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6:超人気

散々迷ったけど、XYにしました。

10歳くらいに見える赤毛の少女がじっと見ている。

ここは駆け出しハンター用のキャンプ地だ。普通ならこんな場所に子供がいるはずがない。

 けどなんか、見たことあるような無いような。

対応に困っていると、救世主田辺君が。

「ガキんちょが何でこんなとこにいるんスか?」

颯爽と登場。

「ガキじゃない!これでも大人だ。」

田辺君をキッと睨む少女。どう見ても子供なんだが。

 「はいはい、ガキんちょほど大人ぶるんスよね。」

 ギリギリと歯ぎしりの音が聞こえてきそうだからそのくらいでからかうのやめなさいって。

「ねぇ、あんた、ハンダって言ってたよね。」

あ、そうか、つい向こうの名前で呼び合ってたけど、この世界じゃ珍しい名前かもしれない。マズったな。

「僕はカトリ・ユウキっていうんだ。」

ん?なんか聞きなれた響き。

「飯田さん、僕っ娘っスよ、僕っ娘!現実にいたんスねぇ。痛いアイドルのキャラづくりだけじゃなかったんスね。」

キラキラした目ではしゃぐ田辺君。いやそこじゃないから。

「僕は女じゃない!」

顔を真っ赤にしながら食ってっかる少女。

 ほら、火に油を注ぐから。

「くぅ~~~~!まさか男の娘って奴っすか!この世界にもいるとは!!」

田辺君、ちょっと落ち着こう。論点が明後日の方に行ってるから。

「僕はお前らと同じだ!無理やり連れてこられたんだ。この姿はゲームのキャラなんだよ!」

あぁ、そうだ!こんな感じのキャラが出てるゲーム、知ってるかも。

「まさかだけど、マジモンのレイナ?」

「それ!!」

ビシッって擬音が聞こえてきそうな勢いで指をさして肯定する自称大人男子のカトリくん。

「なぁ~んだ、ただのネカマか。」

そしてとたんに興味をなくした田辺君。

 いや、火に油注いだ分は責任取ってよ。

「ちがう!マジモン13はユキトとレイナで最初に使えるモンスターが違うんだよ!だからレイナを選んだだけだ。だいいち、ネトゲじゃないからネカマじゃない!」

うん、正論だ。

 カトリ君の勝ち。

しかし、完全にアニメ顔のキャラが実物になるとこうなんだなぁ。確かに何となく特徴は残ってるけど、言われてよく見ないとわからないな。

「やったことは無いけど、超が付く有名ゲームだよね。」

マジックモンスター、通称マジモンは、モンスターを魔本に封印して使役するテイマー系ゲームで、13作まで発売されている。

 コミカライズ、アニメ化、映画化もされて大ヒットしている超有名タイトルだ。

 メインターゲットが小中学生なので主人公も12歳設定だったか。子供のころからプレイし続けるシリーズプレイヤーも少なくないらしいけど、自分は縁が無かったな。

「チュートリアルの最後に最初のモンスターを封印するまではただの子供なんだよ。なのにお手伝いクエストも修行クエストも始まらないんだ。何にもできないんだよ。」

 必死に訴えかけてくる。みんな何かしら問題抱えてるんだね。

確かに、マジモンはプレイヤーレベルにあたる術士ランクが上がっても、封印できるモンスターの数が増えたり一度に召喚できる数が増えたりするだけだったっけ?

 プレイヤーの能力はモンスターの数やレベル、レア度で変化する仕様らしく、モンスターが封印できなければただの子供と変わりないんだそうだ。

「モンスター封印すりゃ良いじゃないっスか。」

田辺君、それができてればこんなとこにいないと思う。

「封印どころか、村から出してもらえないんだよ。子供が危険なことするんじゃないってさ。」

 頭をかき上げて苦い顔をしながら愚痴る。なんか調子狂うな。

 「あの白い部屋の後、気が付いたらこの村にいてさ。知ってる人誰もいないし、何していいかもわからないしでウロウロしてたら、夜中に子供が何してるって警備兵に捕まって、親もいないなら商隊に厄介払いされたんだろうって孤児院に入れられちゃってさぁ。」

ああ、それは災難、というか、孤児院でも安全な所で食事つきなんて、ある意味すばらしい環境では?

 「そこがまたひどいところなんだよ。刑務所と変わらないね。」

 いや、刑務所なら自由に出歩けないと思うんだけど。と思っても口には出さない。大人だから。

「露店通りであんたらのことに気が付いて、仲間の振りして一緒について出なかったらここに来ることもできなかったくらいだよ。」

子供にしか見えないのに仕草も言葉遣いも大人。なんか違和感。大人ぶってる子供、とはなんか違うんだよな。ホント調子狂う。

っていうか、大人といっても彼はまだ18歳、高校卒業して就職、研修中だったそうだ。大学生の田辺君とほぼ同年代とはね。

どっちも子供じゃん。君たち足してもおっさんの方がおっさんだからね。

 おっさん舐めちゃいかんよ。無駄に長生きしてるだけなんだから。過保護なくらい労わってもいいんだからね。

 なんて馬鹿なこと考えてたら、まじめな顔したカトリ君が

「一生のお願いです。僕にモンスターを封印させてください。」

直角に腰を曲げて頭を下げた。

「月一くらいであるんスよね、この手の一生って。」

「うっさい、そのくらい笑って見過ごせ。」

「あ、これ週一だ。」

そこそこ、漫才始めない。

この村の孤児院はあまり良い環境とは言えないらしく、奉仕といわれる内職が割り当てられていて自由になる時間はほとんど無い上、ノルマを果たせないと食事の質と量が落ちるそうだ。

 カトリ君は、どうしてもその環境に馴染めずよく抜け出しているらしい。

ただ、自立しようにもモンスターを封印しないと先に進めないと。

多くないか?レベルアップできない問題。

レベルアップしにくいだけの自分がかなり優遇されてるような気すらしてきたよ。

「手伝うのはいいけど、今すぐは無理かな。やらなきゃいけないことがあるから。」

と言って、作業台で肉をさばき始める。

「あ、水汲んできまス」

と言って田辺君も仕事に戻る。

 意外とドライね。

「ありがとうございます。待つのは慣れてるんで、手が空いたらでいいんでお願いします。もし手伝えることがあるならなんでも手伝いますので。」

手伝い確約がよほどうれしいのか、それとも田辺君が去ったからか、急にしおらしくなる。

「そう言えば、なんて呼べばいいかな。」

肉を切りながら聞いてみる。

「ユーキでお願いします。飯田さんはそうお呼びした方がいいですか?」

「いや、田辺君とは何となく向こうの名前で呼び合っちゃってたけど、この世界だとかなり珍しい名前みたいだからやめた方がいいかなって思ってたんだ。シンって呼んでもらえるかな。田辺君は聞いてみないとだけど、ゲームではユーシンって名前だったそうだよ。」

その後水を汲んできた田辺君にもユーシン呼びの確認をとって、3人で黙々と準備を進めた。

スライスした大量の肉のうち半分を大鍋に入れて煮込む。残りの半分は別の大鍋に水、塩、香辛料を入れた調味液に漬け込む。

水で煮込むのと煮込まないのでどれだけ差が出るかを調べるためだ。煮込まなくてもよいなら大幅に手間を省けるし、料理の幅も広がるに違いない。

手伝ってもらうならと、ユーキにも奇跡の干し肉を試食してもらっているので、手伝う手つきも真剣そのものだ。

 フフフ、こいつは使えるな。食べきらないで少し取っておこう。

 2時間ほど漬け込んだら取り出して、煮込んだ肉と入れ替えて漬け込み2時間。

 待ってる間に色々話してみたけど、マジモンのモンスターはいろいろバラエティーに富んでいて、魔法まで使ったりしたらしい。レベルアップに進化、合体と成長もいろいろで、やりこみ要素が多いそうだ。待ちに待った新作を手に入れて、始めた途端に引っ張り込まれたんだそうだ。それは悔しいよね。なんて話で盛り上がった。

 煮込んだ肉も漬け込みが終わったら、簡易貯蔵庫を開く。

まずは荷物を運び出して貯蔵庫を空にしないとね。

 空にした簡易貯蔵庫に、煮込んだ肉と煮込まない肉を、自家製網と市販の網で干す。これで網の違いなのか、煮込まないでもエグみがとれるのかが分かるはず。

同時に、運び出した荷物を置いてあるテントにも同様に干す。これで貯蔵庫の影響か、荷物による影響かがわかる。どちらも失敗なら、貯蔵庫と荷物のどれか、さらには網の違いの複合的な影響の可能性となる。とてもメンドクサイことになってしまう。

干し作業が終わるころにはすっかり暗くなっていた。

「やべ、送らないと村に入れないっスよね。」

すっかり忘れていた。ユーキを孤児院まで送らないと。

「もう帰らないからいいですよ。」

 最初から決めていたようにサラっというユーキ。

 「それはさすがにまずくないかい?」

 心配して探しに来るだろうし、ひょっとすると誘拐犯なんて勘違いされたら面倒だ。って、不安を感じていると、

 「急に誰かいなくなるのはしょっちゅうだし、だからって探そうとしたことなんかないんだ。みんな逃げだすんだよね。そもそも今日の作業して無いから、帰ったら飯抜きで殴られるだけなんだ。」

 なんてことを言いだした。

 「奴らからすれば、労働力が一人減るだけで、すぐ次が来るからね。どうせ逃げても野垂れ死ぬか泣いて戻ってくるさって言ってるの聞いたこともあるんで。」

なんともドライに言うユーキだけど、教会運営以外の孤児院ってほとんどそんな感じらしいと“常識”さん。世も末だな。

今のところ、この世界に共感できることが無いんだが。

こんな世界で何をしろと?

変革、だっけ?全然モチベーション上がらんぞ。どーなってんだ。

 ドン引きのモチベーションを上げるためにメシのことを考えよう。

貯蔵庫側の検証結果が出るのは明日の今頃なので、帰るつもりがないなら、明日はユーキのモンスター確保を手伝うのもいいな。

最初に使っていた一人用のテントを組み立ててユーキに使ってもらうことにして、この日は就寝した。実験、うまくいきますように。


 日が昇ると同時に目が覚めた。今日はユーキの手伝いだ。

荷物もあることなので田辺く、ユーシンに留守番を任せて森へ向かう。

森へは2時間ほど、氾濫対策で森とは距離がある。

「実は、最初のモンスター封印は師匠のモンスターを借りて戦うんだ。だから最初のモンスターは単独で封印できるようになって無いんで、本当に封印できるのかちょっと不案なんだよね。」

森に近づくにつれ、表情が硬くなるユーキ。こればっかりは答えようがないんだよなぁ。

 あ、そうだ、肝心なこと聞いとかなきゃ。

「マジモンはやったことないんだけど、魔物を瀕死にすればいいのかな?倒しちゃまずいんだよね。」

それもなかなか難題なのだ。手加減できるほど戦闘慣れしてないし、下手すると反撃されて封印どころじゃなくなるかもしれない。と心配したけど、

「倒しちゃっていいんです。倒した後に運がいいとモンスターが光の玉になって封印できるようになるんです。」

「光の玉…。」

なんだそりゃって、ゲームだもんな。

 どうなるんだ?とりあえず倒せばいいのか。

「難しいですかね。」

おずおずと聞いてくる。うん、女の子だ。じゃない。

「とりあえずいろいろやってみよう。とどめはユーキがやらなきゃダメな可能性もあるから覚悟してね。あまり深くにはいかないけど、勝てない相手もいるから逃げるときは従ってね。」

「了解。うん、大丈夫。」

顔はとても大丈夫そうじゃないよ。ユーキくん。

とりあえずはこっちで倒しちゃってみよう。

 戦闘の雰囲気を感じてもらった方がいいだろう。

パーティ認識してくれればいいけど。マジモンって、3人パーティーだったっけ?そんな感じの記事見たような気がする。

それにしても光の玉か。

運次第ってのが難問だな。

なんて思ったものでした。

最初に出会った魔物、ハリラビからあっさり出ました。光の玉。

あ、“強運(MAX)”の影響か?ドロップじゃないけど。

「こんなにあっさり。」

うん、同意見。拍子抜け。

「でも、こいつスッゲー弱いよ。」

「カワイイんだけどな。」

ユーキは少し考えた後、スルーすることにしたようだ。

「まだ1匹しか封印できないから、使えなかったら即終了だからな・・・。カワイイケド。」

あ、後ろ髪惹かれてる。

カワイイに引かれてるのはユーキ君かい?それともレイナかい?

その後ハリラビ、ビルラッツと、駆け出しハンターでも苦戦しないレベルの魔物が続いた。

 光の玉は5割程度出ている。

 ユーキの話だと2~3割出ればすごく運がいいってことなので、“強運(MAX)”の影響が出ているようだ。これからは敬意を表して"強運"先生と呼ぼう。

結局魔石とトゲだけが増えた。

 皮は時間がかかるからあきらめた。あ、肉も食えるんじゃね?と思ったけど、今回はユーキに経験を積ませることも考えて、時間をかけずに数をこなすことを優先した。

自分が押さえつけてユーキがとどめ、って感じで何匹か倒したけど、"強運"先生が機能するのは自分が倒した時だけっぽい。

 どちらがとどめを刺した場合でも、ユーキにはいっさい経験値にあたるものが入ることは無かった。ゲーム通り封印した魔物を使わないとダメみたいだな。

魔物とはいえ生き物を殺す、という行為に動揺とかしないかなって心配は無用だった。どうやら“常識”さんの影響が強いようだ。

この世界では保存技術が未熟なので、食材として生きたままの鳥や、大型のトカゲ、ネズミから豚などまで、弱い魔物が市場で売られており、それを自分たちで絞めて加工するというのはよくあることのようだ。知識として以外にも、こういった拒絶感とかもやわらげてくれているのかもしれない。

 初めての解体で気分が悪くならなかったのもグロホラー好きが、というよりこちらの要因が大きかったのかも。

ん?でも奴隷に関しては全然やわらいでなかったな。嫌悪感が強すぎたからか?よくわからん。わからんことは後回しだな。

ということで、昼食後は強めの魔物を探すため少し深く入ることにした。

 ホーンボアに出会わないことを祈りながらの探索だ。

若干濃さを増した森の中を進む。

 とりあえずハリラビとかはスルーだ。まずは1匹、封印して使える魔物を探す。

1時間ほどの探索。そして出会ったリルベア。

 逃げ回ったのは過去の話、マジックミサイル倍化で瞬殺である。

 さらに、推定1/2の確率に恵まれて光の玉が出た。

 「こいつは結構強いよ。堅いし、爪の攻撃力も高い。ただ動きが遅いのと見た目より相当重いかな。弱点は腹と喉。弱点を突くためにひっくり返すのはかなり大変だと思う。」

 ちょっといいショートソードと補正付きの斧を無くすことになったんだよな。もったいなかった。 

 「瞬殺だったのは、今できる最大火力だったからだよ。それ以外はいまいち効く気がしない。」

 使いどころは壁役か。最初の魔物としてどうか、というと若干問題はありそうだ。

 できれば最初は万能型がいいと思うんだけど、今まで出会った中で思い当たるのは、人の装備が使えるゴブリンくらいかな。う~ん、あいつら群れるからなぁ。

 なんて考えてるうちに、

 「封印できました!」

 あれ?

 ユーキの手には、リルベアの姿が描かれたページを開いた魔本が。

 封印できたのはいいけど、ちょっとは悩もうよ。

 「マジモンにも出てきそうな魔物だよね。」

 ニコニコと魔本を眺めるユーキ。

 まさか、ひょっとして、基準はカワイさか?そういえばハリラビの時もかなり悩んでたな。

 それでいいのかユーキよ。

 どっと疲れた気がしたけど、とりあえず無事魔物をゲットできて何よりだ。

 「すごい、リルベアってレベル12もある。これでいきなり僕のランクも2に上がったんで、もう1匹封印できるよ!」

 そうか、封印するとレベル1からじゃないんだね。って、無茶苦茶レベル上げ楽なんじゃないの?ズルい。

 なんか、釈然としないなぁ。

 っていうようなことを考えてる時って、良くないことが起きるよね。

 警戒が反応する。

今の有効範囲は自分中心に28m、そのギリギリの位置に複数の魔物反応。

「静かに!何かいる。リルベア出して身を守って。」

この周辺で群れて生息する魔物は。今の“常識”さんならある程度分かってるはず。

ゲドリザー、ゴブリンは遭遇済み、あとは。

コボルト、2足歩行の犬。身体能力はゴブリンより劣るものの、鋭い嗅覚と聴覚があり、連携しての狩りに秀でている。

ヒエン、体長40cmほどの樹上を飛び回るようにして活動する猿。単体では弱いが、集団での集中攻撃で格上の魔物も積極的に狩る森のハンター。機動性に優れ獰猛。

グロウフォミカ:巨大な蟻。体長30㎝ほど。非常に硬く、数千から数万の大軍団で森の中を移動しながら生息している。グロウフォミカの通った後はあらゆる生物が消滅するとまで言われるほど獰猛。

と、こんなところか。

動き方や規模からヒエン、グロウフォミカは除外できる。ゲドリザーも無いかな。前遭遇したときは、最初はジッとしてほとんど動いてなかった。

コボルトでも無い気がする。この距離なら臭いで気が付かれてると思うし。

ってことでゴブリン予想だ。何とかなる?。

ユーキの様子を見ると、しっかりリルベアを呼び出してジッとしている。

「たぶんゴブリンだと思う。こっちには気が付いてないみたいだけど、8匹いるからちょっと手が足りないな。」

「リルベアじゃ勝てないです?」

う~ん、ゲドリザーがマジックミサイル2本で1匹倒せたってことは、ゴブリンは1本でも倒せる可能性がある。でも試してないからな。倒せなかったら、手負い5匹も含めた8匹を一度に相手しなきゃならない。

 倍化したマジックミサイルなら5匹同時に倒せるだろうな。

 残り3匹、1匹を自分が、リルベアが1匹を瞬殺できたとしても、1匹がユーキに行く可能性がある。う~ん、マジックミサイル直後に単体スリープで1匹でも落とせばリスクはあるけど対応できるか?難しいな。どうした物か。

「リスクを考えると避けた方がいいかもしれないな。うまく運べば何とかなるかもしれないけど、ユーキが危険にさらされる可能性が高い。」

少し考えた後、ユーキは攻撃を選んだ。

「リルベアもいるし、できれば積極的にいきたい。ゴブリンなら戦闘以外にも使えると思う。カワイくないけど。あっ、もちろん、シンさんの指示に従う。」

そうか、生産とかもできたんだよね、マジモン最新作って。

 だとすると、やっぱりゴブリンはとっておいた方がいいか。

 う~ん、しょっぱなで範囲スリープかけて、寝てる間にリルベアでみんな倒してもらった方がいいかな?リルベアの攻撃力なら一撃で倒せるだろうし。

前回は走ってくるところにかけたから、倒れた衝撃が強くて瞬間に目を覚ましちゃったみたいだけど、静かに近寄って不意打ちでかければ、多少の物音なら目を覚まさないかも?

 そんなにうまくいくか?

念のため、スリープ直後にマジックミサイル準備しといたほうがいいな。起きちゃったのはそれで倒せば何とかなるか。

「うん、やってみよう。自分が先行するから、ユーキはできる限り静かについてきて。」

「はい。」

簡単に作戦を打ち合わせて、“静動”を発動してみる。効果があることを祈りたい。

慎重に進み、ゴブリンを視認する。

どうやら鹿のような魔物を狩って、運ぼうとしているようだ。大きすぎて四苦八苦している。

運がいい。

 ゴブリンたちの意識は推定"鹿"に集中している。

 今がチャンスだ。

ゴブリン全員が範囲に入るように集中。そしてスリープを発動。

パタパタと倒れるゴブリンたち。推定“鹿”を運び出す前でよかった。

 推定“鹿”に潰されて起きられたら目も当てられない。

マジックミサイルを準備して、狙いをつけるとハンドサインでユーキにGOを出す。

動かない相手に対して、リルベアは優秀なハンターだった。確実に1匹づつ、一撃で仕留めていく。移動速度の遅さが難点だけど、静かに動きたいときは問題にならない。5匹を片付けて、6匹目にかかった時、近くで獣の叫び声が上がった。

 リルベアに驚いた小型の魔物が逃げていった。何とも運が悪い。

 飛び起きたゴブリンたちは、まだ状況を理解できていない。

 準備していたマジックミサイルを放つが、推定"鹿"の裏にいた1匹は死角に入って外してしまった。

 倒れた2匹を見て状況が分かったのか、ゴブリンは脱兎のごとく逃げ出した。

 あ、まずい。

 仲間を呼ばれると手に負えなくなる。

 ショートソードを抜くと、急いで後を追う。

 後を追いながらマジックミサイルを放つ。狙いもつけずに放った5本の矢は外れたが、ゴブリンの足を一瞬止めることはできた。

 一瞬あれば十分、バッサリと切り裂いた。

 ちょっと焦った。

 戻ると、ユーキが封印に成功していた。最初にリルベアが倒したうちの1匹から光の玉が出ていたようだ。

魔石と、封印したゴブリン用に装備品を確保してから森の外へ向かう。

道中見つけたハリラビやビルラッツをゴブリンで仕留めて経験値を稼がせながらの帰路だ。

 2匹ともレベル10になれば、ランクが3に上がって封印数+1、同時呼び出しも+1になるので、活動がずいぶん楽になると言っていた。

 まぁ、元々がレベル3のゴブリンなので森を出るまでにレベル10は全然届かなかったけど。

しかし、いいなぁ。

自分の従魔たちはどうなってるんだろう。

テイムスキルが解放されたら呼べるんだろうか。

 それとも、ユーキみたいにこの世界の魔物をテイムしなおさないといかんのかな。

 う~ん、バニラ(MODなどを導入していない状態のこと)枠に登録していた焔竜、氷結竜、暴風竜は消えちゃってたら辛いな。テイムするのにとんでもなく大変だったし強かったんだよな。あの3体だけで無双確定だったのに。

レベル20になればMODで拡張した従魔枠が3つ解放されるはずだけど、そこに残ってれば焔竜たちも期待できるよね。

 楽しみなようで不安なようで。

キャンプに戻るころには日も傾き始めていた。

 男だらけもどうなんだろうと思いつつも、やっぱりゲーマーは男の方が多いんだろうなぁという結論になりました。

 

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