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59:行く前に

次回は6/11(日)16:00更新予定です。

よろしくお願いします。

 せっかく完成させたけど使われなかったレース場、残念ながら、そのままバイクと自動車レースは延期となった。

 なぜなら、コリント伯爵領に向けて南への街道整備が始まったからだ。

 王都への献上旅の準備と予習のため俺は不参加だけど、代わりにオヤカタやトウリョーの配下多数、村での仕事の合間に交代でカイトとアカネも手伝いに入り、さらに測量の手間を大幅に削減できるスキル、世界地図持ちのユーキも加わったので施工速度は大幅アップ、構造も同じにするので慣れている。

 雪が降る前には余裕で開通させられるだろうとクリフトが太鼓判を押していた。

 それまでレース場を遊ばせているのも何なんで、週一でシルバーウルフや騎乗用モンスターのレースを開催することにした。

 少額限定で賭けも解禁したので、初回、第二回ともに、なかなか盛り上がったよ。

 もちろん勝ったさウハハハハ。

 劇場の方も、演者が少ないうえ、アカネがちょいちょい街道整備に出るので公演回数も多くできない。

 とはいえ、今のところ劇場は住人や来訪者への最大の娯楽だ、何とかしなければならない。

 ということで、実際の公演と同じ演目を無観客で、何パターンか録画しておいて、縦4m、横6mのスクショDe絵画最大級のキャンバスに張り付けて、誰でも気軽に見られるように格安で流すことにした。

 昼と夜、実際の公演が無い時はその動画をローテーションで流す。

 価格は実際の公演の半額以下。

 ステージに対して画面は小さく、音質も実際とは比べるべくもない。

 それでもなかなか好評みたいだ。まぁ、劇場での観劇なんて生涯縁が無いなんて人が大半だからね。せいぜい、興行団のお芝居見るのが関の山、な世界だから。

 劇場と言えば、新たに一員に加わってくれた元奴隷の5人も医療ポッドで焼き印の痕を消した。

 さぞ喜んでるだろうなって思ったら、美女なお兄様、姉御ことマチルダことガストンが黄昏れていた。

 ガッツリ視界に入ってしまったから、スルーするのも何なんでなんとなく声を掛けたら、

 「もちろんうれしいわよ。本当にね。でも、もっと早く知っていたら、家元に帰した子たちの痕も消せてたかなって。ミサの言うことを聞いて、先にこの村へきていればよかったかなって、そう思っちゃってね。」

 そう言ってため息を吐いた。

 責任があるわけでもないのに家路につくまで付き添い、しかもその後まで気にかけている。

 慕われるわけだな。

 「なら、おちついたら招待すればいいじゃない。家元に帰したなら、どこにいるかも知ってるんでしょ。今はバタついてるけど、もう少しして落ち着いたら休みでも取って呼びに行けばいいよ。ちょっと遊びに来ないかって感じでさ。ここに来られれば痕なんて簡単に消せるし、その時の旅費くらい出してくれるさ。」

 そう、ソンチョーもスロークもやさしいからね。

 ガタンッ!

 へ?

 目の前で立ち上がって、じっとこちらを見る美女(?)

 目の前で立たれると完全に見上げなきゃならない。

 「惚れていい?」

 は?

 いや、美女に告白されるのは悪い気はしないけどね、美女になら。

 男性ですよね。

 (今の時代、LGBTとかに偏見は持たないようにしてるけど・・・あ、それは向こうの世界の話か、こっちではどうなんだろう・・・とりあえず偏見は無いけど、それはあくまでも自分以外のことに関してであってですね、同性を恋愛対象に考えるのはちょっと無理ですぅ。)

 なんて、頭の中で考えるのが精いっぱいで口からは出てこない、それくらいの衝撃である。

 「冗談よぉ。あたしのタイプって、あなたよりカブロちゃんだものぉ。」

 と、アワアワしている俺を察してくれたのかネタバラシしてくれた。

 ホッとした自分に、今の時代それもアウトなのか?とか頭をよぎった。

 えぇ~、でもカブロぉ~?あ、身長的には全然有りだね。身長的には。

 「でも、すごく気が楽になったわ。あ・り・が・と。旅費も期待してるわよ。」

 はぁ~、良かったんだか何なんだか・・・。

 ん?

 旅費、俺が出すことになってない?

 と、訂正しようとしたらすでに姿は見えず。

 軽い気持ちで言ってしまったけれど、この世界の人々にとって、特に女性にとっては、旅は決死の覚悟が必要なもの。だからこそ、ママと姉御の二人は最後まで付き添ったのだろう。

 考えが足らなかったな。

 これは、旅費だけじゃなく護衛も考えないといけない。

 口は災いの元。

 うん、気を付けよう。

 

 村では日々、いさかいが起こる。

 人同士ですら当たり前のようにいさかいが起こるのだ、魔者と人となれば、言わずもがなである。

 ゴブリンもオークも、森では弱小に数えられる存在だ。

 ゆえに文化レベルも低く、人の暮らしにあこがれのような感情を抱いていたようだ。

 だからこそか、人の生活様式をすんなりと、貪欲に受け入れ吸収していった。

 言葉や、読み書き、計算も同様に吸収していった。

 ソンチョーのチート能力があるとはいえ、望んで学ぼうとする彼らの成長ぶりは目を見張るものがあった。

 彼らは、人並みに優秀で、人以上に意欲的だったのだ。

 環境が彼らの成長を妨げていた。

 その環境が変わったことで、彼らの能力が開花していった。

 特に、勤勉さを好まれる職人たちは好んで彼らを雇い、彼らもその期待に応えた。

 瞬く間に成長するゴブリンやオークたち。

 その成長ぶりに、恐怖を感じる者たちがいた。

 特に、伸び悩む若者たちにとって、彼らの成長速度とひたむきさが、すぐにでも自分たちの居場所を乗っ取ってしまうのではないか、という恐怖心につながり、嫌悪感にまで膨らんできていた。

 そうして、人から魔者に対するいさかいが急増しているのだ。

 これが憎悪にまで膨らめば、最悪の事態も起こりうる。

 ということで、問題提起された村会で提案を出した。

 「人と魔者の飲み会を開催したらどう?席順ははくじ引きで、と言っても、ある程度こちらで操作して、人と魔者がうまく混ざるようにね。で、ほろ酔いくらいのところでゲームを仕掛ける。周辺でグループを作らせてとか、お題を出して周辺の相手と話し合おう的なことでもいいし、とにかく人と魔者が会話しあう環境を作ってみようよ。それで解決の方向に進めばよし、無理でも何かがつかめるんじゃないかなって思うんだ。定期的に、月一とかでもいいし、参加費無料で集められればいいんだけど、無理ならできるだけ低価格で。」

 と、案だけ出して丸投げした。

 その飲み会が、近く開催されるらしい。

 マスターの料理、新作の酒も出すと大盤振る舞いの上、3回までは参加費免除にしたから応募者も殺到したらしい。

 頑張ってください。

 

 レインは連日森へ入って狩りの日々。

 とはいえ、グレートベアクラスはそうホイホイといるわけじゃない。微妙な成果に、次第に焦りが出ているようだ。

 仕方ないので今日は付き添い。

 グリフォンのエースに乗って、かなり奥深くまでひとっ飛びだよ。

 上空から獲物を探していると、前方で争う何かが。

 「え?あれってまさか!」

 巨大な6本足のオオトカゲと争っているのは・・・

 「ど、ドワーフですよね、あれってドワーフですよね!」

 興奮しまくるレイン。

 柄は短いがデカい刃のバトルアクスを振り回し、全長10mを優に超える巨大なトカゲと戦う複数の人影は、見まごうはずもないドワーフだ。

 ケガで動けなくなっているドワーフも見える。

 「た、助けた方がいいですかね?いいですよね?」

 当然である。エースを真っすぐオオトカゲに向けると、一気に滑空。

 「いきまぁ~す!」

 レインが剣を振り上げて飛び降りた。

 同時に急停止、ホバリングさせると、ドワーフたちに広範囲回復魔法、エンジェルフェザーをかける。

 光り輝く羽が舞い散るエフェクトが現れ、その羽がドワーフに触れると、傷が瞬く間に回復してゆく。

 そのまま自分も飛び降りて、エンジェルフェザーでは回復しきれていない重傷者の下へ駆けつけた。

 レインはエースから飛び出すと、そのまま剣を真下に、落下スピードに乗せて、オオトカゲの背に突き刺した。

 ビクンっと震えた後、激しく暴れ出すオオトカゲに弾き飛ばされて、地面にたたきつけられた。

 その瞬間、体を回転させてレインに向けて叩きつけてきた尾の攻撃をかわす。

 レインはそのまま突進して、剣を、体を回転させて切りつける。まるで京劇の剣技を見ているようだ。あれ、見栄えはいいけどお芝居用の剣技、というより舞みたいなものなのでは?

 「無駄な動き多すぎない?」

 思わず漏らしてしまった。

 「まったくだ、隙だらけで無駄だらけ、身体能力に頼り過ぎとるな。」

 そう答えたのは、今救ったばかりの仮定ドワーフだ。

 「しかし、驚いたのう、もう駄目だと諦めたんだが。」

 そう言うと、ついさっきまで切り裂かれていた腹をバンバンと叩いて見せた。

 「ご無事なようで何よりです。で、あれなんですか?」

 オオトカゲはとんでもないタフさで、レインとの死闘を演じている。

 「分からん。突然真上から降ってきよった。どれだけ切ろうが突こうが、一向に衰えん。結局先にガス欠になったワシらが窮地に立たされてな、助かったわい。」

 確かに、他のドワーフたちも怪我が治っても立ち上がれない者が多い。

 かろうじて戦おうとする者もヘロヘロだ。

 「なるほど・・・で、あなたたちはドワーフでいいんですか?」

 場違いな気もするけど、重要なことだからね。モチベーション的にね。

 「うむ、ドワーフで間違いないぞい。」

 おお、なんか感動。

 「じゃぁ、ちょっと参戦してきます。」

 そう言うと、剣を抜いて駆け出した。

  ・

  ・

  ・

 ありえない。

 どれだけ戦い続けているのか、いくら切っても、弱ることすらないのだ。

 魔法で焼いて、凍らせて、電撃を打ち込んだが効果無し。

 どれだけ深く切り裂いても、気が付くと、くっ付いているのだ。

 出血もしない。

 今は、レイン、俺、ドワーフたちが半分に分かれて、4チーム交代で戦い続けているが全く先が見えない。

 仕方ないので、エースに手紙を持たせて奥の手を呼びに行ってもらっている。

 今は奥の手待ちの時間稼ぎ中だ。

 キューーーーー

 上空から合図の鳴き声がした。

 「みんな離れろー!!」

 そう叫ぶと、打ち合わせ通り全員がオオトカゲから全力で離れてゆく。

 そして。

 オオトカゲが砂煙に包まれた。

 直後に ズドォーン!! と、何かがぶつかったような音と衝撃波が。

 一瞬遅れて、周囲10mに土砂降りの雨?が数秒。

 土煙が雨に叩き落されると、そこにはオオトカゲをすっぽりと包み込んだ巨大なゼリー。

 デモンスライムのスラりんだ。

 もがくオオトカゲだったが、スラりんの中でじわじわと小さくなり、5分後にはきれいに無くなっていた。

 「いったい、何なんだ、これは。」

 元の大福型に戻って、上下にプルプルしている。言葉も表情も無いけど、なんだかうれしそうだ。

 「スラりんです。」

 ペシぺシと表面と叩いてやると、上下運動が少し大きくなった。

 「俺の従魔なんですよ。」

 ・

 ・

 「ありがとなぁ~。」

 エースに運ばれていくスラりんに感謝を伝えると、ドワーフたちの輪に戻った。

 話によると彼らは南に見える山に住む部族で、今回は酒の材料になる果実を探しに来たらしい。

 「ここいらの魔物なら苦も無く倒せるんだがのう。あんな化け物は初めてだ。」

 そう言ってきたのは、重傷だったところを助けたドワーフ、ゲンドウだ。

 日も陰って来たので、このまま野営するというゲンドウ達、恩人をそのまま返すわけにはいかないと、彼ら自慢の酒を振舞ってくれるという。

 断るなんてもったいない選択は無いので、ご相伴にあずかることにしたよ。

 ドワーフと懇意になれるなんて、この先もう無いかもしれないしね。

 焚火の周りをぐるりと取り囲んで座るドワーフたち、魔物除けだという粉を焚火に振りかけてから、炎が青い。

 ん?

 レインがのたうち回っている。

 「ガハハハ、喉が焼けるだろう。」

 ドワーフ火酒、現物がここに・・・って、樽ジョッキで飲むものなのか?

 さすがに死なないよね?

 チラリと周りを見ると、ドワーフたちはグビグビとやっている。

 ええい、ままよ。

 グイッとあおる。

 グ・・・喉が・・・焼ける。

 一気に体から汗が噴き出し、心臓が躍る。

 あ。

 苦しみの遥か彼方に、ほんの少し、微かな旨味が・・・。

 バタン。

 強烈だった。

 レインの様子を見て、事前にキュアを準備しておいてよかった。

 キュアで解毒したのにまだフラつくような気がする。恐るべしドワーフ火酒。

 「おう、いけるじゃねぇか、初めてで持ち直したのは久しぶりだぞ。」

 やられた!

 なんでも、このドワーフ火酒、集落でも普段飲むことは無く、成人の儀で度胸試しに飲ませる物らしい。

 狩りや収穫に出るときに所持するのは、助からないほどの負傷をしたとき、最後の苦しみを紛らわせるために、ということなんだって。

 「ガハハハハ、こいつを飲んだお前さんらはもう、わしらの家族同然よ。」

 一応、歓迎してくれてるんだろうな。かなり手荒いけど。

 そういう彼らが飲んでいたのは、かなり度数が強いけど果実酒だ。

 うん、しっかりエグみも残ってるけど、旨味も香りも良い。魔素抜きさえすれば、村の果実酒より美味いかも。

 もらってばかりも何なんで、こちらからもラサワインと干し肉を提供しよう。

 ・

 「なんだこれは!信じられん、酒精は弱いが、不快な雑味が無いじゃないか。」

 「おい、こっちの干し肉も信じられんほど美味いぞ。」

 期待通りの反応アザッス。 

 こうしていろいろと語り合ったわけだけど、彼らの持っていた地図と俺の魔導地図、見比べてみたら、どうやら彼らの部族は今絶賛工事中のコリント伯爵領への街道からそれほど離れていない所にあるらしい。

 「なるほど、村から真っすぐ南に進路を取ると、ベイロール山って山をかすめるわけか。」

 「おう、わしらの集落はこの山、お前さんらが作っとるっちゅう道側の中腹にある。」

 って、まだ飲んでるんかよ。いったいどれだけ持ってきてるんだよ。

 って聞いたら、10リットル以上は余裕で入りそうな大きな樽を背負ってきた。それを全員持ってきているそうだ。

 アホかよ!

 ・

 「いやぁ、あんなひどい思いしたんだから、絶対二日酔いだと思ったんですけどねぇ。なんかスッキリです。」

 それは、朝方こっそりキュアかけてやったからなんだけど・・・

 「ガハハハハ、ならお前さんも強くなるぞ!間違いない。」

 「がんばりまっす!」

 ・・・教えるのはまたあとにしよう。

 「そうだ、助けてもらった礼にこいつをやろう。」

 そう言って、一本のナイフを渡された。

 ん?この色って・・・

 「まさか、ミスリルですか?」

 「おう、人にとっては貴重なんだろ?集落一の職人が打ったもんだ。なかなかの技物だぞ。」

 「なら、こいつももってけ。」

 そう言って渡されたのは、大きな、デモンエイプの物を超えるほどの魔石だった。

 「これは?」

 「さっき拾ったもんだ。たぶん、あのオオトカゲのもんだろうよ。倒したのはお前さんの従魔だろ?なら権利があるのはお前さんだ。まぁ、わしらも手伝ったがな、だがまぁ、魔石は分けられんしの、その、なんだ、別の物で分けてくれてもいいんだがの。」

 ドワーフのモジモジはかわいくないぞ。

 分かってますよ。

 残っていた干し肉と、果実酒の瓶2本、小樽に入ったミードを進呈しましたとも。

 「しかしお前さん、いったいどこにしまっとったんだ? あ!こら!村へ持って帰るんだから飲むんじゃない!」 

 セーフ。

 貯蔵庫の利用時は気をつけましょう。

 その後、お互いの地図にお互いの位置を書き込むと、再開を誓って別れたのだった。

 さて、宿題も済んだし、帰るとしましょうか。

 

 王都に行くのだからと、礼服も作らなきゃならなくなった。

 あまり上等すぎるのも不敬に当たるってことなので、領都から取り寄せたお高めの生地で、ただし裏地と下着には防御面を考えてソリッドスパイダーの糸に加工して糸状にしたミスリルを織り込んだ生地を使った。

 紋章を考えておけと言われたけれど、センスの無さはノエルさんにプレゼントした魔道具作成で思い知ったので、ソンチョーに丸投げ。

 結果、得意そうな何人かに頼んで、一番良かったウシオ策の物を採用した。

 みどり村の名にふさわしく、大樹をモチーフにした紋章だ。

 それを、礼服や護衛の装備品、馬車、献上品を治めた入れ物などに付けていく。

 誰が見ても、グリンウェル旗爵の関係であると分かるようにだ。

 馬車は2台、俺たちの乗る物と、献上品を積むものだ。

 俺たちが乗る物は、設計士のガディオンに贈呈した奴より少しだけ豪勢に、武力を目立たせたいので無骨なデザインにした。

 通常は複数台の同じ馬車を引き連れてリスクを分散するのがこの国の常識だけど、あえて一台にすることで、やれるもんならやってみろ、というアピールだ。

 お付きの執事やメイドもみんなクロウの配下、悪魔族の魔者だ。帯剣させてシルバーウルフに騎乗、服もただのタキシードやメイド服じゃない、所々鎧をイメージするような仕立てにしてある。うちは執事もメイドも戦えまっせ~、な演出にしてみた。争うことは損だと思わせるのも今回の目的だしね。

 荷車の方は、内装は空でサイズもかなり大きい。ざっと、俺たちの乗る馬車の2倍。外装もシンプルだけど、足回りはトールが設計した物を、職人たちが作りあげた逸品だ。

 そのまま、馬車ごと献上するのだ。

 非常に高度な技術が必要で、俺たちの乗る馬車に比べれば乗り心地はかなり劣る。だけれど、この世界の馬車とは比べ物にならないほどの安定性。しかも、この世界の職人たちでも再現可能なのだ。

 つまり、馬車そのものだけじゃなく技術を献上する。

 当然、村の優位性を保つために、村から出荷する馬車にはこの世界ではまだまだ再現不可能なパーツも使っている。ゴムタイヤや金属バネのサスペンションとかね。

 そんなことで、着々と王都行きの準備が進んでいるんだけど、ここで新た間問題が発生した。

 「またワタリビトぉ?」

 思わず声を上げてしまった。

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