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秤vs裏梅

作者: はる

宿儺は本気を出していない。薄々感じていたことだが『熱』のこもった裏梅の言葉を聞いて秤はそれが嘘偽りないことを確信する。

違和感はあった。

本気を出した五条悟に魔虎羅を失いながらも勝利した両面宿儺だ。

受肉体とはいえ完全態になったにも関わらず虎杖たちに喰らいつかれている状況がおかしい。

楽観的な考えだが虎杖たちの攻撃が思ったよりも効いている、あるいは宿儺が無意識に遊んでいる。

遠目で見る限り宿儺は御厨子を使用している。日車が没収するはずだったにも関わらず。

何かイレギュラーがあった。

だがそれは問題ではない。問題は宿儺が伏魔御厨子を展開できることだ。

宿儺が領域展開をできるのであれば一番の領域対策は秤金次である。

裏梅は秤金次の反転術式の精度と出力が宿儺を上回っていることを感じていた。

しかしそれ以外にももう一つ、宿儺に上回っているとまでは言えないが互角に渡り合えるものが秤金次にはあった。

それは領域の押し合いである。

領域の押し合いの強さに関しては秤金次の領域は河童の領域に次ぐ。

完封とまではいかずとも必中必殺は確実に消せる、能力上昇(バフ)もある程度は打ち消せる自負が秤金次にはあった。

宿儺の御厨子が見えてから裏梅を倒した後に宿儺戦に混じって領域の押し合いをするはずだった。

しかし裏梅が秤金次の想定よりもタフ、というより相性が悪かった。

呪力による肉体強化が主な戦術であり、飛び道具を持たない秤金次にとって遠距離から氷漬けにしてくる裏梅は厄介極まりないのである。

だからといって裏梅を放置して宿儺の方に向かえば裏梅は虎杖たちを氷漬けにして足を奪うだろう。

放置などできるはずもなかった。

虎杖たちに加勢するには裏梅を倒すしかなかった。

そして裏梅を倒すには、裏梅の氷を溶かし切るには今よりももっと熱い熱で溶かすしかなかった。

「領域展開」

坐殺博徒

秤金次が掌印を結び領域を展開する。

瞬間

裏梅の脳内に溢れ出したゴミのような情報


eフィーバーONE PIECE

図柄一「ナミ」

図柄二「フランキー」

図柄三「サンジ」

図柄四「ウソップ」

図柄五「ゾロ」

図柄六「ブルック」

図柄七「ルフィ」

図柄八「チョッパー」

図柄九「ロビン」

大当たり確率

一/三一九(通常時)

一/九九(確変時)

ヘソ割合

10R確変ST一六三回転…3%

3R確変ST一六三回転…56%

3R通常時短一〇〇回…約41%

ST突入率約70%

ST継続率約80%

電チュー割合

10R確変ST一六三回転…100%



裏梅は即座に領域のルールを理解し、また自身の依代である氷見汐梨の持つ知識を総動員し思考を巡らせる。

運命の悪戯か、氷見汐梨はパチンカスであった。

親元を離れて上京し大学に進学したが、彼氏の影響で賭け事を覚えてしまい、彼氏と別れた後も大学をサボって賭場に足を運んでいた。

高校の頃にアルバイトで稼いだ貯金と奨学金はとうに尽きており、街金にお金を借りた話は鳥取に住む両親の耳にも入っていたため連絡がつかなくなった際は借金で首が回らなくなったのだと呆れられていた。

そんな生活の中で身についた知識が氷見汐梨の死後、裏梅を生かしていた。

秤金次の想定外のもう一つ。それは裏梅のパチンコについての知識の有無であった。

術式の開示は術式の性能を大幅に引き上げるが、あらかじめ知っていた場合においてはその限りではない。

パチンカスであった氷見汐梨は当然『私鉄純愛列車』を打ったことがあり、秤金次の術式の開示の影響をほとんど受けなかったため秤の呪力に耐性ができていた。

しかし今回の領域は裏梅の知るものではなかった。

おそらく受肉した後に導入したものだろう。

だがスペックには見覚えがある。

それは一時期はパチンコの稼働貢献ランキングに数十週連続一位であったエヴァ15にそっくりであった。

秤の呪力に耐性を得るにはそれだけで十分であった。

変動が始まり秤金次がリーチをかけ、そして外れるを数分の間繰り返された。

この数分で裏梅はいくつかのルールをおさらいした。

まずは『私鉄純愛列車』と違い、リーチがかかって発展した時に演出が流れなくなっている。

具体的にいうと『交通系ICカードリーチ』や『華金終電リーチ』の映像が流れないのだ。

そしてここからが重要だが演出が流れない代わりに秤と自身が主人公と敵になり戦うことが演出になった。

先ほどあった演出では秤が麦わら帽子を被ったルフィになり私がロブ・ルッチというキャラクターになり戦闘を繰り広げた。

これだけなら良かったのだが私がキャラになっている間、氷凝呪法が使えないのだ。

代わりにキャラになっている間はそのキャラの能力を使うことができるし使い方もわかるのだが長年の間使用していた氷凝呪法と比べた場合使い切れてるとは言えない。

そして最後に一つ。

『私鉄純愛列車』のときは擬似連の恩恵がダメージの無効化だったのに対し『ONE PIECE』では擬似連が進むごとに秤の能力が向上するらしい。

擬似2(セカンド)では体から湯気が出て赤くなっており、擬似3(サード)では体が風船のように膨らんだ。

この演出は自動で進むものではなく自分自身が戦わなければならず、手を抜いたら当たってしまうため確率は意味をなさなくなっていた。

ここまでで自分の不利な状況をいくつも確認したが自分に有利なこともないわけではなかった。

特に擬似連のダメージ無効が無くなったことが大きく、演出が発展していない時の秤の動きが鈍くなっていた。

このままいけば勝つことができるが、この男がそう簡単に進めさせてくれないことは裏梅も理解していた。

演出が発展し擬似2(セカンド)から擬似3(サード)そして擬似4(フォース)になり裏梅の体が変形する。

裏梅の体はカイドウという人と龍が融合したような大男だった。

そして秤は歌舞伎役者を思わせるような姿に変わっていた。

このままではまずいと裏梅は直感する。

パチンコの常識として擬似4は大当たり確定であり、多くの場合で確率変動に直行する。

このまま演出が始まれば私は大ダメージを食らった上で確変が始まってしまう。

さらに厄介なことにSTタイプは『私鉄純愛列車』のような確変ループタイプと違いラウンド中とラッシュ中、すなわち『ONE PIECE』の主題歌である『WE ARE!』が流れる4分1秒間と確変の一六三回転中に無敵になり、期待値的に20分は継続する。

常識や確率を超えてでもここで秤を倒さなければならない。

秤金次は地面を蹴って飛び『ゴムゴムの覇猿王銃(オーバーコングガン)』を発動する。

対して裏梅は『輪雷上戸 引奈落』の構えを取り、溜めて溜めてそれを解き放った。


両者の技がぶつかるまでの瞬き一つほどの刹那、白スーツの男が秤の体を抑え、技を中断させた。


『輪雷上戸 引奈落』が秤金次に直撃し、白目を剥いた。

白目を剥いた秤はまるで口を縛り損なった風船のように体から空気が抜けて飛んでいった。

「勝った…のか?」

目の前で起きたことが理解できずに裏梅は呆然と立ち尽くす。

視界の端に見える図柄は『767』であり、それはこれまでと同様に外れを示していた。



瞬間

裏梅の脳内に溢れ出したゴミのような情報

大当たり確率1/47(LT発動時)

ヘソ割合

20R確変LT一六三回転…約0.1%

LT継続率約97%

電チュー割合

LT15R一六三回転…100%


術式開示の本質、それは相手に自分の術式の全てを理解させたと思わせること。

裏梅の依代である氷見汐梨はLTラッキートリガーの存在を知らない。

故に裏梅はこれから知ることになる。

秤金次の本領を。


「擬似5(フィフス)

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