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5:運ぶオッサンと運ばれるオッサン

よろしくお願いします。

 ん?

 このおっさん、スゲェな。かなり雑に運ばれてるけど、思ったほどガックンガックン振られない。もちろん森の中の悪路だから多少はあるけど、結構な速度なのにスムーズだし、矢が刺さったままの足に負担が少ないように感じる。

 そういえば二人だけだし、結構な実力者?

 運ばれながら魔法に関して“常識”チェックだ。なんせ、前情報とだいぶ違う。レベルが上がって知識が増えたことでの変化、ということだろうけど、ホントに面倒だな。


 この世界の魔法とは、複雑な公式のもとに組み上げられた幾何学的な紋様“魔導印”に魔力を流すことで超自然的な効果をもたらすことを言う。

魔術師と呼ばれる者たちは、紙に特殊なインクで描いた魔導印を綴って本にしたものを使い、使用する魔法の印に手を当てて魔力を流すことで魔法を使う。。

そのための基礎を専門の魔術学校で学び、研究していく学問的なものとされている。

一般的な人の魔力はそれほど多くないので、魔法を学んだとしても使える人はあまりいない。

 複雑で強力な魔法ほど魔導印も複雑化する。

 複雑になるほど大きな面積が必要になる。

 魔導印は常に研究されていて、新しい魔法を作り出したり、既存の魔法の効率化(小型化、消費魔力の軽減など)に一生を費やすものが多い、つまり、魔術師のほとんどが研究員と言ってもいい状態。

 結果、魔術師は一般的に見かけるような存在では無かったのだ。

それが“魔素”の研究によって変化し始めた。

 この世界には、“魔素”というものがある。

 一般的にはあまり認識されていないもので、魔法を研究する上で学ぶものだったり、ベテランのハンターに師事した時に教わったりするものらしい。空気なんかと同じで空気中に普通に存在している無色透明無味無臭の気体のような存在。

 これがなかなかに厄介で、空気よりも重く、気体のような存在なのに風などの要因で移動することがない。地域などで濃度に差が出やすく、高濃度の場所では生物に悪影響を与えたり、魔物発生の原因になったりする。

 魔物の心臓からとれる魔石は、魔素が結晶化した物と考えられている。

 厄介なだけの存在とも思える魔素だけど、20年ほど前に魔素を魔力に変換する技術が発見されて、ごく簡単な魔法なら道具を使うことで一般人でも使うことができるようになった。

 魔石を加工した長さ10cm、幅3~5cm、厚み3cmほどの板に、簡略化された魔導印を彫り込んだ“術式杖”を購入すれば、それを握って魔力を流すだけで彫り込まれた魔法が使えるというものだ。魔力を流すのにコツがいるため練習が必要だが、魔石を加工して作られた術式杖の魔素を魔力に変換するので、少ない魔力でだれでも使うことができる。術式杖の元になる魔石の質によって内在する魔素量が変わり、魔法を使える量も変わる。当然質が良い程たくさん使える。使い切ったら、時間を置くことで自然回復する。最も安価なものでも500,000セイルからと、かなり高価。

 というところまでが現在の“常識”さん情報だ。

 頑張って頑張って、仲間と協力してようやく手に入れた術式杖を使って調子に乗った、と思われたみたいだ。実際リルベア瞬殺で調子に乗ってたけど。

 

 キャンプに着くと、仲間が田辺君一人だとバレてさらに怒られた。うん、良いおっさん達だよね。自分たちには何の利益もないのに。

 「んじゃ、ぬくぞ~。」

 と言って、矢の刺さった少し上をロープでぎゅっと縛られた。

 「え?」

 「歯ぁ食いしばれ。」

 「あ、ちょまっ!」

 笑顔が怖いよおっさん!

心の準備を!する余裕もなく一気に引き抜かれた。

「★◎▼■×!!!」

言葉にならない叫びをあげてのたうち回る。

「情けないぞぉ。かえしもない、木を削っただけの矢じゃねぇか。」

無茶ゆーな!

「一応念のために焼いとくか?」

ニヤニヤしながら怖いこと言うなヒゲ!

「いえ、後は自分でできます!」

速攻お断りである。

ちなみに田辺君はオタオタしてるだけ。うん、わかるよ。

さんざん説教された後、おっさんハンターは再び森へ向かった。やっと一息だ。

「飯田さん、大丈夫っスか?」

「うん、ちょっと調子に乗っちゃって。あの人達に会えなければ帰ってくるのに苦労したかも。」

 矢抜くのに1時間くらいかかったかもな。情けないけど。

 ライトヒールで回復。傷口はふさがったけど、まだ若干痛い。歩いたり走ったりには支障がなさそうなので、昼食をとってから再び挑むことにした。だって、収穫ゼロだもの。

 「俺、やっぱりついて行っていいっスか。」

 田辺君が真剣な顔でこちらを見ている。

 「もちろん足手まといにしかなんねぇかもしれんスけど、さっきみたいな時は手伝えると思うし、イザとなったら軽トラ出して立てこもる事もできるし、何かしら役には立てると思うんスよ。」

 失態をやらかしたばかりの自分に断ることなんてできはしなかった。というか、ありがたかった。なんせ、レベルは上がったけど収穫無しなんだから。魔石をとる間とか警戒してくれるだけでも大きな戦力だ。

 軽めの昼食をとると二人で森へ向かう。

田辺君には一応、簡易貯蔵庫からローブとスモールシールドを取り出して渡した。武器は、軽トラに積んであった大きなバールだ。ゲームでも装飾として書き込まれていたそうだけど、まさか単体で取り出せるとは思わなかった。

 「たぶん、壊れないんじゃないっスかね?車も壊れないし。」

 というのが選んだ理由だ。まぁ、鍬だの包丁だのよりはいいだろうし、弓は使える気がしないそうだから今のところベストチョイスっぽい。

 再び森へ。

 二人で警戒しながら探索。

 もちろんスキルの“警戒”も使いながら慎重に進む。

 途中、背中にヤマアラシのような無数のトゲを生やしたウサギ、ハリラビを見つけて弓で仕留めたり、ラサの実や、珍味で知られる灰色のキノコ、グレーマッシュを見つけたりしながら2時間ほどは問題なく進んだ。

 自分の中の“常識”さんが、一般村人から新人ハンター程度まで進化したのかもしれない。ハリラビの解体も何となくわかったし、失敗無く何とかこなすことができた。

しかしながら、疑問点も出てきた。向こうの世界でのうっすらとした知識では、血抜きしないと痛みやすく臭いが付きやすいとかなんとか。でも、解体しながらいくら考えても血抜きの方法は思い出せない。この世界では血抜きしないんだろうか。

たしかに、向こうとは違う。魔物が多く生息するこの世界の森で、のんびり血抜きなんてしてられないよね。必要最低限の物だけ取って素早く離れるのが“常識”だ。ひょっとして、この世界の肉も血抜きをしてやればもうちょっと美味しくなるのかな。

時間停止(?)機能のある第三貯蔵庫が解放されたら、丸ごと持ち帰って試してみよう。いつになるかわからないけど。

なかなか経験値になりそうな魔物とも出会えず、初挑戦の田辺君の消耗具合もあって、そろそろ戻ろうかと考えていた時、突然“警戒”スキルに反応が。

警戒態勢をとる間もなく、茂みから飛び出してきた何かが真っすぐ田辺君に体当たりをかました。

「うげぇ。」

若さゆえの反射神経か、とっさにスモールシールドで直撃を防いだ田辺君だったけど、完全に力負けしてそのまま弾き飛ばされた。砕けたスモールシールドが降り注ぐ。

額に1本角が特徴の猪のような魔物、ホーンボアだ。真っすぐ突進して体当たりをかますだけの魔物だけど、とにかく突進速度が速くて不意を突かれたらまず逃げられない。顔面から背中にかけて分厚い皮膚と硬い毛でダメージも与えられにくい。盾で防いでなかったら田辺君は串刺しになっていただろう。

マジックミサイルでホーンボアの背中に集中攻撃。倍化させている余裕はない。注意をこちらに向けなければ。

3本が背中に、2本が尻付近に命中するも、背中は毛が少しはじけただけでダメージにはなっていない。尻は出血させたものの、ホーンボアの意識をこちらに変えることはできなかった。

「なろう!」

“強撃”を使ってショートソードを背中に叩きつける。

ゴスッ

レベルも上がったし、強撃も使ったのに、分厚い皮膚を少し切っただけで刃が肉まで届かなかった。マジックミサイルで出血させられた尻に剣を突き刺すことも考えたけど、距離が近くて力が入りにくそうだと、背中を狙ったが、ダメージを与えられなかった。

こちらをうっとうしく思ったのか、振り向きざまに角で足をはらわれてよろけた。

何か危険を感じて、体勢を立て直すよりも飛び上がることを優先させた。

ホーンボアが足元を突進していった。

 間一髪。

注意が田辺君から離れただけでも良しとしよう。

態勢を立て直して剣を構えなおす。

 理想は、突進を飛び上がってかわして、倍化させたマジックミサイルで後ろから攻撃。シールドかボディプロテクションを使いたいところだけど、1度で倒せない可能性も高いから魔力切れを起こすのは避けたい。

マジックミサイルを用意する。倍化の集中はとっさには難しい。

ホーンボアが突進しようとする瞬間に飛び上がった。距離も十分あったのに、それでも左足がボアの背に引っかかってはじかれる。負けじと、空中で逆さまになりながらマジックミサイル発射。

2発が外れてホーンボアの足元に着弾したが3発は命中、尻と背がはじけ、血が飛ぶ。

ブフーッ

鼻息荒くこちらに向きを変え、牙をむき全身に力を入れるホーンボア。

クールタイム5秒、倍化集中に5秒は間に合いそうにない。

ダメもとで“強撃”を準備して、腰を落とす。今度はさっきよりずっと早く反応しないと、神経を研ぎ澄ました時、思いもよらぬことが。

「うらぁあ!」

ゴッシュァ~ン

いつの間にかホーンボアのすぐ後ろに来ていた田辺君が、バールでホーンボアをフルスイングしていた。

打ち上げられるホーンボア、あっけにとられる俺。

空中を飛んでくるホーンボアにハッと我に返ると、剣を真上に振りかぶり、腹に向けて真っすぐ“強撃”で切りつけた。

派手に飛んだ血飛沫をまともに浴びながらも、その一撃でホーンボアを仕留めることができた。

「飯田さん!俺、とんでもないことが起こりました!」

興奮冷めやらぬ様子で仁王立ちの田辺君。

「なんか、頭の中にセカンドゲームがなんたらって声がして、したらぶっとばせました!」

うん、さっぱりわからん。落ち着け田辺君。


「「おめでとうございます」」


頭に直接響く声。全身がザワつく。

こいつは知っている。

田辺君と自分の中間にいた。

真っ白なモーニングを着た人物が。

突然目の前に現れたのに、ずっとそこにいたような。

自分には背を向けているはずなのに、なぜか目も、鼻も、顔だちも見える、それなのに次の瞬間には思い出せないような、何一つ変わってはいないのに、刻々と顔が別人に代わっているような、何とも言えない不気味さと不快感だけを感じる。


「「単純にこちらのミスなのですが、うまく力をお使いいただけたようで何よりです。」」


「どういうことっスか」

田辺君の顔も青ざめている。生物的な不快感とでもいうのか。


「「最初に、皆様方をお連れする時にされていたゲームを基準に力を設定させていただいたとご説明させていただきましたが、実のところはお連れする瞬間から6時間ほど前までの間にされていたゲームが基準となっているのです。理由は調整に手間取ったせいです。なにせ、ゲームによって基準がバラバラすぎて、バランスをとるのに苦労してしまいまして。」」


オーバーに嘆くようなリアクションをしてみせる。


「「そこでトラブルが起こったんです。途中、ゲームを変えられた方が、それほど多くはありませんでしたがいらっしゃったのですよ。」」


「たしかに、あの日の午前中は爆裂学園やってた。」


「「メインとしての力は直前にやられていたゲームですが、途中にされていたゲームもサブ的に力の一部として設定されてしまったのです。それが今回戦闘という、メインでは存在しておらず、サブでは存在していた事態に直面して解放されたというわけです。」」


「ちょっと待ってくれっス。クラッシュレーサーはレースでなきゃランク上がらないし、爆裂学園はタイマン格闘ゲーっスよ。レベルそのものが無いんスけど。」

田辺君が食って掛かった。彼にとっては今後死活問題になりえる。


「「その分最初から結構強いですよ。たとえばそちらの方、」」


肩越しに自分の方を指さす


「「今の何倍もレベルを上げないとただの鉄棒1本であの魔物を吹き飛ばすなんてできないですし、そもそも小さい盾で防げても、突進を直撃したら全身骨バラバラで即死しててもおかしくないですから。今のあなた様がどれだけお強いかご理解いただけますでしょうか。」」


確かに、かすっただけの左足が痛い。かかとの骨にひびくらい入っているのかも。


「「と、いうことで、一応のアフターサポートで第2の力を解放した方にご説明に伺っております。では、再び自由を謳歌してください。」」


「ちょっと!」

聞きたいことはあったが、こちらの声は無視して消えてしまった。

田辺君が戦えることと、その理由が分かったのは非常にありがたいことだけど、監視されているのは不快だな。

「あ、そうだ!」

呆然としていた田辺君が叫ぶと、ホーンボアの近くに軽トラックを出した。

「飯田さん、こいつ、これに積みましょう!ある程度離れたら荷台で解体すれば色々取れるんじゃないスか?」

なんか、田辺君が急に頼もしい。

二人がかりでホーンボアを荷台に乗せると、キャンプ方向へ移動。道は無いので何度かひっくり返りそうになりながらも、500mほど離れた場所で解体を始めた。

まず最初に内臓を取り出し、魔石以外はすべて捨てる。荷台がすごいことになってるけど、出しなおせば奇麗になるらしいので見なかったことにする。

素材としては背中の皮が売れるようだけど、戦闘でかなり痛めてしまったから売り物にならないかも。今後気を付けよう。堅くて苦労したけど何とか剥ぎ取ると、肉を切り分ける。骨などは頭以外は使い道がない。頭だけは、好事家なんかが欲しがるらしい。そんなもの飾りたがる趣味は理解できないけど、金になるなら取っておこう。

かさばる肉と頭の骨はゲームアイテムの牛皮の背負い袋へ。2倍速く痛んでしまう簡易貯蔵庫へは入れられない。

不要物を荷台から落として森を出る。

途中で小さな池によると、血を洗い流してから軽トラを仕舞って、徒歩でキャンプ地へ。

中はまばらにテントが建てられている。小規模な商隊が立ち寄っているようだ。

「肉は処理しておいた方がいいだろうけど、小さい鍋しかないんだよなぁ。」

「焼いて食っちゃうっスか?」

「いやいや、エグくて食えないって。この世界の食べ物は、みんなエグいんだよ。だからなんでも最初はとにかく煮るんだってさ。」

「あぁ、だから焼肉とかステーキとかって無いんスね。いつも煮込みか干し肉ばっかりで不思議に思ってたんスよ。うまくねぇし。」

「早いとこ干し肉にしないとなんだけどなぁ。あ、塩も全然足りないなぁ。」

とりあえずテントを張る。ワンタッチテントがあったら楽なのに。皮をつないだシートも見た目以上に重い。結構重労働なんだよね。

石でかまどを作ると、枝を折って火をつける。

「これなんかどうスかねぇ。」

と言って田辺君が持ってきたのは、寸胴のような大きな鍋だ。よく見かける寸胴より深さは半分程度だが、小鍋よりははるかに大きい。

「どうしたの?これ。」

突然出てきた大鍋に驚いていると、

「あっちの商人さんから買って来たっス。」

と言って、鍋を置く、中にはぎっしりと、半透明の石が詰まっている。

「これも何?」

鍋に石が入っているとは思わなかった。

「魔素使い切った魔石っス。これの処理する代わりにタダ同然で買えました。」

質の良くない魔石は魔道具のバッテリーとして使われることが多い。照明だったり、魔物除けだったりが一般的で、使い切ると色が薄く、半透明に変色する。

使い切った魔石は、魔素の濃い場所に置いておくとゆっくり回復するが、非常に時間がかかるうえ、放置しすぎると魔物の発生を速めてしまうため、低品質の魔石は神殿などで浄化して処分する。

 そこいらに放置することは法律で禁止されているため、まっとうな商人や旅人は大きな町などに持って行って処理、一般人は、商人などに引き取ってもらって処理してもらう。結構面倒なのだ。

今回商人は処理のために遠回りして目的地へ向かわねばならず、田辺君の持ちかけた取引に喜んで食いついたそうだ。

自分の作ったかまどでは大鍋には小さすぎるので、大きめのかまど作りを田辺君に任せて、自分はまず小鍋でちぎった干し肉を煮る。

 堅い干し肉を柔らかくしたかったのと、とにかくしょっぱいので塩抜き。で、その茹で汁は干し肉づくりに足りない塩の代わりに利用する。できるのか?

田辺君のかまどが出来上がったら大鍋に水をはり、薄くスライスして一口大に切り分けたホーンボア肉を入れて煮立たせる。

一応、切ったばかりの肉をそのまま焼いて一口。

二度としません、ゴメンナサイ。

生ラサが美味に感じる味わいだった。

あたりがすっかり暗くなる頃肉を取り出し、大鍋の水を捨てて、しっかり水気をとった肉を戻す。

干し肉を塩抜きしたお湯を煮詰めたものに手持ちの塩を全部入れて混ぜ、大鍋の肉に揉みこむようにして漬け込む。

漬けてる間に塩抜きした干し肉と保存食を煮た雑炊もどきで夕食を済ませて、2時間ほど付け込んだら肉を取り出す。

これを干すわけだけど、今回は簡易貯蔵庫を使う。

2倍痛みが早くなるわけだけど、なら2倍速く干し終わるのでは?的なイメージで。

テントの中で簡易貯蔵庫のドアを出すと、中に枝と紐で簡単な網を作る。1mほど放して固定した2本の枝に、紐を数センチ間を開けるようにぐるぐると巻き付けていく。その上に肉を重ならないようにして置いていく。

これでたぶん、明日の夜にはできてるんじゃないだろうか。

この世界での“常識”さん情報をアレンジしちゃったけど、大丈夫だろうか。

塩は足りないだろうなぁ。醤油とかもあったらよかったんだけど。

網に置ききれなかった分は焼いて夜食に。うん、素焼きよりはいいけどね。やっぱしエグい。塩が足りないせいかもな。

香辛料とかあったらもっとまぎれるんかな。無いけど。

火を落として、とりあえず大鍋に空の魔石を放り込んで、まとめて簡易貯蔵庫に押し込む。大鍋もしばらく使うまい。

途中、おっさんハンターに遭遇して足はもういいのかと驚かれたけど、「自分もハンターですから」と強がってる風を装ったら、生暖かい目で「ま、無理すんなよ」とはげまされた。何か勘違いされてるかもだけど、気にしないことにした。

さすがにもうクタクタだったので就寝。

 

翌朝、昨日忘れていたステータスチェックだ。


種 族:ヒューマン

職業 :超越者

レベル:8

経験値:6180  次のレベルアップまで1820

生命力:40/40  肉体的ダメージを受けると減る。0になると死ぬ

魔 力:43/43  魔法を使うと減る。0になると意識を失う

気 力:40  スキルを使うと減る。0になると意識を失う

筋 力:44  力の強さ。攻撃力などに関係

体 力:43  スタミナ。持久力などに関係

敏捷性:40  動きの素早さ

器用さ:42  手先の器用さやバランス感覚など

知 識:43  記憶力と知識量。魔法の発動や威力に関係

知 恵:41  頭の良さ。計算速度などに関係

魅 力:40  高いと人を引き付けたり、友好に思われやすくなる


 レベルが3も上がってる?

 喜ぶべきだけどそうじゃない。

 あの猪、どれだけ強かったんだ。

 確かにリルベア並に硬かったけど。っていうか、一人だったら高確率で即死案件だったけど。

今回もたぶん、腹が弱点だったんかな。それをバッサリいけたのが良かった。今日から田辺君を拝むことにしよう。

しかし、見事に飛んだよね。ボールだったら場外ホームラン間違いなしだ。

 で、新しく解放された魔法とスキルは、

魔法 :バインド・ファイヤ・コールド・ヒール・キュア・エンチャントオーラ(

スキル:修繕(木工・石工・鍛冶・金細工)・頑強・斬撃・遠見・弓術

まだ基礎的なものが多いけど、だいぶ増えてきた。

今頃、最上級職だったらレベル10、見習いだったらもう36になってるはずだからなぁ。超越者辛い。

朝食をとりながら田辺君と今日の行動を話し合う。

周囲は出発準備にせわしないおっさんたちが・・・あれ?そういえば。

うん、考えてみたけど、間違いない。

とんでもないことに気が付いてしまった。

今までいっぱいいっぱいで、そこまで気が回らなかった。

この世界に来てからというもの、今の今まで一人も女性を見ていない!

「いや、まさか、そんなことは・・・。」

突然ブツブツつぶやきだした自分に、心配そうに田辺君が

「どうしました?なんか、問題でもあったっスか?」

あ、ごめんね。でも重要なことだから。

「田辺くん、ひょっとして、ひょっとしたらだけどね。」

「ハイ。」

神妙に聞く田辺君。

「この世界に来て、女性って見たことある?」

「は?」

この反応で何となくわかった。いるんだね。って、当たり前か。

「いや、ゴメン、変なこと言いだして。今のところ一人も見てなくてさ。さすがにそんなことあるのかなってね。」

「そうなんスか?村とかには普通にいましたけど。」

「だよねぇ。ハハハ、ごめんごめん。」

そう言えば、砦の商人も言ってたな。酒場とか夜の店ででモテるためにアクセサリー類は人気だって。

“常識”さんも呆れてる気がする。

「あ~、でも、村から出ることはまずないって言ってたっスね。野盗なんかから真っ先に狙われるみたいっスよ。兵士とかハンターになる人もいないみたいスから。」

「そうだよねぇ。漫画やアニメに毒されすぎてるなぁ。」

ミニスカートや水着同然の格好した冒険者とか、男勝りな女性騎士なんて存在しないんだよ、うん。

あ、違った、騎士は儀礼、式典専門の戦わない女性だけの騎士団があるらしいんですね、ありがとうございます“常識”さん。

「んで、どうしまスか?」

「そろそろゼノ村に向かおうかと思うんだ。」

「なるほど、でも、あそこはおばちゃんばっかであんまり若い娘は、」

「違う違う!そうじゃなくてね。」

何かとんでもない勘違いをさせてしまった。

「保存食がもう無くてさ。干し肉もうまくいくかはまだわかんないし、炭水化物が無いのは良くないかなって。それに田辺君も戦えるなら、ちゃんとした装備を整えて戻ってきた方がいいかなって。」

「あぁ!そうっスよね、アハハハ。了解っス。」

顔を真っ赤にして肯定する田辺君。ごめんよ、まぎらわしくて。

話し合いの結果、この日は別行動、田辺君は夜の移動に向けて休息、自分は知識上昇で新たに得た“常識”を元に、森の外縁付近で素材採集をして過ごすことになった。今まで通り過ぎてきた野草やキノコ類の中に、それなりの値が付くものがいくつかあったことを“常識”さんが思い出してくれたのだ。

この日は穏やかに、大収穫とは言えないながらもそれなりに収穫があり、ホクホクとキャンプに戻った。

そして夜、いよいよ干し肉の出来栄えを確認する。

っても、まぁ購入したものほどにはなるまい。塩も香辛料も足りてないし。

乾燥具合は問題なし。見た感じちゃんとできている。

いきなり傷んでなくてよかった。やっぱり、こっちの世界で簡易貯蔵庫は2倍速く時間が流れる?みたいな感覚でよさそうだ。

恐る恐る一口。

「ん?」

思わず声が出た。

おかしい。確かに塩味が薄い、それは塩が足りなかったんだから仕方がない。

 味気ない、そりゃ塩だけだし。

 なんか臭い。血抜きとか臭いけし的なことしてないし、買った干し肉もクセあったし。

 旨味も無い、煮込んで出汁抜いちゃったんだから当たり前だ。

 でもそんなことはどうでもいいのだ。

この干し肉、エグくない。

薄味だけどエグくない!

クセ強めだけどエグくない!

旨味も無いけどエグくない!

う~ま~い~~!

なんでだろう?

世紀の大発見をしたんじゃなかろうか?

でもなんでかわからん。

とにかく完成。しかもこの世界に来て初めてのエグみの無い食べ物。

なんか泣きそう。

急いで干し肉を回収して、テントの中からこっそりと田辺君を呼ぶ。

「なんスか?肉ダメでした?」

そんな不安げな田辺君にスッと差し出す一枚の干し肉。

恐る恐る口に運んだ田辺君の顔が驚愕の表情に。

「マジスかマジスかこれマジスか!!」

ガっとつかまれた肩が痛い。けどこれはある意味心地よい。勝利の痛みだ。

「飯田さんマジ天才っスよ!俺、この世界来て美味いもん食ったの初めてっス。」

ワハハハ、初めてごちそうした時も同じようなこと聞いた気がするけど気にするまい。

自分でもびっくりな素晴らしい出来だ。まぁ、そこそこ臭いのは御愛嬌、野生の、しかも魔物なわけだし、クセもあろうよ。それにその場で解体はしたけど、血抜きもしてないし残った血が傷んだせいかもしれない。それでも全くエグみを感じない。完全勝利と言っていいだろう。

問題は、なんでこうなったのかわかんないことなんだよなぁ。ジックリ検証しないといかんな。一度諦めかけたけど、飯テロ無双も夢じゃなくなってきたぞ。

煮込みもせずに焼いただけの肉は食い物じゃなかった。干しきれずに焼いた肉は普通にエグかった。ってことは、干す段階で何かあったんだろうな。簡易貯蔵庫の影響かな。ゲームでは時間経過で劣化するアイテムが2倍速く劣化する、というデメリットがあったけど、この世界ではどうやら2倍速く時間が経過する、という風に解釈されているようだ。それと同じく解釈の変化で何か特別なことが起こったのだろうか。

それとも中に入っていたもので何かあったのか。もしくは干し方?

検証するには一度中身を出してやってみないと。干し方かもしれないから別の網も用意しないとな。大きめのテントが欲しいな。

二人で肉を堪能した後、予定通りゼノへ向かうべくテントをたたんでこっそりキャンプを出る。おっさんハンターに見つかったらまた怒られそうだ。いや、こんな時間に出ようなんて普通なら自殺行為だからね。

キャンプを出ると足早に街道を進み、30分ほど歩いてから田辺君が軽トラを出した。

さぁ、再び車中の旅へ。

「飯田さん、ここからは結構道良いんで、寝ちゃっていいッスよ。俺はガッツリ寝たんで。」

「ありがとう。お言葉に甘えて、少し休ませてもらうよ。」

とは言ったものの、寝れるかなぁ。だいぶ道が良いとはいえ、舗装された道じゃないからねぇ。不意打ちのガックンは首に来るんだよね。

なんて心配してた瞬間もありました。

「飯田さん、そろそろ止めます。」

という声で目が覚めるまで完全に落ちていたようだ。

周囲はかなり明るい。

「1時間くらい歩けばゼノっス。」

あちこち伸ばしながら朝食代わりの自家製干し肉をかじる。

「血抜きとかできないかなぁ、やり方知らないけど。」

「あぁ、このなんか、独特のにおいっスか?」

かじっていた干し肉をクンクン嗅ぎ出した。

「あの場ですぐ解体したから血の臭いはそんなに影響ないんじゃないかな。昔テレビで見たんだけど、血そのものがクサいわけじゃないらしいんだよ。でもすごく痛みやすいらしいから、早めに血を抜いたほうが鮮度を保ちやすいらしいよ。臭いは、肉そのもののクセが大きいって言ってたかな。調理法でも感じやすくなるとか何とか、うん、昔すぎてはっきり思い出せん。」

ゲームしながら見てたんだろうなぁ。肝心な情報が抜けてる気がする。

「魔物じゃない肉ならもっとクセ無いんスかね。」

「ああ、そうかもね。でも無茶苦茶高いんだよね。」

“常識”さん情報では、動物は極端に魔素の低い地域でしか生息できず、魔素の濃い地域に移動すると数日で魔物になってしまうのでとにかく高いらしい。

「漫画かなんかで見たっスけど、血抜きって木に吊るすんスよね。」

「見た見た。首と後ろ足を切るんだっけ?でもさすがに森の中じゃやってられないなぁ。魔物がすぐに寄ってきそうだよ。」

なんて話しながら歩いていると、村が見えてくる。

村?

ランザ砦を彷彿とさせる立派な石造りの外壁が。

「村、だよね?」

思わず聞いてしまった。

「ああ、森の近くはどこもこんな感じらしいっスよ。」

魔物の氾濫対策で、森の周辺にある町や村はかなりがっちりした防壁で守られているうえ、衛兵が常駐しているのが当たり前なんだそうだ。と、“常識”さんも遅ればせながら思い出す。

村の、というには不釣り合いなほど大きく頑丈な門が出迎えてくれた。

入村審査のようなものは無く、空きっぱなしの門をすんなり通過。

木造の小さな家が密集している。

外壁を大きくできない以上詰め込むしかないわけだ。

そう言えば、カルケール伯爵領に入ったんだな。領堺の検閲とかも無いんだね。

 境界付近にある村なので商隊でにぎわっている。森の脅威がなければもっと発展していたはずだろう。

通りには早朝なのに所狭しと露店が並び、商談の花が咲いている。

ざっと見、99%がXY染色体で占められている。つまり男ね。女性は、うん、ガッチリ体系のおばちゃんが売り子にちらほら。それでもちょっと感動してしまった。いや、飢えてるわけじゃないからね。ホントだよ。

商隊に所属するような商人は、大半を危険な旅に費やすだけにほぼ男、女性は商隊100に2~3人いるかどうか、ってレベルだ。後は護衛の傭兵、当然この世界では男中心になる。過酷な旅を続けるわけで、荒くれ者も少なくない。そんな客を相手にするんだから、売り子側もいかついおっさんが多くなる。

むさい。

あと、できれば見たくはなかったけど奴隷。目に入ってしまうと“常識”さんが思い出してしまう。

奴隷、異世界物ではお馴染みというか、当たり前のようになってきている存在だよね。借金奴隷に犯罪奴隷、人権守られホワイト労働、魔法で契約して絶対裏切られない、みたいな。おっさんには違和感ありまくりだったんだけど、この世界の奴隷は悪い意味で正統派。元世界の奴隷という存在にかなり近い。敗戦国や植民地から強制的に連れて来た人々を奴隷として無理やり労働させている。魔法で契約なんて無いんで、持ち主の印になる焼き印を体に入れて、鎖でつながれて逃げられないようにされている。そこに人権や生活環境などは全く配慮されておらず、それが当たり前になっている。正直言って反吐が出る。

とはいえそれが当たり前の世界、ある程度は割り切らなきゃいけない。

いけないけど当分は無理。早々にここは立ち去りたいところだ。

手持ちの現金は2,500セイルしかないし、手に入れた素材を売らねば。

何度か村を利用している田辺君の案内で、露店通りから1本奥に入った路地へ、ドア脇に小さな看板が無ければ店なのかもわからないような建物が並ぶ一角の、突き当りにある建物に入る。

店内は狭く、入るとすぐにカウンターがあり、高齢の店員がいる。

「ここは買取専門なんスよ。」

田辺君情報では、商隊相手の取引が中心のこの村では、素材ごとの専門店での買取は結構な数がないと相手にされないらしい。少数多種の素材を持ち込むハンターにとっては、買取額が多少低めでもこういった店が便利なんだという。


ゲドリザーの皮3枚

ビルラッツの毛皮1枚

ホーンボアの毛皮1枚・魔石1個・頭蓋骨1個

ハリラビの魔石1個・トゲ1頭分

キノコ類少々、薬草類少々。


をカウンターに並べて査定の依頼をする。

「トカゲとネズミの皮は、ダメだなこりゃ、独学か?」

自分ではそこそこ良い出来だと思ったものを出したつもりだけど、売り物としては失格。という判断がされた。所々薄かったり、肉が残ってしまっていたり、切り方が悪かったり色々とご指摘を受けた。

「皮だの毛皮だのは加工して使うもんだ。処理が悪いと使える部分が減る。肉が残るのはまだ修正が効くが薄かったら丸ごと使えん。これからも続けるならちゃんとしたハンターなりに師事するんだな。買い取るんなら1枚500だ。ちゃんと処理できてればトカゲは5,000、ネズミは7,000だ。」

1割以下でも買い取ってくれるだけ良心的。なんだろうな。う~ん、ほんとにどこかで勉強できないもんかね。

「ホーンボアは、まぁいいな。表面の傷がデカいが、処理はそつなくできてる。お前さんがやったのか?」

と聞かれるくらいホーンボアの処理は合格点だったらしい。

この差はドロップ率アップの強運を覚える前と後、といえないこともない。レベルアップで器用が上がっていることの影響か?どちらにせよレベルアップが影響していそうだ。

「傷がデカいが、これならそれなりにデカいパーツも取れそうだし、100,000でどうだ。」

さすがに硬かっただけに、ホーンベアは高額だ。ちなみに、傷の無い完品なら150,000になるそうだ。

「頭蓋は珍しいねぇ。変色して無いが、まさか現地でバラしたのか?」

店員の話だと、ホーンボアの骨は死んだあと処理せずに時間がたつと黒く変色するんだそうだ。現地バラシは危険、黒く変色すると価値も激減、ということでほとんどのハンターが捨ててしまうらしい。

「こいつは250,000だ。とはいえ危険なことはするなよ。安全が確保できないときはあきらめろよ。」

ホーンボアは若いハンターが命を落とす原因の中でも1、2を争うそうで、欲に駆られて頭蓋を現地で解体しようとして血の匂いによってきた魔物に、という悲劇も少なくないんだそうだ。

その後の査定は

魔石、ホーンボア25,000、ハリラビ1,000

ハリラビのトゲ1頭分5,000

キノコ類5個1,500、薬草類10束2,000、ラサの実(生)5個500

で、しめて387,000セイルとなった。かなりの利益だ。大半がホーンボアの素材だから、田辺君のおかげだね。ってことで半分の193,500セイルを渡そうとしたら、関わったのはホーンボアだけだし、それ以前に美味い飯のための実験が控えてるんだからそれに使ってくれと受け取ってくれない。

暫しの問答の後、結局資金はメシのため、ということで自分が預かることになった。現実ではカップ麺とコンビニ弁当ばかりだった完全なド素人なんだけどなぁ。プレッシャーがすごいよ。

「いろいろ試すのに大きめのテントが欲しいんだけど、どこで買える?。」

ここは経験者の田辺君に頼る。

案内されたのは露店通りを奥に進んだ先の大きな店舗。テントや野営道具を扱っている店の中では種類も多く、中古品も扱っているため価格的にも控えめだという。

 中古品を吟味しながら、4人用のテントを購入。かなりかさばるので人目につかない場所で簡易貯蔵庫に入れたいところだ。

 他にも肉を干すための網や大きな鍋、折畳み式の作業台、バケツ、鉄製の折畳み式かまどなど、使えそうなものを片っ端から購入。しめて298,730セイルなり。

 次は食材だ。とはいえ、売られているものはほとんどが加工済みのもの。未加工品を探すのに苦労してしまった。

 何とか見つけたものが、勝手に麦と呼んでいたけどセパ豆。エンドウのような植物で、鞘を割ると100粒程度の麦のような種が詰まっている。食堂に卸すための未加工品一袋30Kgを無理言って売ってもらった。他に塩と、高くてあまり買えなかったけど香辛料、肉専門店でハンターが下したばかりのブロック肉を5Kg。

 後一応保存食と干し肉も、しめて52,800セイル。

で、残金35,470セイル。こんなもんでしょう。

生の肉が手に入ったので、できるだけ早く始めたい。ということで、村の外にあるキャンプ地へ。多くの村や町には、駆け出しのハンターや傭兵、旅商人とか資金に余裕のない人用のキャンプ地が隣接されていることが多い。この村は商隊が利用することが多いのでキャンプ地の利用者はあまりいないが、それでもそこそこの広さだ。

閑散としたキャンプ地の中でも、特に人気のない場所で購入したばかりのテントを組み立てる。4人用というと、一般的なテントサイズを思い浮かべるけど、この世界では倍以上もある。旅は過酷になるため荷物も多くなるからだ。

生地も分厚く丈夫な素材でかなり重い。

二人がかりで組立てなければからなかった。

「飯田さん、コンロはこんなもんでいいっスか?」

組立式かまど、キャンプ用品の炭式コンロみたいだよねぇって話してたら、いつの間にか田辺君はコンロ呼びが確定していた。

テント脇には、かまどと作業台が組み立てられ、樽を再利用したようなバケツには水が汲まれていた。準備万端だ。

さて、肉を切ろうかと手を洗っていた時だ。

 こちらをじっと見ている人に気が付いたのは。

ユーシン覚醒の巻。


ハンターのおっさん二人は、ベテラン勢の中でもかなりの凄腕です。

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