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80:台無しだよ

間に合いませんでしたm(__)m

 久しぶりに地下訓練場の攻略に挑んでいる。

 前回は7階層で思わぬ強敵に遭遇したことで、8階層以降の攻略は断念したわけだけど、ナレハテとの大規模戦闘からずいぶん経ったし、食材加工代行業の方も、王都とファーレン王都、それと、第二親王妃の祖国だというクリトニアって国の3店舗が開業して順調に営業中、マスターたちの協力もあって、資金難もだいぶ解消された。

 防衛拠点の方も、なんか最近村人たちからの差し入れが多いそうで食費がだいぶ浮いてくれている。さすがに村の住人は怖くて近づかないだろうと思っていたけど、仲良くしてくれることはいいことだよね。

 と、いうことで、ながらく放置してきた下層階の攻略を進めようということになったのだ。

 ちゃんと把握しておきたいってのもあったし、この先のナレハテ戦のためにレベルアップができるにこしたことはない。

 だいぶ時間がたっているので下層階の幻獣(いろいろと紛らわしいので、地下訓練施設や地下洞窟内で自然発生した、魔素だけで存在する魔物を区別することにした)もだいぶ増えているかもしれないけど、皆レベルも上がっているし、前回のメンバー、ハクアにカムイ、ヤミ、マガちゃんに加えて、ナレハテ戦に参加したコクエンと、実力を測るためにこの世界で従魔にしたエンオウ、ガルド、クマドンを連れて攻略に出発。

 が・・・。

 あれ?

 みんななんか、強すぎない?

 7階の火焔鎧なんか、前回の3倍、9体に増えてるのに俺、見てるだけで圧勝しちゃった。

 前は、幻獣3体に対してこっちは俺を含めた5体で何とか勝てたのに。

 特にナレハテ戦を経験したメンバーは明らかに強くなっている。

 もちろんレベルも上がっているけど、それだけじゃない。

 以前は、スキルや能力ゴリ押しの、いわゆるゲーム的な戦闘スタイルだった。

 もちろん、当時としては結構優秀なAIが搭載されていたけれど、それでも攻略されることを前提としたもので弱点もあったし、単調でもあった。

 それが、一変したように感じる。

 見ているだけで鳥肌が立っちゃったよ。

 まさにゲームの枠を超えた強さを手に入れたように感じたんだ。

 新規加入のエンオウ、ガルド、クマドンも思っていたよりかなり強くなっている。

 ユーキのモンスターたちはスキルや魔法を覚えないみたいだけど、なんと、彼らはスキルを獲得しているのだ。と言っても、自然に身についたわけではなく俺のスキル、従魔師範によって覚えさせたのだけど。実験程度のつもりだったんで、まぁプラスアルファ的なつもりで覚えさせたんだけど、この施設で訓練を続けることでしっかり使いこなせるようになっていた。

 3体でうまく連携して、火焔鎧の一体を見事に倒してしまった。

 

 8階層、6体の、まったく異なる姿をした幻獣たちがいた。

 こちらを見ると、何やら言葉を交わしているらしい。

 言語は独自の物なのか、まったく意味は分からないけど、幻獣たちの中では通じているみたい。

 とりあえず相手の出方をうかがっていると、ひときわ大きな体躯の一体を残して下がってゆく。

 これってまさか・・・

 残った幻獣が振り返ると、ぶっとい指で、まるで「来いよ、相手してやるぜ。」とでも言っているように合図してきた。

 マジかよ。

 少年漫画じゃないんだからさぁ、「タイマンはろうぜ」なのか、「まとめてかかって来いよ」、なのかは知らんけど、恥ずかしいからやめようよぉ。

 「なるほど、レン殿とユイ殿が最近、手下ができたと言っていたのですが、この者たちのようですね。」

 そういってある一点を指さすカムイの指の先には・・・。

 「あ!」

 思わず声を上げてしまったけど、どう見ても漫画本らしき山が・・・。

 向こうの俺のPCとつながったことで、向こうで購入した電子書籍(主に漫画)にもアクセスできるようになり、トールと試行錯誤してデータをこちらに保存する技術も確立した(もちろん動画も)。

 その過程で、紙に印刷したのを双子に見つかって、ねだられて何作か印刷した物・・・が、なんで開放していなかったここにあるんだ。

 「こんなところまで遊び場にしてたのか。」

 ため息しか出てこない。

 ここで思う存分暴れて発散し、幻獣たちを屈服させたうえ漫画本まで持ち込んで読み散らかしていたようだ。

 あの幻獣たちは、放置された漫画を読んで理解したということなのだろう。

 そして、すっかり感化されていると見える。

 よりによって、こんな所で向こうの、それも少年漫画のノリを持ち込まれるとは。

 「台無しだよ。」

 テンション大暴落中だけど、そんな恥ずかしい挑発に、意外にもクマドンが乗っかってしまった。

 ノッシノッシと前へ出ていくと、それを見た巨漢が、いかにも不服そうなリアクション・・・いや、まぁ、確かにクマドンには荷が重そうだけどさ、でもやっぱりムカつくな。

 クマドンも理解したらしく、背中の毛を逆立ててうなり声をあげる。

 次の瞬間、クマドンは突進した。

 と、同時に俺の脇と頭上を何かが通り過ぎた。

 巨漢に全身でブチかましをかけるクマドン、それを真正面から受け止めた巨漢、そして、その頭上からはエンオウが、側面からガルドが襲い掛かった。

 「おお、うまいな。」

 体格的にはクマドンも巨漢に引けを取らない。

 クマドンが突進したことでエンオウとガルドの動きをうまく隠したわけだ。

 エンオウとガルドの鋭い爪が巨漢を襲い、鮮血がほとばしる。

 ん?

 血?

 幻獣って、血がドバーなんて出たっけ?

 いや、魔素100%なんだから出るわけ無いよな。

 ・・・

 ・・

 ・

 あの双子・・・何てことしてくれてんだよ。

 俺を破綻寸前まで追い込んだ暴飲暴食、そのうち、テイクアウトした分の大半がこいつらの食事になっていたわけか。

 手下への施し、的なつもりだったんだろうか。

 魔素から自然発生した幻獣は本当の意味での生物ではない。

 魔素が肉体の代替えになっているだけだ。

 が、何かこの世界の物を口にすれば、魔素が食した物と結びついて肉体を持ち、生物として完成するのだ。

 魔石や素材などを得られるようにはなるけれど、倒したことで得られる魔素(経験値)は激減する。

 しかも、肉体を持つことで損傷を無視したような行動がとれなくなる分弱体化してしまう。

 それでもやはり8階層の住民、クマドン達には荷が重いか。

 善戦と言ってもいい戦いぶりを見せてくれた3体だったが、地力の差はいかんともしがたかった。

 結果、最初の不意打ちが最大の戦果だった。

 のんびりと観戦できたのは、巨漢から殺意を感じなかったからだ。

 なんか途中から、戦闘というより稽古っぽくなってたし。

 実際、後半の連携はなかなか良かった。

 通用しなかったけどね。

 なんか、今は「なかなかやるじゃねぇか」的なスポコン漫画の再現ぽいものを見せられてるんですけど・・・。

 なんかもう、台無しだよ。

 

 一連の茶番劇?が終わると、次は○面ライダーを連想してしまいそうな、昆虫をモチーフにしてそうな甲冑姿の幻獣・・・じゃないな、もう魔獣か?魔者か?

 黒炎を纏わせたハルバードで戦うコクエンと、パンチやキックで戦う仮〇ライダー・・・って違う!

 くそ、あいつ、絶対あの漫画見てるな。

 特撮ヒーロー、〇面ライダーを題材にしたオリジナルストーリーの漫画。

 仕草や戦い方がいちいち被るじゃないか。

 ・・・あれ?

 なんか落ちた。

 肩当てだな、あれ。

 まさかあの鎧、自作か?

 似せようとして作ったのか?

 マジかよ。

 なんで、訓練用の施設にコスプレイヤーが爆誕してんだよ・・・。

 途端に動きに精彩さが欠けたコスプレライダー。

 うん、衣装が壊れるのは嫌だよね、コスプレイヤーさんとしては・・・。

 いろんな意味で台無しだよ。

 

 ハクアの相手をしたのは、蜘蛛とサソリのキメラみたいな魔獣だった。

 蜘蛛の体に、サソリのハサミと尻尾が付いたような姿・・・しかも子持ち。

 蜘蛛もサソリも子だくさんだからなぁ。

 子蜘蛛蠍こくもさそりにたかられながら四苦八苦していたけど、ハクアは見事な力のコントロールで、確実に小さな雷を当てて子蜘蛛蠍を無力化、風を操って安全圏へと吹き飛ばしていき、結局一匹も殺すことなく子蜘蛛蠍達を離脱させると、親と壮絶な戦いを繰り広げた。

 真空波による斬撃と雷、噛みつきに爪での攻撃とド派手なハクアに対して蜘蛛蠍はなんか地味だ。

 たぶん、こういったタイマン勝負よりも、巣を張って待ち構えるトラップ型の戦いの方があってるんじゃないかな。

 結局ハクアの圧勝に終わったけど、なんかもったいないな、もっとこう、トラップを用いた戦い方をミッチリ仕込みたい。

 うなだれる?親に寄り添う子供たちが哀愁を誘う。

 

 カムイの相手は・・・モヤ?

 カムイにとっては相性最悪、ってか、カムイが負けるとこ見るの初めてだ。

 いつも、ことも無く切り伏せる姿しか見てこなかっただけにちょと衝撃。

 蠅の王に近い存在なのか、小さな、砂粒のようなものの集合体のようだ。

 蠅の王みたいに離れて活動はできないようだけど、装備破壊系のスキルも通じないし、切断能力特化の神裂きの剣も通用しない。

 こうなるとカムイは何もできない。

 配下のデスナイトを召喚して、盾でブチかましをかけたのがささやかな抵抗だった。

 「このような場で自らの未熟さを認識できたのは僥倖です。この敗北を糧に一層精進いたします。」

 あくまでも真面目なカムイだった。

 

 ヤミの相手は・・・なに?

 黒い何かが出てきたと思ったら、バサッとめくり上げられた。

 どうやら黒い布をかぶっていたようだ。

 中から出てきたのは・・・5体の子供?人型だ。

 いやな予感がする。

 だって、5体の子供は、赤、青、緑、黄色、ピンク・・・まるであの戦隊じゃぁないですか。

 いやマテ、あれは漫画持ってないぞ!ってか漫画になってるのかも知らんぞ。

 ライダーに戦隊って、スーパ〇ヒーロータイム揃っちゃってるし!

 ビシッとポーズを決める5人(の子供にしか見えない)姿がなんだかほほえましい。

 いやもうさ、こうなるともう、戦隊ゴッコにしか見えなくなるよね。

 戦闘力は結構えげつないけど、ヤミもすごく成長しているのが分かった。

 黒の空間をピンポイントで、同時に複数個所に出せたり、攻撃手段の刃もサイズや形、動きが多彩になっている。

 突然視界が黒に染まったかと思うと、次の瞬間通常に戻る、と思ったらまた黒って、悪夢だよな、方向感覚も平衡感覚もわけわかんなくなるんじゃないか?

 ゲームキャラが今のヤミだったら、たぶん攻略できないだろうなってくらいの進化。

 当然5人の戦隊?はヤミに翻弄されまくり。

 っていうか、無理やり戦隊っぽく戦ってるみたいで動きも連携もチグハグだったよ。

 早いところやめさせてちゃんとした戦い方を教えないととな。

 って、何で鍛えなきゃ的な心境になってるんだ?

 

 マガちゃんの相手もまた強烈な・・・魔法少女ってやつだよね、あれ。

 俺、それ系の漫画も動画も持ってないぞ。

 ・・・帰ったら問い詰めないといかんな。

 戦いは、というと、やっぱりコスプレネタに引っ張られている相手は実力を出せていないようでマガちゃんの圧勝だった。

 

 マジで何だったの、これ。

 こんなんで攻略ってことでいいの?

 なんか、期待と全く別次元になっちゃってるんだけど。

 まぁ、ある意味面白かったからいいけどさ。

 最後にもう一回。

 「台無しだよ。」

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