝三連装砲5基が、夜空に浮かぶ満月の光を受けて、鈍く輝いていた―――


  続く……………

初めまして、金賀治武峯と申します。記念すべき初めての小説は軍艦系を書いてみました。自分が読んだ空想戦記の情報とwikiの情報を基に書いてますので、いくらか間違いがあるかもしれませんから、その時は遠慮なく教えてください。今回は異世界特有のチート能力やら魔法やらが出てこなかったので、次回以降に出していこうと思います。

最後に、是非とも感想を教えて下さい!何しろ、初めての小説執筆なものですから!

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