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92:疑念

申し訳ありません、体調崩して全然書けませんでした。


 大失敗だった。

 エルフにばかり気を取られて、浮遊岩の調査に必要な準備を全くと言っていいほど忘れていた。

 エルフの里からの帰り道に起こった魔獣からの襲撃と言い、異様な事態に襲われた原因が浮遊岩にあるのかすら調べることもできなかったし、その浮遊岩もサンプルしか持ち帰ることができなかった。

 とにかく、考えられる限りの準備をしっかり整えなければ。

 ということで、まず最初にノエルさんのもとを訪れることにした。

 ガイゼルヘルグのことを思い出させてしまうようなことはしたくなかったけれど、エルフの集落のこともあるので話を聞かなければならない。

 あぁ、気が重い・・・。

 「あら、いらっしゃい。」

 いつものようににこやかに出迎えてくれたノエルさん・・・言い出しにくくなるじゃあないか。

 「じつは・・・」

 浮遊岩のこと、ナレハテらしき者のことを話すと、やっぱりというか、ノエルさんの表情は硬くなってしまった。

 ノエルさんはカイゼルヘルグの娘、長く国はずれの塔に幽閉されていたが、天空へと浮かび上がるときの地崩れで塔に亀裂が入り、脱出することができた、といういきさつがある。

 直前まで幽閉されていたので、何も知らない可能性もあるけど、聞かないわけにはいかなかった。手がかりが少なすぎるからね。

 「私が幽閉される以前にも、極端な思想を持つ宗教団体は複数存在しました。むしろ、王はそう言った団体を故意に作り出していました。」

 「故意に?」

 「ええ、王にとって、宗教は民心コントロールの手段でした。異なる思想、倫理観を持つ宗教を王自身が裏で組織し、それと知られることなく裏から操ることで、国内外の反乱分子をコントロールしていました。」

 恐ろしい話だ。

 宗教が国や王をコントロールするって話は物語でもよく登場するけれど、まさにその逆、王が宗教をコントロールしていた。それも、大きな物からカルトのようなものまで、全てが王の掌の上とは。

 生贄という思想も、不安や恐怖心を紛らわせる手段として一部のカルト教団をそそのかした可能性はあるという。

 「浮かぶ岩は、国が浮き上がってから数年ほどは頻繁に落ちて来ていたの。」

 それによって、多くの人々が犠牲になったと。

 「あの国を浮かせているのは、基盤になっている巨大な鉱石層なの。

  外縁部や下部には、鉱石層にくっ付いていた土砂や樹木が崩れて落ち続けていたのだけれど、落ちたものの中には、わずかだったけれど浮遊する鉱石が混じっていたのよ。」

 「落ちて来たのに浮くんですね。」

 「・・・それもそうね。」

 素朴な疑問のつもりだったんだけど、ビックリされてしまった。

 浮く鉱石、ノエルさんが自身の魔物化を防ぐために作った、魔素を弾く魔道具の核として使っていたのがそれだった。

 石の中には、わずかだがミデンタイトという金属が含まれており、その金属は非常に多くの魔力を蓄えることができる。

 どうやって浮いているのかはノエルさんにも分からないそうだけれど、ノエルさんが使った1mほどのサイズの岩でも、とてつもない量の魔力を含んでいたそうだ。

 なるほどだ。

 それを徹底的に調べれば、ひょっとするとファンタジーの定番、飛空艇とか再現できちゃったりするかも。

 これは俄然やる気が出てきた。

 そして次に、エルフのおとぎ話のことを話した。

 「そんなことになっているのね。」

 そう言って顔を真っ赤にしてしまったノエルさん。

 実際には、四尾の獣はカイゼルヘルグから放たれた刺客で、魔物化した騎士だった。

 かろうじて意識を残していた刺客は、ノエルさんを追い、やがてエルフたちの暮らす街へ。

 逃げるノエルさんと、命を奪おうと手当たり次第に攻撃を始める獣。

 その時、偶然にも空から大量の土砂が落ちて来たのだという。

 町を押しつぶす土砂、それを弾き飛ばす獣と、獣を操る一人のエルフ。

 という風に、混乱のただなかにあったエルフたちには見えたらしい。

 実際には、獣の放つ衝撃波から必死に逃げていただけだったそうだけど、結果として、町の半数ほどのエルフを土砂から救うことになった。

 獣は土砂に押しつぶされて息絶え、ノエルさんは生き残ったエルフたちを率いてこの森へ。

 その当時は、今ほど危険な魔物はいなかったそうだ。

 ゴブリン程度の魔物でも、着の身着のまま逃げて来たエルフたちには脅威、ということで、ノエルさんは数年にわたって滞在して助力した。

 元々植物関係に詳しかったノエルさんは、偶然見つけた魔物が寄りつこうとしない植物を研究して、魔物除けとして利用できる植物を集め、エルフたちに伝えて去ったのだという。

 去った理由はただ一つ、再び刺客が襲ってきて、エルフたちに危害を加えることを恐れたためだ。

 それがどういうわけか、長い年月のうちに美化され続けたらしい。

 集落の広場に掲げられていた物語のレリーフも、毎年新しく作り直されてるって話だったから、少しづつ変化していってもおかしくないな。

 四尾の獣も、狐ではなく狼だったっていうし。

 と、結局解決になりそうなことは分からなかったけど、恥ずかしがるノエルさんが見られたから良しとしよう。

 エルフの集落への訪問は、丁重に断られた。

 ま、当然だよね。

 

 浮遊岩の調査のためには、トールとスラりんの同行は必須、あとはクロウにもついてきてもらいたい。

 邪魔が入ると面倒だから、移動はフレイアに運んでもらうとしよう。

 それでも何かあった時のために、ハクアとカムイも連れていくかって、これがいかんのだよな、何かあった時のために、じゃなく何があってもいいように、だよな。

 ならばもっと戦力がいる。

 ブリザイアには上空で待機、デストームと配下のスカイドラゴンたちには、いつでも出発できるように準備を指示、最悪浮遊岩をドラゴンたちで運んでもらうことになる。

 もし、前回の魔獣による攻撃がナレハテっぽい奴の仕業なら、空中から乗り付けたとしても何らかの妨害工作を仕掛けてくるだろう。

 物量で来られた時は、カムイの配下を一斉投入して一気に片を付けられるだろう。

 準備もバッチリ、いよいよ出発、というときに限って余計な客が来るんだよな。

 「シン様、お久しぶりでございます。」

 「あ、そうだ、蝕蠅の王杯と闇の宝玉持ってたらくれ。」

 ロン毛に二の句をつげさせずに即要求。

 こいつは喋らすと長いし面倒だから。

 「・・・すいません、持ってないです。むしろ何でそんな意味なしアイテムを所持されていたのかを知りたかったです。」

 ちっ、こいつもロマンを持たない奴だったか。

 「じゃ、いいや、忙しいからまたね。」

 「ちょ、ちょっとお待ちを!もしかすると大変なことになるかもしれないんですぅ。せめて話だけでも。」

 あ~、もぅ、しょうがないなぁ。

 仕方なく話を聞くことにしたけど、人払いを、とか面倒なことを言い出した。

 いやいやながらも、応接室に入ると椅子をすすめた。

 俺って紳士だな。

 「従魔たちのことですが、最近おかしな行動を取ったりはしていないでしょうか。」

 おかしな行動?

 思い当たる節は無いけど。

 「明らかにゲームの設定とは異なる行動が目立ってきているように感じるのです。」

 何かと思えば。

 「当たり前だろう、彼らだって生きてるんだぞ。」

 「あ、それは分かるんですけどね、そうではなくてですね、なんかこう、こちらに隠れてコソコソと、勝手に動き回っているようなんですよ。」

 ・・・さすがにそれは・・・無いとは言い切れないけど。

 コンなんか無視しやがったし。

 まぁ、コンはコンだからだよね、ね!

 「嫌われてるんじゃないの?」

 不安に思いながらも精一杯強がってみた。

 フリーズしてしまったロン毛を残して、というのはなんか嫌なのでしっかり追い出してから浮遊岩へと出発した。

 

 フレイアに運ばれて浮遊岩の上に、まずはナレハテっぽいものの処理から始める。

 貫いている柱を取り除く。

 一応これも調査しないといけないので、フレイアに引き抜いてもらった。

 反応ないな。

 今までと変わらずぴくぴく動いているだけで、柱を破壊して自由になってもリアクション無し。

 一応警戒してたんだけど。

 周囲に浮く小石とかも回収。その間も変化は無し。

 では、とっとと処理してしまおう。

 「スラりんよろしく。」

 ブルんと大きく震えると、びょーんなんて擬音が聞こえそうな勢いで飛び上がり、ナレハテ(?)の上にドシーンと。

 スラりんに包み込まれても何の変化も起こらず、おとなしく(?)溶かされていった。

 やっぱり、魔獣の襲撃は無関係だ。

 となると、別の何かが関与している?

 かつて村を襲撃して来た襲撃者たちの姿が脳裏に浮かんだ。

 あの時は俺たちの経験値が一番の目的だったはず。でも、今の段階でそれは理由になりえるのか?

 ここまで生き残って来たならば、レベルも上限に近くなっているはずだし、PKで経験値を稼ごうなんて狂ったやつなら当然カンストしているはずだ。

 イマイチ目的が分からない。

 「遊んでる暇が無くなったじゃないか。」

 レベルアップに集中しなければ。

 何が起こってもいいように。

 できることはしよう。

 まったくもって面倒なことだよ。

 

 浮遊岩の移動、これも現状不可能であることが分かった。

 龍たちの全力でもビクともしなかったのだ。

 小石から小岩程度の浮遊物は簡単に動かせたからサンプルとして確保できたけれど、本体だけは何としても動かない。

 質量的な問題なのか?

 とにかく、トールにサンプルの解析を丸投げして結果を待つしかないだろう。

 ガッチリ戦力固めて来たのに無駄骨・・・いや、その考えがいかんのだよね、何度失敗したら気が済むんだって。

 うん、”備えあれば憂いなし”これを今から俺の座右の銘にしよう。

 俺とハクア以外はここで帰還してもらって、再びエルフの集落へ。

 嘘も方便じゃないけど、異変の原因はナレハテ(?)だったようで、処理済みだから安心するように伝えた。

 「ありがとうございます・・・本日コン様は・・・」

 「あぁ、実は前回の帰りにトラブルがありまして。ちょっと腰を痛めたようなので大事を取って休養しているんですよ。」

 言えない。

 遠征で疲れただの脚が痛い腰が痛いと駄々をこねたから置いて来たなんて。

 お見舞いにとどっさり木の実などをいただいてしまった。

 支店設置用の建物も建設が始まっていた。

 「あ、浮いている岩なんですけど、今回はどうにも動かせそうにないので、これからも調査と監視を続けていく予定でいます。その時、できれば休憩や研究に滞在させていただきたいのですが。」

 「もちろんでございます。してん、ですか、そちらの建物に宿泊できるような部屋を追加いたしますので、いつでもお越しください。」

 こうしてエルフの集落との交易準備も着々と進んでいる。

 ドワーフの村よりも厳しい環境だから、ここに護衛部隊を駐留させられればいいんだけど、その前にしっかり信頼関係を結んでおかないとね。

 駐留させるチームを早く決めて、調査に来るときに同行させてエルフたちと交流させていこう。

 目標は1年後に駐留開始かな。

 そんなことを考えながら、浮遊岩付近で貯蔵庫から出したオオザイス号で帰途へとついた。

 

 拠点でレベルアップのための準備をしていたところ、ズボンのすそを引かれた。

 「あるじ・・・。」

 おお、マガちゃんから声をかけてくるなんて、明日はきっと宝石の雨が降るに違いない。

 「あのね、コンちゃんね、ホントはあるじと一緒に行きたかったみたい・・・。」

 ・・・え?

 まさか・・・コン・・・おまえ、そっちだったのかい!

 衝撃の事実をマガちゃんから聞かされ、しばしフリーズしてしまったのだった。


17~21日までの5日間、炎天下で朝から晩まで作業に追われた結果、腰が逝きました。

あげく、腰回りやら尻やら足の甲やらが汗疹だらけになって夜も眠れぬ日々でございます。

市販薬もいまいちで、かきむしりたい衝動との激闘で頭に栄養が回りませぬ ← これ22日の段階

 

患部が熱を持っていることに気が付いて、試しに保冷剤で痛くなるほど冷やしたらしばらくかゆみを感じなくなることに気が付き、数時間ずつに分けて寝られるようになりました。 ← これ24日

 

保冷材は日中持ち歩けないので、試しに超スース―するボディペーパーで患部を超スース―状態にしたら、冷やした時と同じように数時間程度かゆみを感じないことに気が付いて保冷材から日中も持ち運べて、トイレなどで使用できる超スース―ぺーパーにチェンジ、24日以降、無意識にかきむしってしまうことも無くなっていたこともあってか、順調に回復中。

腰もようやく痛みが取れ始めました ← いまここ

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